A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

「ジェラルド・ウィルソン」というとあまり話題にはならないが・・・・

2013-05-11 | MY FAVORITE ALBUM
Gerald Wilson Orchestra of The 80’s / “Lomelin”

連休中の新宿SomedayのBig band weekはマイク・プライスのビッグバンドで幕を開けた。
マイクのビッグバンドは昨年エリントンの大作と取組んだが、「今回はジェラルド・ウィルソンのアレンジを取り上げる」と以下のようなメールが届いた。

4月26日(金)マイク・プライス・ジャズ・オ-ケストラ と ジェラルド ウィルソンの音楽
スミソニアンジャズ ライブのお知らせ

ジェラルド ウィルソン について

ジェラルド・ウィルソンはアメリカのジャズ作曲家・バンドリ-ダ-の中で現在最も年長者であり敬意を表されている人であろう。
95歳の誕生日を半年後にひかえた今でもなお、『将来』の演奏へむけて新たな曲を書き進めている。1939年ジミー・ランスフォードバンドで活動を開始してからジェラルドはジャズの歴史とレガシーと共に歩み今その頂点に鎮座する者となる。
ジャズオーケストラの作曲はジミー・ランスフォード時代に始まり、特に“Yard-dog Mazurka.”の制作に大きく関わる。
長年に渡りベニ-・カ-タ-、デューク・エリントン、カウント・ベイシー、ディジー・ガレスピー、ライオネル・ハンプトンのバンドに貢献。
そしてサラ・ヴォ-ン、レイ・チヤールズ、ジュリー・ロンドン、エラ・フィッツジェラルド、ビリー・ホリデイ、ダイナ・ワシントン、ナンシー・ウィルソン他多くのジャズシンガーが彼の編曲を求めその才能を高く評価している。

1960年代以来、彼のロサンジェスを処点としたオーケストラは数々のアルバムをパシフィックジャズレコードより出版し国際的な好評を博す。
そして世界中のジャズファンは彼のビッグバンドジャズの作曲におけるユニークな個性ある音作りを知ることとなる。
また、ウィルソン氏が指摘したように、8音和音(8コの音よりなるハーモニー)を使用しハーモニーの幅を広げるという彼の発想の現代性が注目を集める。
更に、闘牛士ホセ・ラモン・ティラドにより触発されたポピュラーなヒット曲‘ティラド万歳’や彼のジャズに反映されるスペインやメキシコの感性をもって彼の芸術性の新たな側面を見出す。

近年はウィルソン氏にとって引退を吹き飛ばすような数々の良いことに恵まれている。1998年にはモンタレージャズフェスティバル委員会の依頼を受けその年に演奏された‘モンタレーのテーマ’を作曲。
同様な活動が、カーネギィーホールジャズバンド、リンカーンセンタージャズオーケストラ、シカゴジャズアンサンブル、やヨーロッパの多くのラジオ局のジャズオーケストラで継続。モンタレーのテーマは‘モンタレームード’としてマックアベニューレコード レイベルでの最近のレコーディングにて甦った。
2009年9月にはデトロイトジャズフェスティバル委員会より依頼を受け名誉ある30周年記念で彼の8楽章組曲‘デトロイト’を指揮している。

最近のロサンジェルス訪問で、マイク・プライスは、活発に作曲活動を続けその若々しいエネルギーを新曲制作と演奏に向けているジェラルド・ウイルソンを訪れた。しかし残念なことにジェラルド・ウィルソンの日本への演奏旅行は予定されていないのでマイク・プライスは「日本のジャズ・ファンはジェラルド・ウイルソンの生演奏を非常に聴きたがっている」と勧めた。

マイク・プライスは、1970年代と1980年代に、最近では昨年夏ロサンジェルスで、ジェラルド・ウイルソンのバンドで演奏しているので、彼の音楽を熟知している。
ジェラルド・ウイルソンの祝福を受けて、マイク・プライス・ジャズ・オーケストラは、4月26日(金)に新宿「サムデイ」において「ジェラルド・ウイルソン・ジャズ・コンサート」を開催します。


アメリカワシントンDCにあるスミソニアン協会によって催される
広く世に知れた「スミソニアンジャズ感謝・鑑賞月間イベント」において、
「スミソニアンジャズ感謝・鑑賞月間イベント」について
http://www.smithsonianjazz.org/
click on Jazz Appreciation Month (JAM)

