夢王たちの宴ードラッグ戦争の痕でー■第28回■
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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■第28回■
ワルシャワ旧市街は、ポーランド観光のメッカである。
今日も旧市街は観光客でごったがえしている。車を外に止めた。
この町は第2次大戦下、ヒットラーの命令一下、完全に破壊され
たのだ。そして大戦後に、それこそ、レンガの一つ一つをひろい上げ、
積み上げ、復原した街なのだ。16世紀の風景を今に伝えている。
旧市街の中央に、観光名物のオルガン弾きの若者がいる。
いつもの通りオルガンをひいている。
ジェイは観光客の様に、オルガン弾きゆっくりと近づき、
「イーゴリ、いいか」と尋ねた。
「大丈夫だ。まだ追跡者はここまで入ってきてはいない」
イーゴリはオルガンを弾きながら答える。
「それじゃ、消えさせてもらうぜ」
「わかった」
二人は、観光客用の馬車が通りすぎたその問、煉瓦道路のはめ石をはずし、
その下に入り込む。
舗石の下は地下水道になっていた。
第2次世界大戦中の対独ゲリラ組織が作りあげて保存されていたのだ。
ジェイとアイラは進んでいく。
「ここだ」ジェイが言った。
地ド水道の側壁にわずかな印があった。
その通路をくぐると、広い秘密裏に建設された研究施設があり、コンピュータで
回線がつながれているようだった。
「ここが僕の研究所だ。秘密のね。ここからJP359を東せたミサイ
ルを、自在に発射できる」
ジェイとアイラは、研究所の内部機械を、順次作勣させ始めた。
二時間後、ようやく、すべてのミサイルのセッテイングが終った。
ジェイはミサイルの発射ボタンを押そうとする。指をかけた一瞬。
秘密研究所の壁と天井が、吹き飛んだ。
旧市街ではオルガン弾きのイーゴリが別の曲を弾き姑めた。合図
だった。
砂ぽこりの中から背の高いポーランド軍制服の男が現われる。銃を
手にしている。後から数人の特殊部隊の兵士が入ってくる。
「ようやく会えたよ、ボラード君。ここに。隠れていたのか。そうそ
う、自己紹介しよう。私は、ポーランド軍・ワルシャワ条約国家安全局、クネコバ=スプローギン
大佐だ。さて、ポラード君。その汚ならしい手を、その操作卓のスイッチから
はずしたまえ。言う事が聞けんとならば、その手を吹き飛ばすが、いいか」
(続く)
1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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