腐敗惑星のアリス第21回●肉片の端々に機械部品が混ってキラキラと輝く。 ユニコーンはサイボーグだった。 ゆっくりと臭気の中をユニの肉片が舞い降りて 「よくも、ユニを…」 トリニティの眼が深紅に燃え上る
腐敗惑星のアリス第21回●
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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■肉片の端々に機械が混ってキラキラと輝く。
ユニはサイボーグだったのだ。
ゆっくりと臭気の中をユニコーンの肉片が舞い降りていく。
「よくも、ユニを…」
トリニティの眼がまっ赤に燃え上っていた。
禁断の実を口にほおり込む。もう、やけくそよ
禁断の実は甘かった。
変な味。気持ちが悪い。
「禁断の実」は、トリニテイの喉の粘膜から、
流動化する。粒子になった流動化記憶データとして、
トリニテイの脳まで流れ込んだ。
トリニテイの脳部位に、空白部分があった。
トリニテイの脳は、まだ完全ではなく、空きがあったのだ。
その場所をそれは占めた。
「あたしは誰なの」食べなきゃ良かった。
トリニティの意識が白濁する。
頭の中が、爆発したようだった。
■『娘よ』頭の中で声がする。
『私はお前の父だ』
ええっ、どうしたの、私。知らないわよ、そんな事。聞いていない。
『それに、おまえは、配偶者でもあるのだ、私の体は、お前の体のおかげで復活できる』
わかんない。どういうこと。
『お前は運命の道を進んできた。お前はこの生命球を作り尚ねばならぬ。
この腐敗した世界を作り直さねばならぬ』
急にトリニティの自己意識がトリニティの脳から、消える。
■別の生物が心の奥底からうかびあがってきた。
トリニティのからだの細胞が分裂する。
別のDNA情戦闘報が浮かびあがってくる。
トリニティの体が急激に膨張し、姿形が急変する。
「ふふ、ようやく本当の姿をあらわしたな、寂寥王よ」
戦闘16面体は新しいトリニティの姿に対して言った。
■寂寥王が出現していた。
「私に復讐しょうというのか、戦闘16面体。まだそんな過去の事を覚えているのか」
「過去だと、お前のおかげで、我々がこんな姿に変化させられたのを、忘れたとはいわせない」
「そうだ、私が、お前たちの生体構造を書きかえた。その姿の方が動きやすいと思ってな」
「お前のおかげで、我々はこの肉体の牢獄から出ることができないのだ。
我々を元の姿に分解しろ、寂寥王よ」
「分解したければそうしてやる」
寂寥王は手をなぎはらった。
「ぐわっ」戦闘16面体は16個の三角錘にわかれて散らばった。
「さあ、それで、私に対して闘えるというのかね」
「卑怯だぞ。寂寥王、、」
「しかし、寂寥王よ忘れているな。ここは機械城、我々が作ったエリアだ」
16面体の一人が言った。16の生命体の1つだ。
「我々には長い時間があつたのだ。
寂寥王よ、我々のもてる力、もてる時間をもって、この城に仕掛けを作った。
それを充分に味わってもらおうか」
機械城のあらゆる方向から、ヤリが飛んで来る。
機械ででき、自分で考えるヤリだ。
それは、自分の意志をもち寂寥王のねらうべき一点をついてくる。
すなわち寂寥王の頭である。
16面体の一人一人が自らの脳波を使い、数本のヤリを操る。
一度に脳をハリネズミの様にしようというわけだ。
寂寥王に恨みを持つ16人の考えが一致しなければできない芸当だった。
寂寥王は攻撃の的確さに恐れを抱く。
「貴様ら」
寂寥王の怒りの精神波が、それぞれの三角錐を襲う。
巨大な渦の様に、ねめあげる痛みが16面体の全員の意識をフェイドアウトさせた。
同時に、 16本のヤリがみごとに、寂寥王の頭を突き破っていた。
寂寥王の頭はまるでハリネズミだ。
寂寥王は一瞬、ゆらゆらと体を動かし、唐突に、フロアに激突する。
寂寥王の体は緩やかに収斂し、口から「黄金のリンゴ」がころがり出てくる。
再びトリニティの意識が呼び戻されようとしていた。
トリニティの脳部位に流れ込んでいた機械脳が、
危険を感じ、黄金のリンゴに収斂していた。
(続く)20210921改訂
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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