UNESCO
国連の教育科学文化機関 ユネスコ本部 が今週を国際ジャズデイとしてスポンサ-になっています。
東京での私たちの演奏もその一つに含まれています! 
どうぞ下記のリンクをご覧ください。(International Jazz Day)
http://www.unesco.org/new/en/unesco/events/prizes-and-celebrations/celebrations/international-days/international-jazz-day-2013/

日時  4月26日(金)
    19:45~、21:15~
場所  サムデイ (新宿)
    Tel 03-3359-6777
    新宿1-34-8 新宿御苑前ビルB1(やよい軒の地下)
    地図 http://someday.net/shinjyuku.html
Music Charge ¥3465
予約の際は mikejazz@gol.com

メンバ- 
大山日出男(as, clar) 土井徳浩 (as, clar)
川村裕司(ts)ジェ―ムス・マホ―ン(ts)
竹村直哉(bs)
佐久間勲(tp)田中哲也(tp)
高橋一光(tp) 今里通夫(tp)
西山健治(tb)内田光昭 (tb) 鹿討 奏(tb)堂本雅樹(btb)
稲垣 貴庸(d)早川哲也 (b) あびる竜太 (p)
マイク・プライス(trumpet & conductor)

Mike Price 舞空




確かにジェラルド ウィルソンは現役では最長老のアレンジャーだと思うが、まだまだ元気に活躍中とは驚いた。にも関わらず、日本ではあまり取り上げられることはないし、人気も今ひとつだ。
自分もウィルソンのアルバムとなるとそれ程持っている訳ではない。来日したことが無いのもひとつの要因だとは思うが、どうも西海岸で活躍しているアレンジャーやミュージシャンは、日本での認知や人気は今ひとつのようだ。だが、実際に聴いてみるとビックリするような人が多い。一昨年に来日したカールサンダースがそうであったように。

丁度、この日はゴルフで群馬に泊まりであったが、これは聴き逃すわけには行かず、トンボ帰りで東京へ戻った次第である。
昨年の「エリントン特集」は寂しいライブであったが、今回はまずますの入り。本来であれば、めったに聴けないライブなので満員になっても不思議ではないのだが。
ネットでの情報流通が活発になっているのでその気になれば情報を得やすくなったものの、なかなか普段から情報を探していないと見つからないものだ。聴き逃して残念な思いをしている人も多いと思う。


ウィルソンのアレンジは正統派だが、新しいものを取り入れ進化してきた。という意味では、根っからの伝統的な4ビートというより、8ビートやラテン(特にメキシコ)のリズムも積極的に取り入れたモダンビッグバンドの先駆者でもある。サウンドはどちらかというと、シャープで堅めの印象を受ける。

40年代から今まで活躍し続けているので、各時代の作品が残されているが、60年代の後半、サドメルを始めてとして東海岸でビッグバンドが元気を取り戻し始めた時、ウィルソンも西海岸で頑張っていた。以前その時のアルバム“Live and Swinging”は紹介したことがある。

今回は、少し後、80年代のアルバムを久々に聴きなおしてみた。記録を見ると、これは12年ぶりのアルバムだそうだ。ということは、‘67年のライブを含めてPacific Jazzに残されているアルバム以降は無かったということになる。その間活動を中止していたかというとそうではない。大学で教鞭をとり、ラジオの番組も持っていたという。単にアレンジャーとしてではなく、オールラウンドでジャズ界には貢献している。モンタレージャズフェスティバルのプロデューサーとしても活躍していた。

久々のレコーディングのメンバーを見渡すと、ハロルドランドなどウェストコーストを拠点とするミュージシャンに、サドメルのメンバーであったジェロームリチャードソンやガーネットブラウンなどの顔も見受けられる。70年代にニューヨークのスタジオミュージシャンの大移動があったが、彼らも西海岸に移っていたのか。

曲はすべてウィルソンのオリジナル。タイトル曲の闘牛士Lomelinに捧げた曲は、お得意のメキシカンタッチ。オスカーブラッシャーのトランペットが光る。フルートやピッコロを攻撃的に使ったアレンジも光るが、ジェロームリチャードソンのお得意のフルートやソプラノのソロも聴ける。この時すでに60歳を過ぎていたジェラルド・ウィルソンの若々しさが衰えないアレンジはさすがだ。その意欲が今の活躍に繫がっているのだろう。
60歳を過ぎてからの人生、自分も見習いたいものだ。

