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腐敗惑星のアリス第11回降下した男が白熱した後、 《静かの海》に隣接したメインコンピュータが目覚め。地下羊宮チャクラは、古代人類の記憶バンク。 《静かの海》で運命の少女トリニティが誕生

2021年02月19日 | 腐敗惑星のアリス
F腐敗惑星のアリスー宇宙連邦の監視機構の元で、腐敗惑星内で新生命トリニティが蘇生し、世界の秩序を変える動きが始まる
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腐敗惑星のアリス第11回降下した男が白熱した後、 《静かの海》に隣接したメインコンピュータが目覚め。地下羊宮チャクラは、古代人類の記憶バンク。 《静かの海》で運命の少女トリニティが誕生
 

 

腐敗惑星のアリス第11回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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彼女は、海の中を漂っていた。

彼女の総てが、、まだ未成熟だ。

 

顔も、記憶も。ただ肉体だけが、浮遊している。

その海は、この星の中核部にあった。巨大な球体が腐肉から海を守っていた。

 

その中で彼女はまどろんでいる。

体は透明なカプセルに守られている。

何者なのか、ただ一人、この大いなる《静かの海》にたゆとうている。

 

この前はいつ目覚めたのか。

だれもしりはしない。

年もわからない。

幼児の体型だった。

 

通常は腐肉の表面までしか降下できないのに、

男の乗ったポッドは腐肉を突き切って来た。

 

降下した男は、この球形世界《静かの海》にたどり着いていた。

男はこの海に装置されたコアにはいった。

そこにはモニターが設備されていた。操作卓に前に座る。

 

「トリニティ、我が子よ、目覚めてくれ、お願いだ」叫んでいた。

男の願いが通じたのか、彼女の意識が開いたようだった。

男はくいいるように覗きこむ。

 

男のいる操作卓のあるコアと《静かの海》は透明な膜でくぎられている。

まだ、二人は遠く離れているのだ。

 

男はその少女に精神波を送る。

「君、私がわかるか」

 

「おじさん、だれなの」

しばらくのち、か弱い彼女の思いが、彼の心に返ってきた。

 

「私は、君に命を与えるためにここに来た」

彼女にとってみしらぬ男はそう言った。

 

「どういう意味なの」

そう彼女が聞いた瞬間、操作卓の場所が白熱していた。

男の姿は消えている。

 

「一体、なによ。あたしを起こしてさ。何用なの。へんなおじさん。いい、も一度眠るもん」

 

 再び、トリニティと呼ばれた彼女はまどろみに戻った。

そのまどろみに入る前に、完全な彼女の顔ができあがっていた。

 

 

 

 男が白熱した後、このコアの付属設備が急に作動し始める。

《静かの海》に隣接した設備、

そのメインコンピュータが目覚めつつあった。

 

この《静かの海》に近接するコンピュータ地下羊宮チャクラ。

コンピュータ地下羊宮チャクラは、古代人類の記憶バンク。

 

《静かの海》で一人の運命の少女トリニティが、いままさに誕生しょうしていた。

 

●『おや、ついに、ついに発生したのね。早くここまでおいでよ。私の親よ、妹よ。早くここまでおいで。私、アリスがきれいに始末してあげる。ああ、楽しみだわ』

 

 腐敗惑星のどこかで、誰かの意識がそう、語っている。

 彼女はしたなめずりをする。同じ顔をしていた。

 

●「どうやら、、、あの子トリニティは目覚めたようよ」

 

アリスは父に言う。

 

腐敗惑星の表面で唯一ヶ所。

大陸化された陸地。そこが「機械城」だった。

 

その中に「クリスタル=アリス」はいた。

 

彼女の精神の中で、何かがコトリと音を立てて動いたのだ。

 

それは、彼女と同一のモノが動き始めたことを意味した。

 

同時に、クリスタル=アリスか、あるいはトリニティかどちらかが相手

によって倒されねばならないことを意味した。

 

本当は二人同時に存在すべきはない個体だった。

 

「本当か、アリス。いよいよ時が満ちたのだな」

「そのようよ、パパ」

「お前が「世界子せかいし」となれる日が近いのだな」

「うれしい、パパ。私が「世界子」となり、パパがその世界を統べることができるのよ」

 

父親はその答えをしばらくためらい、そしてつぶやく

「ああ、そういうことだな」

 

●「パパ見て、」

 

「ついに、禁断の果実、黄金のリンゴがなったわ」

 

目の前に広がる、機械城内部になる最後の楽園、その中央にある木に実がなっていた。

 

 

「ふふ、ついに、ついに、時は来たりぬか。我がフクシュウの時は来れり。セキリョウ王よ、早く出現せよ。我々の手にかかれ」

 

父親と呼ばれたその男は、気分が高揚し、来るべき時をまつ。

 

腐敗惑星のアリス(続く)20111210改定

作飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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