リュウノヒゲは、グランドカバ-として人家や公園、街中で広く利用されている身近な常緑の多年草です。
自然の中でリュウノヒゲは、林床に広がっています。
こんもりとした草をかき分けると、キラリ!と輝く瑠璃色の実が見つけられるかもしれません。
じつはこの実、形態学的には「種」にあたります。
種の付き方は面白くて、一つの萼に1個から5個位まで付きます。
<上の写真>は青い種の周りに、未熟な小さい緑色の種が付いています。
<下の写真>は一つの萼に青い種が3個付いたりしています。
種は、成熟前に果皮から露出して、青く熟します。(イメージとしては、ミカンの皮が剥奪してヘタに種だけが付いてる感じ)
種を半分に切ってみると、
青い肉厚の外皮とその内側にある半透明の種本体とに分かれています。
外皮は鳥へのごちそう。本体は、弾力性があり消化されずに、糞と一緒に排出されます。
種をポトンと固い地面に落とすと、スーパーボールのように弾みます。
こんな絵を描いて、オリジナルのクリアファイルを作ってみました。
場所は私が観察地としている埼玉県の秋ヶ瀬公園、ピクニックの森で、毎年3月にキレンジャクやヒレンジャクが飛来してきて、青い種を食べます。
木々の多くは、12月から1月に実がなります。けれども、リュウノヒゲは
餌となる木の実も虫も少ない立春の食糧難の頃から、地面で青い種を色づかせるのです。
鳥に被食散布をしてもらう、リュウノヒゲの生存戦略かもしれませんね。
リュウノヒゲは梅雨の頃、薄紫色の小さな咲をかせます。
3年間、栽培したところ、リュウノヒゲには「草だけのタイプ」と少数の「花をつけるタイプ」の2種類があることが、わかりました。
実付きの株は、毎年花を咲かせましたが、草だけの株は何年たっても花が咲くことはありませんでした。
新しい遺伝子を持った種は、林のあちらこちらで発芽し、
地面の下で、ほふく茎を伸ばし、子株を殖やして群落を拡大していきます。
一種類のクローンの群落であったなら、草がウイルスに感染した場合など全滅する恐れが高まりますが、
この2つのタイプの草のおかげで、リュウノヒゲは勢力を保ちながら、子孫に命を繋いでいきます。
本当に植物の生命力はたくましい。
こちらは福音館書店刊 2017年3号かがくのとも「リュウノヒゲ」です。よろしかったら、読んでみてください。
品切れ中なので、図書館で借りるか、中古でしたら入手できるかもしれません。
こちらは、現在発売中の
いけばなの月刊誌「小原流挿花」2月号です。
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