1. Lomelin
2. Ay-ee-en
3. See You Later
4. You Know
5. Triple Chase
6. Blues For Zubin

Gerald Wilson (Composer,Arranger,Conductor),
Bobby Bryant (tp,flh)
Rick Boptist (tp,flh)
Eugene “Snooky” Young (tp,flh)
Oscar Brashear (tp,flh)
Jimmy Cleveland (tb)
Garnet Brown (tb)
Thurman Green (tb)
Mourice Spears (btb)
Jerome Richardson (as,ss,ts,fl,piccolo)
Buddy Collette (as,fl piccolo)
Henri De Vego (as,fl,piccolo)
Jack Nimitz (bs)
Roger Hogen (as,fl Piccolo)
Harold Land (ts,fl)
Ernie Watts (ts,fl)
Mike Wofford (Mason Homlin BB ,p)
Harold Land Jr. (ep)
John B.Williams (b)
Paul Humphrey (ds,per)
Bob Conti (g)
John “Shuggle” Otis (g)
Jo Villasenor Wilson (Copyist)

Recording Engineer : Ami Hadani
Recorded at T.T.G. Studio 1,Los Angels March 13&14 1981


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初のリーダーアルバムを目指して誰もが切磋琢磨しているが・・・

2013-04-27 | MY FAVORITE ALBUM
Foot Steps / BREEZE

久々に尾崎将司がニュースに登場した。トーナメントでエイジシュートとはたいしたものだ。それも62というスコアで。流石に尾崎は歳をとっても確実に布石を作っていっている。

ゴルフの世界で、プロのライセンスを持っているゴルファーは何千人もいる。しかし、ツアーに出られるとなると毎週100人くらい、年間を通して色々な推薦出場を入れてもツアーの世界で活躍できるプロは200人もいないであろう。さらに、その中で毎回のツアーで決勝に残り、賞金にありつけるのは50人足らず。年間でシードが取れる人数もその位だ。まして優勝できる実力の持ち主となると、運も含めてその中の一握り。
厳しい勝負の世界だ。
その中で、歴史に名を残すのはまた一部。

ジャズの世界でも、ジャズを演奏するミュージシャンは数千人、いや数万人いるかもしれない。しかし、その中でプロとして活躍し、ライブやコンサートをこなし、さらにはCDを出すまでに至るミュージシャンはほんの一握りだ。

スポーツの世界のようにNo.1を決めるのが目的ではないので、CDを出すミュージシャンは何人いてもいい。ところが、商売第一のレコード会社がジャズに力を入れている訳でもく、積極的にCDを出すためのミュージシャンを発掘する時代でもない。多くは、自費制作のような形でインディーズから世に出るものが多い。
さらに、世の中はネット全盛期。CD自体の売上が新譜・旧譜を問わずジリ貧状態。はたして、「CDを出す」といいうこと自体が無くなってしまうかもしれない状況なのだが・・・。

しかし、レコードから始まCDに至る「メディア」全盛時代では、CDを出すというのはプロにとっては有名になるための一つの登竜門。誰もが一度は「CD制作&発売」を夢見ていた。

当然、レコード(CD)デビューした者にとっては、初録音、そして初のリーダーアルバムというのは勲章のようなものだし、一生の記念だ。

先日紹介した野口久和Big Bandの専属コーラスグループ“BREEZE”にもデビューアルバムがある。
1992年に結成されたグループだが、5年間の活動で満を時して制作されたのがこのアルバム。結成当時とは若干メンバーも代わり、男2人女3人の5人組。現在のメンバーでこの中で残っているのは磯貝貴庸と小菅けいこの2人だけだ。アンサンブルを主体とするグループは新たにグループを作るとき音作りが大変だと思うが、コーラスの場合はなお更だろう。あのマンハッタントランスファーも初のレコーディング前には週6日、6週間の練習をしたとか。メンバーが代わるとまた一からやり直し。なかなかベストな状態を維持するのは難しい。

