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クリス・リックマンという名の箱船第9回●イーダと組み立てたホーバークラフトでメルダ市に向かう途中に、再び、新たな賞金稼ぎが現れた。

2021年09月01日 | クリス・リックマンという名の箱船(1976年作品)
クリス・リックマンという名の箱船●全宇宙の観察者、超生命体達は、対象である下等生物のいつ意識を全開させてみる実験をした。地球人類の生き残り1人は最適解をだすだろう。
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クリス・リックマンという名の箱船第9回●イーダと組み立てたホーバークラフトでメルダ市に向かう途中に、再び、新たな賞金稼ぎが現れた。
 

クリス・リックマンという名の箱船第9回

(1976年)「もり」発表作品

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

 

 

何度も言うが、不思昌な事に、私の記憶にはメルダ慨という都市の記憶はない。

私はこの地球上に現存する都市の名前をすべていえる。

しかし、メルダ市の名前は、私の頭のリストには含まれていない。

つまり、「都市管理センター」から食料を受け取ってはいないのだ。

 

彼女はそれを知っているのか。

が、ともかく、私は私自身が生き残るため、メルダ慨に向かう事にした。

 

■運搬トラックは片側のタイヤが完全にいかれていた。

運搬トラックに標準装備されている砂上小型ホーバークラフトを私とイーダは組み立で始めた。

 

1私はイーダに尋ねてみた。

「君達の都市は何を作っているのかね」

「何も作ってはいないわ」

「そんな都市があるわけがない。それならばどんな方法で金を得ているのだ」

 

「私には理由はわかりません」

彼女は黙り込んでしまった。

 

私は途方にくれる。

 

私はしかたなく。

彼女を組み上ったホーバークラフトに價せぐ彼女の指さす方向へ造を進み始めた。

 

しはらくして、後から爆風と閃光が襲ってきて、最後に爆発音が響いてきた。食糧トラックの

自爆装毀をオンにしておいたのだ。

 

私は食糧トラックが完全に燃え尽きて消え去った事を調べてから、イーダに尋ねた。

 

「所で、イーダ、君の複合個体はいくつだね」

「私の体には一つの個性よ」

 

「君の都市の人達は皆、君と一緒なのか」

「そうよ、一つの体に一つの個性、それが私達の市の普通の人達よ」

 

■ちょうどその時、ホーバークラフトは潅木地帯に入っていた。

 

突然、一発の弾丸が私の方へ飛んできた。

 

私は瞬時に体をふせていた。

 

又は、新手のバウンティハンターの登場らしい。

 

二弾、三弾と次々に射ち出される弾は、今度は、ホーバークラフトのフレキシブルカ

ートを射ち貫いていた。速度がおとろえた。

 

「止まれ、止まれ、止まらなければ、その女に命中させるぞ」

 

荒々しい男の声が聞こえてきた。

 

大昔のスコープ付対戦車ライフルをかついだ

私と同じ年配の男が潅木の茂みから姿を表

わしていた。

 

「動くなよ。俺の指は、年のせいでょくふるえるんだ」

男はすばやい動きで走ってきて操縦席にライフルを突き込み、

私の頭をライフルの銃身でなぐった。「おい、お前、何者だ」

男は私の胸のシルバー・スターに気づいた。

 

「これはこれはシティ=ディザスターか。女連れか、いい御身分だな。

なぜそんないい暮しができるんだ」

私は男に逆に尋ねた。

「お前はどこの市の者だ」

 

「俺か、俺はどこの市にも属してはいない。放浪者さ。しかし、今日は狩人さ。まさか、

その得物がシティ=ディザスターとはな。おいお前出てこい」

彼は茂みの方へ叫んだ。

 

 再び、後の茂みから、若い男があらわれた。

この男もボロボロの服を着ている。

 

「これがシティディザスター様だとよ。よく見ておけ、二度と拝めないぞ」

私はそれに対して、

「私は君の面を二度とは見たくない」 

「何だと」老人はカッとなった。

「いけない。あやまれよ。お前、このじいさんはすぐ頭に来るんだ。あやまれ」

 

若い方が叫んだ。  

 

私は黙って、私とよく似た顔をした老人の顔をにらんでいた。老人の怒りは急激に頂点

達したようだ。

「この野郎、死にやがれ」

対戦車ライフルの銃身を私の頭に当て、引き金を引きしぼった。

ボスッ。 

 

すごい音脈響いた。

 

イーダは失神していた。

 

当然、私の頭がすいかか何かの

ように吹き飛び、血だらけの下半身が残っているに違いないと考えていただろう。

しかし私は無傷だった。

 

対に、対戦車ライフルをぶっばなした老人の姿が消えていた。

 

対戦車ライフルだけが地面にころがっていた。

 

残った若い男は、小型拳銃をとりだし、ふるえながら、私に向けた

 

が若い男は私の双眼を見つめた。

 

何か異常に気づいたようだ。男は悲鳴をあげ、銃をほおり投げ、茂の中に

走り込んで行った。

 

彼は直観で気付いたのかもしれない。

 

この地球上の総ての人々は私を殺す事はできないのだ。

 

なぜなら、私は彼らの父なのだ。

皆、同じ種類の顔なのだ。

 

(続く)

クリス・リックマンという名の箱船第9回

(1976年)「もり」発表作品

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/



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