石の民 第22回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
石の男は、自分の心底に意識を戻す。
『光二とやら、聞きたまえ。私は石の民の一人なのだ。いいかね石の民は世界を創造できる。この
世界、宇宙をつくったのは私だ。そうだ、石の民一人一人がそれぞれ世界をつくれる。
私ムリムだけが、ある事情があり、この「石の壁」に残っていたのだ。
我々ははたしてどこからきたのかわかりはせん。
ただ石の民の過去の記憶をもつ伝説の人がこの壁の前に
現れた時、我々はいくべき所と過去をしることになる』
光二にはチンプンカンプンだった。何をこのおっさんはクちゃべっているのだ。
『我々の記憶は告げている。伝説の人の名前は北の詩人と』石の男は告げた。
光二は考える。
今自分がここにいる、
ここは石の男の心底だ。
じゃ、今、考えている俺自身は何者なのだ。
不思議な体験だった。
『光二、君が望むのなら、君を石の民に加えてやろう。君は、君の世界をつくれる。自分自身が、世界の神となれるのだ。どうだ、いいか、私に協力したまえ』
『石の男ムリム、光二にまで、干渉するな。娘ミニヨンをかえせ。そうしなければ、聖砲を使うぞ』
ジュリの祭司アルクは言った。
『しかしたずねるが、はたして、アルクよ、光二よ、君達はその聖砲をつかえるのかね。また聖砲のもつ意味合いをはたしてわかっているのか』
確かに聖砲の使い方はわからない、祭司アルクは痛い所をつかれた。
『光二、かまわん、聖砲を使え』
『無茶言うよ。、アルクのおっさんよ、使い方など俺はしらんぜ』
『この期に及んで、何をいう、光二』
『だから、俺はいったろう、しらないって』
『ははは、ばかものめ。我々のみがその聖砲の意味をしっている』石の男ムリムは笑い飛ばす。
●とうさん、とうさん、私はもとの世界へ戻りたい。
とうさん、助けに来て。
ミニヨンは石の男の心底で毎日なきくれていた。
なぜ、私が、この石の男の心底で、それに、石の男は私をアルナと呼ぶのだろう。
アルナっていったいだれなの。
ミニヨンの前に光が現れた。
ミニヨンは恐怖で一杯になる。
また何か、悪いことが私の身におこるのだ。なぜ、私だけが。
「ミニヨン、怖いか」女の声だった。
「あなたは」
「ミニヨン、おいで」
「どこへ」
「この私の光のなかへ。そうすれば、お前はこの石の男の心底。牢獄から逃げられるのよ」
ミニヨンはその光の中にさそわれがまま入っていた。
光の中にはミニヨンと同じ顔をした女の子たちで一杯だった。
この声は聞いたことがある。
少女のころからの。ミ
ミニヨンは意識を失っていた。
石の民 第22回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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