とすると、このアルバムもグループとしては初アルバムかもしれないが、実際にはこの5人組編成の時点での集大成。グループの歴史を振り返ってみても、きっといくつかの節目があったと思うが、このようなCDの形で残っているのは幸運といってもよいかもしれない。

ネット時代になり、世の中シームレスな時代と呼ばれている。確かに場所も時間も、そしてバーチャルもリアルも節目無く自由に結びつき拡大している。
一見便利なように思えるが、昔のように節々を明確にし、次のステップへとつながっていく足跡(Foot Steps)が確実になっている方が物事の理解と関係性が明確に分かるような気がする。

今こうやって、古いCDやレコードを聴きながら昔を思い出し記憶を繋げているが、これがもしネットの世界だけでできるかといえば多分情報はあっても不可能であろう。

1. Fil The McNasty
2. No More Blues
3. Stolen Moments
4. Joy Spring
5. Hey Jude
6. Evening Show
7. Perdido
8. Here’s That Rainy Day
9. Nune-No-Furiko (胸の振子)
10. The Island
11. On Green Dolfhin Street
12. Omae-no-Umaretahi (お前の生まれた日)

BREEZE
石川 真奈美
小菅 けいこ
中村 早智
迫田 晃和
磯貝 隆昭

原 朋直 (tp)
山口 真文 (ts)
佐藤 允彦 (p)
砂田 知宏 (p)
納 浩一 (b)
大坂 昌彦 (ds)
岡部 洋一 (per)

Recorded on Jan. 5,6 & Feb. 28 at King #1 Studio, Tokyo
Ecording Engineer : Takao Suga

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メンバーが若返ってますます元気に・・・・

2013-04-24 | MY FAVORITE ALBUM
Wayne / Masaru Uchibori & MU Big Band

内堀勝のMUビッグバンドが冬眠明けの今年初のライブがあり始動を始めた。1995年にバンドができて彼是20年近く。長く続いているバンドのひとつだ。



ビッグバンドのリーダーはプレーヤーがリーダーになるケースと、アレンジャーがリーダーになるケースがある。プレーヤーがリーダーだと、歳をとってもバディーリッチやメイナードファーガソンのようにプレーヤー自身が先頭に立って若者を引っ張って進化していくバンドもあるが、昔のスタイルのまま昔からのサウンドを大事にして進化をとめてしまうことが多い。

一方で、アレンジャーの場合は歳を重ねるとアレンジはかえって経験が増して多彩になっていく。ゴードングッドウィンも彼のアレンジがバンドカラーそのものだが、アルバムが出る毎に進化をし続け、メンバーもそれに応えていく。いつも新しいアルバムを聴くのは楽しみだ。

この内堀勝のビッグバンドもアレンジャーである内堀のオーケストラ。古いアレンジは20年以上前のものもあるという。新しいアレンジもあるし、他のオーケストラに提供したアレンジを入れたら、レパートリーは数知れない程あるのだろう。

この日は、「ブルースを多めに」とのコメントがあったが、持ち駒の中から自在にプログラムを組めるのもアレンジャーの率いるビッグバンドの強みだ。

結成時のメンバーで制作されたこの初アルバムは2004年の録音。今から10年前だ。
メンバーを見ると一流揃いのオールスターバンド。現在のメンバーは各セクションのリーダー格は当時のメンバーが残っているが他は若手に入れ替わっている。数年前に若手中心の今のメンバーに入れ替えたと聞く。

リードアルトの萱生昌樹は最近は他のオーケストラでもサックスセクションの要を努めることが多い。今やリードアルトでは若手のNo.1であろう。彼がフィーチャーされたのは”In a sentimental Mood”。この曲は以前のメンバーだったリードアルトをフィーチャーしていたので、彼が替わってからしばらくやっていなかったとのこと。このプレーが収められている演奏がYou tubeで10万回を超えるアクセスがあったということだが、自分は寡聞にして知らなかった。

気になったので、家に帰って早速見たら近藤淳だった。今は923Big bandのリードアルトだが、そこでも得意なバラードプレーは健在だ。この近藤淳と較べても萱生のプレーはなかなかであった。



このアルバムに収められている曲から、Lullaby for Y.U.と、賑やかなBoogie Woogieが演奏されたが、内堀のアレンジは特に奇抜さは無い正統派、しかし細かいところに仕掛けがある飽きないアレンジが多い。

自分が歳をとったかどうかのチェックポイントは、「行きたいと所がある」「会いたい人がいる」「食べたい物がある」の3点セットが日々の生活で持続されていることだそうだ。
もうひとつは、若者とも付き合っていると気が若くなる。確かに歳をとると、同窓会、OB会で旧友に会う機会が増えるが、大体は昔話。内堀もメンバーを一新したのは、昔話を繰り返すのは避けたかったのかもしれない。

若さを保つには、これに若い彼女でもできたら完璧なのだろう・・・。

今週末から新宿 Somedayはビッグバンド祭り。さて、何日行けるか?




