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■義経黄金伝説■第36回
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(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.poporo.ne.jp/~manga/
研究室http://plaza.rakuten.co.jp/yamadahakase/
第5章 1187年 押し寄せる戦雲
■6 1187年文治3年 平泉
奥州平泉、高館屋敷で寝ている義経の枕元に、異形の者が現れていた。
義経は、気付いて起き上がり、とっさに刀を構えていた。
「何者じゃ」
「さすがでございますな。義経様、お静かに願います。私は東大寺闇法師、十
蔵にございます。ここに西行様からの書状を携えてございます」
十蔵は書状を差し出している。
「なに、西行殿の…。おう。お主は十蔵どのじゃな」
義経は、先日にあった十蔵の事を思い出し、書状をあらためる。
「西行様に、秀衡様からの密書届いております」
「秀衡様の密書、何ゆえに西行殿の手に」
「秀衡様のお子様たちのことを考えてのことでございましょう。西行様と京の
後白河法皇様。すでにご相談なさっておいでです」
「して、何と」
「義経様、この平泉で死んでいただきましょう」
十蔵は冷たく言い放った。
「何を申す」
義経は驚いている。
「よろしゅうございますか。鎌倉に、静様の和子様、生きておられます」
加えて、驚くべきことを、十蔵はさりげなく言う。
「なに……、それは誠か。して男の子か」
義経の驚きは、喜びに変わっている。
「はい、さようにございます。今は大江広元様が手の者が、育てております。
また、この事は、頼朝様はご存じではありません」
「大江殿が…。つまり、兄者が平泉を攻める時の人質という訳か」
義経は考え込む。
「いえ、頼朝殿の策は、泰衡様に義経様を打たせるおつもり…」
「む、何と、兄者はなんと汚い策をお使いになるのか。それで、我が子はどう
いう策に使われるのだ」
「おそらくは、義経様を平泉の武士たちと団結し、頼朝殿に当たらせないがた
め…」
「さすれば、私はどう動けばよいのじゃ…」義経は悩む。もうあの源平の戦で
はないのだ。この平泉の義経は別人のごとくなのだ。
「私が、義経様の身代わりになって、この地にて果てさせていただきます。義
経様は平泉からお逃げ下され」
十蔵は冷静に答える。義経が驚く番だった。
「何だと、私には縁のないお前が…代わりに討たれるだと、、」
「さようでございます。西行さまの命令でございます。十蔵のこの命、東大寺
のもの。すでに闇法師となった段階ですてて降ります。
義経様はご存知あるま
いが、私は源平の争いですべてを失っております。魂の抜け殻でございます。
よろしゅうございますか、義経様。このときに乗じ、蝦夷へ落ち伸びてくださ
い。吉次殿が手の者が、お助けするでございましょう」
「重蔵殿、、」
義経は言葉がでてこない。何ゆえにこの男は、私のために、、そして、吉次殿。
「吉次殿が、私を助け出すといわれるか……」
ようやく、言葉を発した。何かの感動が、義経の心をとらえている。
(続く)
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第5章 1187年 押し寄せる戦雲
■6 1187年文治3年 平泉
奥州平泉、高館屋敷で寝ている義経の枕元に、異形の者が現れていた。
義経は、気付いて起き上がり、とっさに刀を構えていた。
「何者じゃ」
「さすがでございますな。義経様、お静かに願います。私は東大寺闇法師、十
蔵にございます。ここに西行様からの書状を携えてございます」
十蔵は書状を差し出している。
「なに、西行殿の…。おう。お主は十蔵どのじゃな」
義経は、先日にあった十蔵の事を思い出し、書状をあらためる。
「西行様に、秀衡様からの密書届いております」
「秀衡様の密書、何ゆえに西行殿の手に」
「秀衡様のお子様たちのことを考えてのことでございましょう。西行様と京の
後白河法皇様。すでにご相談なさっておいでです」
「して、何と」
「義経様、この平泉で死んでいただきましょう」
十蔵は冷たく言い放った。
「何を申す」
義経は驚いている。
「よろしゅうございますか。鎌倉に、静様の和子様、生きておられます」
加えて、驚くべきことを、十蔵はさりげなく言う。
「なに……、それは誠か。して男の子か」
義経の驚きは、喜びに変わっている。
「はい、さようにございます。今は大江広元様が手の者が、育てております。
また、この事は、頼朝様はご存じではありません」
「大江殿が…。つまり、兄者が平泉を攻める時の人質という訳か」
義経は考え込む。
「いえ、頼朝殿の策は、泰衡様に義経様を打たせるおつもり…」
「む、何と、兄者はなんと汚い策をお使いになるのか。それで、我が子はどう
いう策に使われるのだ」
「おそらくは、義経様を平泉の武士たちと団結し、頼朝殿に当たらせないがた
め…」
「さすれば、私はどう動けばよいのじゃ…」義経は悩む。もうあの源平の戦で
はないのだ。この平泉の義経は別人のごとくなのだ。
「私が、義経様の身代わりになって、この地にて果てさせていただきます。義
経様は平泉からお逃げ下され」
十蔵は冷静に答える。義経が驚く番だった。
「何だと、私には縁のないお前が…代わりに討たれるだと、、」
「さようでございます。西行さまの命令でございます。十蔵のこの命、東大寺
のもの。すでに闇法師となった段階ですてて降ります。
義経様はご存知あるま
いが、私は源平の争いですべてを失っております。魂の抜け殻でございます。
よろしゅうございますか、義経様。このときに乗じ、蝦夷へ落ち伸びてくださ
い。吉次殿が手の者が、お助けするでございましょう」
「重蔵殿、、」
義経は言葉がでてこない。何ゆえにこの男は、私のために、、そして、吉次殿。
「吉次殿が、私を助け出すといわれるか……」
ようやく、言葉を発した。何かの感動が、義経の心をとらえている。
(続く)
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