ロボサムライ駆ける■第28回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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第四章 第四章 剣闘士(2)
「何でございます」マリアが、叫ぶ。
「落合レイモン閣下はいかがなされたですか」マリアは尋ねた。
「レイモン殿も行方不明じゃ」
「た、大変だあ」
鉄が飛び上がった。
「何の手掛かりもないのでございますか」
マリアが続いて尋ねる。
「そうなのじゃ、行列だけはかえってきよった」
「大変だよ。だんながバラバラにされちゃって、今頃は大阪のロボットごみ捨て場だよ」
急に鉄が泣き声を上げて人工涙をよよと流し始める。
「おい、おい」
徳川公が驚いている。
「鉄、騒ぐなというに。それでお前たちに助けて欲しいのじゃ」
「わかりました。がってんだ。西日本都市連合め、眼にものを見せてくれるってんだ。ねえ、姐さん」
「鉄さん、落ち着きなさいませ。あなた、頭のボルトが三本くらいおっこちているんじゃございませんか」
「あーあ、姐さんも酷いことをおっしゃる。私がこんなにだんなのことを心配しているってえのに」
「鉄、頼むから、静かに私の話を聞いてくれ」 徳川公が呆れている。
「だから、静かに聞いてるじゃありませんか。あっしのどこがうるさいってんいすかい」
「この、へらず口」
「あーあ、どうせ、あっしはへらず口でござんすよ。あっしはこの体に生まれつく前から口だけでしゃべってたってことで有名なロボットでござんす」
鉄もしゃべりだすと止まらない。
「わかった、鉄。お前とマリアで、主水を探しに行ってくれ。そしてレイモン殿をな」
「わかりやした。さすがは殿様だ。家来の難儀をほってはおけない。さすが名君。世界で一番偉い殿様ってのは、徳川公のことだね。地球史に残る。ほんとに、この…」
しゃべりのエンジンがかかって、どんどんがなっているのだ。
「マリア、この男、大丈夫かのお。役にたつ、、、」
「お任せくださいませ」
マリアは、鉄の首の一点を急につかむ。
「な。何をするんですかい。姐さん」
「あなたのその役たたずの口を塞ぐつもりです」
「それはいけねえや。ロボット人権を認め…」
あとは無音となる。鉄は口をパクパクさせているが、声は聞こえて来ない。マリアが鉄の声のアンプを切ったのだ。
「あ、これで、そちと話ができる」
「いかようにして私たちは西日本へ参りましょうか」
「済まぬが、徳川空軍の飛行船で行ってくれぬか」
「飛行船でございますか」
「そうじゃ、陸上を移動すると、どうも眼につくのでのう。それに、お前は外国ロボットじゃ、よけいにのう」
「わかりました。もし主水様を見つけましたら、いかがいたしましょう」
「捕らわれておれば助けだし、二人でもってロセンデールの野望を探って欲しいのじゃ。おお、そういえばマリアは、ロセンデール卿を知っておったのう」
「さようでございます」
マリアは顔色一つ変えなかった。
(続く)
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