1. Wayne
2. It Don't Mean A Thing
3. Emily
4. Just Friend
5. Nefertiti
6. Don't Get Around Much Anymore
7. Remember Mingus
8. Lullaby For Y.U.
9. Traffic Light Blues
10 .Boogie Woogie

近藤和彦 (as,aa,fl)
池田篤 (as)
三木俊雄 (ts)
岡崎正典 (ts,cl)
宮本大路 (bs)
エリック宮城 (tp)
菊池成浩 (tp)
木幡光邦 (tp)
佐久間勲 (tp)
岡崎好朗 (tp,fh)
片岡雄三 (tb)
橋本佳明 (tb)
三塚知貴 (tb)
河野聡 (btb)
守屋純子 (p)
佐藤慎一 (b)
稲垣貴庸 (ds)

Producer : 内堀 勝
Recording Engineer : Andy Waterman
Arranged & Conducted by Masaru Uchibori
(except 7 by John Laporta)
Recorded on May.26 & 27,2003

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今年の来日ビッグバンドはゴードングッドウィンから・・・・

2013-04-14 | MY FAVORITE ALBUM
Act your Age / Gordon Goodwin’s Big Phat Band

連休中は恒例になったSomedayのビッグバンドシリーズを筆頭にBig bandのライブが目白押しだ。神田には新たな施設のオープンに合わせて、無料のジャズコンサートが開催される。これにも再編された秋吉敏子のオーケストラを始めとしていくつかのBig bandが出演する。その後はバディーリッチのメモリアルBandも来日するようで、今年も来日するビッグバンドは多そうで楽しみだ。



今年の来日ビッグバンドの先頭打者はゴードングッドウィンのBig Phat Band。最初のアルバムが出た頃は一部ファンの知る人ぞ知るオーケストラであったが、ここ数年は毎年来日しているのですっかりお馴染みになった。
以前来日したときも記事にした記憶がある。今回ですでに5回目の来日、グッドウィンもすっかり日本贔屓になったようで、今回も益々パワフルな演奏を聴かせてくれた。

このアルバムは、日本盤も同時に発売されるようになった前々作。このあたりから日本でもすっかり人気バンドになった。このアルバムに納められている”Backrow Politics”も小道具を含めてショーアップされて、今回のステージでもハイライトになっていた。プロミュージシャンとして競争に勝ち残って(特に西海岸で)活躍しているこのバンドのトランペットセクションに捧げた曲だそうだが、ハイノートを含むソロの掛け合いはド迫力であった。誰がNo1というのではなく、トランペットセクション全員がサックスセクションより「勝ち」という落ちがついて。



このアルバム、実は通常のCDのほかにDVDも入っている。5.1chサラウンドでも聴けるし、ライブの映像や、曲やアーティストの紹介、自分でミキシングできるトラックや新人紹介まで入っている内容盛りだくさんのお徳盤。聴くだけでなく、グッドウィンやメンバーの人柄も分かりより身近な存在になる。なかなかCDが売れない時代と言われているが、このような配慮と努力がファンを増やすことになるのだろう。
たまたまこのグッドウィンのライブには、以前は息子を連れて行ったらすっかりジャズファンになったし、今回もジャズの興味に持ち始めた知人を連れて行ったら、お気に入りになった様子。ファンが増えて話相手が増えるのはいいものだ。

グッドウィンのBandの良さは、自身語っているように4ビートから、ファンク、ラテン、そしてクラッシクまで何でもありなのだが、グッドウィンの絶妙なアレンジで、それらが「ごった煮」にならないバンドカラーを持っていることだろう。
グッドウィンは西海岸を拠点として、普段は映画音楽なども多くこなしているようだ。映画音楽というのは、タイトルやシーンに合わせて表情豊かに映像のバックを飾るのが役割。ということは、アレンジにも多彩な技が求められると思う。例えば、メロディーがシンプルであっても、一つの曲がテンポやリズム、あるいは使用する楽器を変化させることで、実に色々な表情を持つようになるように。

