日本人の日序章 第20回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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■宇宙のあるラインハルトのJVO(日本壊滅組織)アルゴステーションで日本人組織が戦っていた。
角田が動くより早く、ゾンガがヤコフ21の前まで、走り込み、飛
びかかっていた。
「こしゃくな小僧め」
ヤコフ21はゾンガの体あたりをかわし、右手を一閃し、ソッガを
壁ぎわまで吹きとばした。ゾンガは壁にぶちあたり、動かなくなっ
た。
「おやおや、やわなガキだな。さあ、大人のお前なら、充分相手に
なってくれるだろう」
ヤコフ21は両手をひろげ、角田をつかもうとする。すばやく角田
は逃れようとするが、ヤコフは体の大きさに比してすばやく動く。
角田は左手をつかまれた。身長2m30mのヤコフは角田の体をゆっ
くり持ちあげた。
「さあ、ジャップ。まずは左手からちぎってやろうか」角田の左手
は痛さでちぎれそうだ。
ヤコフの能面の様な顔からは表情は見えないが、勝ちはこった声
だった。
角田は回し蹴りで右足でヤコフの右眼をつきやぶる。
角田の宇宙服の右足には、ハイマンガンスチールの突び出しナイ
フが付いていた。
「ぐわっ」ヤコフ21は痛みと驚きで、思わず、角田の体を投げ飛ばす。
角田の体は重力場の作業用テラスまで投げ出された。このテラス
には作業用マニュピュレーターのコンソールがあった。
角田はコンソールを操作し、3本の作業用マニュピュレーターを
使いヤコフ21の体をがっちりととらえる。
角田はこのマニュピュレーターを使いヤコフ21の体を壁にぶつける。
しかし、ヤコフ21は両手でマニュピュレーターの一本を持ち、途中から
ボキリとちぎり取った。
ヤコフ21は力いっぱい壊れたマニュピュレーターをコンソールに
むけて投げる。
マニュピュレーターは槍の様にコンソールをつき破る。コンソー
ルは爆発する。
角田は一瞬、コンソールテラスから体を投げ出すが。爆風でフロ
アにたたきつけられた。
ヤコフ21の体が角田の方へやってくる。右眼は見えないようだ。
体についた2本のマニュピュレーターをはじき飛ばす。
重力場の上の方から誰かの姿が見え隠れする。がヤコフ21はまだ
気づいていない。
角田は、ヤコフの体がおおいかぶさってきた一瞬、わきに装着し
ていた短剣を突き出す。無意識の動きだ。その短剣はハイチタンの
ヤコフ21の体をつら抜く。
ゾンガの祖父酋長ワナガから与えられた短剣だった。
「ぐわっ」短剣はヤコフ21の中枢機能まで突き届いていた。
ゾンガは、ヤコフ21に投げ出されていたが、意識が戻ってきた。
ゾンガも、祖父酋長ワナガからもらった王者の槍を持っていた。
苦しんでいるヤコフ21の首すじに槍をつきたてだ。槍は首をつき
抜ける。命令回線を破壊した。
ヤコフ21は後をふりかえる。右手でゾンガの頭を打ちすえる。
さらにヤコフの左手が、再びゾンガの体を空に浮かべていた。
「角田、これを受けとれ」叫び声だ。
重力場の上から、日本組織の指導者、花田万頭の姿が見え、何かを角田へ投げた。
日本刃だった。落ちてくる日本刃をはっしとつかんだ角田は、さ
やから抜き、日本刃を一閃する。
ヤコフ21のハイチタンの体は、まっ二つに切りさいた。けさがけ
に切りおとす。
ハイチタンの体を、古代の鍛えられた武器が切りさいたのだ。
角田は、宇宙服の中で血まみれになっているゾンガの側へ走り寄
る。
「ゾンガ、聞こえるか」
「ああ、角田、僕達は勝つたんだね」わずかに口を開いた。
「ああ、君のおかげさ、ありがとう」
「ねえ、僕は勇者だったろう」
「そう、君は勇者だ」ゾンガは静かに眼をとじる。
ゾンガは息たえた。
「ゾンガ」
角田はゾンガをだきかかえる。
■地球地上では、アコンカグア、酋長ワナガのアシュア族のは、飛来してきたヘリの攻
撃を受けていた。
JVOの連中ラインハルトの関連傭兵部隊である。ロケット発射の日本人を助けたための制裁処置だった。
『おじい、僕は勇者になったよ』
酋長ワナガの耳に孫ゾンガの声が聞こえたような気がした。
「孫よ」
アシュア族酋長ワナガも向かってきた攻撃ヘリのコックピットに槍を投げ、見事
に、コックピット内の操縦手の胸をつき抜いた。
「くそっ、こいつめ」
副操縦手はワナガに向かって重機銃を集弾させる。
ワナガの体はバラバラに吹き飛び、アフリカの大地に血が流れ、
しみ込んでいった。
日本人の日序章 第20回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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