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ロボサムライ駆ける■第26回

2015年12月02日 | ロボサムライ駆ける

ロボサムライ駆ける■第26回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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「私は東日本から来た者だ。この西日本の風習になじんでおらぬ。教えてくれぬか」主水が言う。
「いいかい、あっしは町人ロボットだ。だから、あまり詳しくは知らないけどね。ここにいるロボットたちはね、皆、労役に使われるのさ。これまでの身分にかかわりなくね」
擦り寄って話しかけてきた一人のロボットが言った。

「労役だと、どのような仕事だ」
「へへっ、本当に西日本に詳しくねえな、お前さん。いいかい、今、西日本じゃ、こういう話があるのだ。西日本は外国人に支配されている。水野なり、斎藤ってのは外道だよ。外国人の配下になっている。その現象を『みはしら』様がお怒りだってな」

「みはしら様、それが労役にどのようなかかわりあいが」

「いいかい、みはしら様に向かって、俺たちは掘らされるのさ。みはしら様のある地下を一生懸命にな。この西日本エリアでは、ちょっとした不法でも皆、地下行きさ。ともかく、みはしら様に近づくってのは容易じゃないらしい。何人ものロボットがスクラップになっているようだよ」

「誰もおかしいと反対しないのか」

「へへっ、やはり東日本の人だねえ。西日本では、ロボットは奴隷なんだよ。ご主人様である人間に対していくら言ったって、話を聞く人間などいるものか」

「いわれるままか」
「そういうこった。だからお侍さんも、あきらめるこったなあ」
「あきらめるだと、何をだ」
「そりゃね、ここだけれどね。生きてお日様を拝むことをあきらめるこったね」
「何だと、死ぬまでここで」

「そうだよ、ロボットの死亡率は、そりゃひどいもんさ。地下道では落盤が日常茶飯事だからね。それにそこを掘り返して、ロボットを助けてやろうなんて殊勝な気持ちなんて、人間が持っている訳ないさ。ロボットは皆消耗品なのさ」

「うるさいぞ、だまれ、五郎左。よけいなことをしゃべるな」
 別のロボットから罵声が飛んだ。

五郎左と呼ばれたロボットは急に黙る。
そのとき、二人の役人が現れていた。
蛍光カンテラを持って牢内を照らす。

「こらこら、お前ら、下がれ、下がれ」
「うっぷ、ここに汚れた機械油の匂いがするのお」

「仕方があるまい、ご同役。ロボットのどぶだめだからのう」
「どぶだめだと、貴公なかなかおもしろい言い方をなされるのお。はっはっは」
「ここに主水と名乗るロボットはおるか」

「主水とやら、獄から出よ」
 主水はゆっくりと立ち上がった。獄の中のロボットの眼が注がれている。
 主水は廊下を通って、別の取り調べ室へつれていかれた。
机の中にまわらされる。

「名前と登録番号を申せ」
「何度もいってるだろう。拙者、早乙女主水…」

 名前を名乗った瞬間、電磁ムチが飛び、主水の首に絡み付いた。
「ぐっ…」

「我々人間をバカにするのは止めるのじゃな、いかりの長介。よいか、お前のデータは揃っておるのじゃ。全ロボットデータベースで、すべてわかっておる。二度とそのような口を叩けないようにしてやろうか、長介」

 役人の一人が言った。どうやら、主水は、いかりの長介という名前にされたようだ。

ロボットデータベースは、日本全国にいるロボットについてのデータがすべて入力されている。いわばロボットの戸籍である。

「俺はそういう名前ではない」
「まだ言うのか」
 電磁ムチから高電流が流れ、主水は気を失った。

(続く)
■ロボサムライ駆ける■第四章 剣闘士(1)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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