このようなアレンジテクニックを、聴かせるためバン“Big Phat Band”のアレンジでも多用するのがグッドウィンの良さだ。ライブのステージでもそれに応えるメンバーの力量もたいしたもので、自在に変化するアレンジでも一糸乱れぬアンサンブルは実に聴いていて気持ちが良い。サウンド的にはある意味マリアシュナイダーとは対極にあるようなビッグバンドだが、スインギー&ファンキーな演奏が好きな好事家にはたまらないだろう。

今回は2ステージ聴いたが、1st Setと2nd Setのマリエンサルの違いに関心、曲想によってがらりと違う雰囲気に改めてメンバー達のプレーの多彩ぶりを実感した。
秋には新しいアルバムも出るようで、今回のステージでも一部披露されていた。アルバムを作る度に、グッドウィンのアレンジは益々難しくなっているそうだが、それをこなすメンバーのプレー振りが楽しみ。
バンドができて歳を重ねると昔の曲を繰り返し演奏することが多くなるものだ。いわゆる懐メロバンドだ。このアルバムのタイトルは、「年相応に振舞え」という意味かもしれないが、どうやらこのバンドは、進化が止まることなくグッドウィンのアレンジとメンバーのホットな戦いがいつまでも続きそうな気がする。彼らを見習って歳をとってもヤンチャに生きたいものだ。

1. Hit the Ground Running   Gordon Goodwin 4:5
2. Watermelon Man      Herbie Hancock 5:28
3. September        Maurice White 4:29
4. Yesterdays        Jerome Kern 3:19
5. Se�or Mouse       Chick Corea 5:00
6. Punta del Soul      Dave Grusin 5:04
7. Act Your Age       Gordon Goodwin 5:47
8. Chance Encounters     Gordon Goodwin 7:35
9. Backrow Politics     Gordon Goodwin 8:05
10. East Coast Envy      Gordon Goodwin 5:13
11. El Macho Muchacho     Gordon Goodwin 6:10
12. Gumbo Street       Gordon Goodwin 6:33
13. Floating Home       Gordon Goodwin 6:22
14. I Wish           Stevie Wonder 6:10

Gordon Goodwin's Big Phat Band

Wayne Bergeron (tp)
Dan Fornero (tp)
Dan Savant (tp)
Bob Summers (tp)
Pete DeSuinna (tp)
Andy Martin (tb)
Alexander Iles (tb)
Francisco Torres (tb)
Charlie Morillas (tb)
Craig Ware (btb)
Jeff Driskill (ts,fl,cl)
Sal Lozano (as,fl,pic)
Eric Marienthal as,ss,fl)
Brian Scanlon (ts,fl,cl)
Jay Mason (bs,bcl)

Gordon Goodwin (p,ts,ss,arr)
Andrew Synowiec (g)
Grant Geissman (g)
Rick Shaw (b)
Bernie Dresel (ds)
Brad Dutz (per,vib)

Nathan East (eb)
Chick Corea (p)
Dave Grusin (p)
Lee Ritenour (g)
Art Tatum (p)
Patti Austin (vol)

David A. Helfant A&R, Executive Producer
John Trickett Executive Producer
Produced by Lee Ritenour with Gordon Goodwin & Dan Savant
Recorded at Capital Studio Hollywood & Schinee Studios Studio City

Act Your Age
クリエーター情報なし
Immergent
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自然美と人工美の組み合わせで・・・・・

2013-04-09 | MY FAVORITE ALBUM
The Very Best of Glenn Miller

春の新緑の頃は自然美を感じるには一番の季節だ。暖かくなってゴルフもいよいよシーズンイン。野山の自然の緑も美しいが、ゴルフ場のレイアウトに映える緑も人工美と組み合わさって美しい。
先週末は春の嵐で「外出を見合わせるように」との天気予報も出て、ラウンドを取りやめた人も多いと思う。自分はゴルフ好きの仲間とのラウンド予定。ギリギリまで予報を見極めて決行と相成った。

