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東京地下道1949■第10回食料奪還襲撃への米軍の攻撃から逃れ、戦争孤児のムサシは、竜のアジトに。ナイフの鉄は、恵と地下道ではぐれ、頭の竜とアジトに帰ろうとする。

2021年01月16日 |  東京地下道1949
TC東京地下道1949■1949年日本トウキョウ。 太平洋戦争の日本敗戦により、日本はアメリカ軍とソビエト軍に、分割占領。生き残った少年少女はどう生きるのか。それからの過酷なる日本の運命は
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東京地下道1949■第10回食料奪還襲撃への米軍の攻撃から逃れ、戦争孤児のムサシは、竜のアジトに。ナイフの鉄は、恵と地下道ではぐれ、頭の竜とアジトに帰ろうとする。
 

東京地下道1949■第10回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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「鉄。どこにいるの、鉄、、」

恵は思わず叫んでしまった。

この長い通路の中で鉄とはぐれてしまったのだ。

地下壕はトウキョウ市のすみずみに、はりめぐらされている。

一つまちがえば、迷路のような地下道を堂堂巡りしかねない。

恵は鉄とはぐれてだいぷの時間がたっていた。ろうそくも短くなっていた。

恵はしかたなく自分達のアジトに帰ることにした。

 

 

アジトには、兄達はまだ帰っていないようだ。

寂しく恵は竜たちの帰りを待つ。遅い。いつもはこんなでない。不安がよぎる。

 足音がした。恵はドアを急いで開け、叫んだ。

「兄さん」

 

目の前には190cmを越すムサシの姿がそびえたっていた。

その眼はにくしみと悲しみをたたえて、静かに恵をながめていた。

 

 恵の兄、戦争孤児のグループの頭、竜もかろうじて、攻撃からのがれていた。

爆弾のショックで地面が割れ、地下壕に半死半生でふきとばされていた。

 

竜は、トウキョウ市じゆうに攻防戦用に地下壕が存在していることを、恵から聞いていた。

 恵は地下壕を知悉していた。

ひまがあれば地下壕を歩きまわっていたようだ。

今、ここに恵がいれば、竜は弱音をはいた。

 

他の奴は助かったろうか。いや恐らく。あんなに激しい攻撃を受けのだ。

助かっているはずがない。

自分が助かったのも不思議だ。

 

竜は、はるか、昔のこる、そう、もうはるか昔、御伽噺のような昔だ。

その時期をを暗やみの中で思い知こしていた。

 

彼は幼い恵を背中に負い、怒濤の様なソ建軍の攻撃をのがれたのだ。

何回も兄、恵介からさずかった守り袋をにぎりしめ、つぷやいていた。

 

「兄さん、助けてくれ。』と。

兄は特攻隊で音信不通の状態だった。

父や母と会うこともないだろうと竜は考えた。その代り、この恵を守り通さねばならぬ。

唯一の肉親だから。そう竜はおもっていた。

 

 トウキョウ市は戦後、アメリカとソ建により分断された。

両軍共、トウキョウ市周辺に強大な部隊を集結している。

東西陣営の対立が、この日本のトウキョウ市で顕在しているめだ。触発の状態にある。

定期会談がいく度となく聞かれているが、雲行きがあやしい。

そんな中で、竜は恵を守り、生きていかねばならなかった。力が総てだった。

 

 ポケットをさぐると、ジッポー・ライターがあった。

火をともし、出口を捜し始めた。どこまで続くか、わからない。

 

永久に外にでられないかもしれない。武器も手にしていない。

 前に光がみえたような気がする。急いでライターを消す。

 光がゆっくりとこちらの方へ近づいてくる。

竜は身をふせた。

 

ろうそくを前に、ナイフの鉄がかずむずと歩いてきた。

 

かなり疲れている。鉄は人の気配に気づき、

ろうそくを捨て、ナイフを身構えた。

 「誰だ。そこにいるのは。」

 「さすがだな、鉄。俺たよ、竜だ」

 「お前こんなところに、なぜ。」

 「アメ公にやられたんだよ。米軍トラック襲撃に失敗し、このざまさ」

「かれも似たようなものさ。お前も出口を披し困っているようだな」

「そのようだ」

「しかたがない。ここは共同戦線といくか」

 

2-3時間ほど歩き回った後、ようやく、ろうそくの炎が風でゆらいだのだ。

風の吹く方向へ進み巧妙に隠された出口へと導かれた。

 

竜は、妹の恵のことが心配だったのでアジトヘ帰ることにした。

鉄はしぶっていたが、やがて、それに同意した。鉄も恵の事が気になっている。

しかし、‥保安部につかまっていて、襲撃の情報をもらしたのが、鉄だと、竜にばれてしまう。

その危惧が、鉄を不安にする。

 

続く090901改訂

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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