コースに着くと、風が若干あったものの日差しも出ていて絶好のゴルフ日和。案の定キャンセルもかなりあったようで、コースも空いていてのんびり気楽なラウンドを楽しめた。
途中で、にわかに黒い雲が空を覆い雨がぱらつく事もあるという目まぐるしく天候が変化する一日であった。傘をささなければならない程の降りには至らず、それも自然を味わう小道具のひとつであった。





さて、最近の映像や音楽の世界はデジタル処理が一般的になっている。映像では撮影素材にCG処理されたものを当たり前のように編集している。音楽では新しい録音がすべての工程でデジタル処理されているのは当たり前だが、古い録音もデジタルリマスーと謳っているものが多い。きっと以前のアナログより良い音になっているのだと思うが、新たに買って手持ちの物と比較して聴くようなことはしないので、果たしてどの程度の違いがあるものなのか?
一度はじっくり比較してみたいという興味はある。

デジタル処理はさらに進んで、古いモノクロ映像に色が付いたものが現れビックリしたが、音楽の世界でも古い録音のノイズ除去された物も多くなっている。特に、古いSP版のノイズは仕方が無いものと諦めていたら、何とこのノイズを取り去って全面的にクリーンアップした物があると・・・。

程度の違いはあれ、これでは自然体の美しさというよりも、徹底的に整形美を追求して、どちらが美しいかを比較しているような事。自然体を好む自分としてはあまり食指は動かなかったのだが。
レコードの世界では昔、ステレオが世に出た時、古いモノラル盤を無理やりステレオにした「にせステ」なるものが流行った。しかし、いつの間に音質を追求するのであれば、モノラルのままが良いということになり、にせステはいつの間に世の中から消えていった。

とは言うものの、一度はこのSP盤からの「大整形作業」の結果を味わってみようと思って購入したのがこのアルバム。
演奏の元はオリジナルのグレンミラーオーケストラ。1944年第2次世界大戦中に亡くなったグレンミラーなので、オリジナルはSP盤でしか聴くことのできないので、今まで復刻されたものを含めてオリジナルグレンミラーサウンドというのは、SP盤の音であった。
果たしてこの音がどう変わっているか?

この盤を聴き始めてもSP盤の雰囲気はしない。確かにダイナミックレンジも狭いし、最高の録音というわけにはいかないが、SP独特のノイズに塗れた音ではない。
演奏その物はオリジナルグレンミラー。懐かしのサウンドを良い音で聴けるのはやはりいい。
たまには整形美人と付き合ってみるのも悪くないものだ。ゴルフ場の自然を楽しむように。

1. In the Mood
2. Moonlight Serenade
3. Don't Sit Under the Apple Tree (with Anyone Else but Me)
4. Tuxedo Junction
5. A String of Pearls
6. Pennsylvania 6-5000
7. "Chattanooga Choo-Choo (From the 20th Century Fox film ""Sun Valley Serenade"")"
8. American Patrol
9. (I've Got a Gal in) Kalamazoo
10. On A Little Street In Singapore
11. The St. Louis Blues March
12. A Nightingale Sang In Berkeley Square
13. Star Dust
14. Little Brown Jug
15. When You Wish Upon A Star
16. The Woodpecker Song
17. G.I. Jive
18. Fools Rush In
19. Over There
20. Blueberry Hill
21. Over The Rainbow
22. Serenade In Blue
23. When Johnny Comes Marching Home
24. In the Mood


Very Best of
クリエーター情報なし
Sony UK
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昨年来日したビッグバンドで一番盛り上がったのは・・・・MARIA SCHNEIDERでは?

2013-04-05 | MY FAVORITE ALBUM
Evanescence / Maria Schneider Jazz Orchestra

昨年2012年は来日ビッグバンドの当たり年だった。老舗のベイシー、エリントン、毎年の来日がレギュラー化したMJO、VJO、そしてゴードングッドウィン。どのライブも盛況であった。
それらに混じって初来日のオーケストラがあった。待ち遠しかったマリアシュナイダーのオーケストラだ。前年の予定が震災、原発事故の影響で来日が延び延びになっていたようだが。

自分のビッグバンド好きは、エリントン、ベイシーに始まり、クインシー、バディーリッチと続き、そしてサドメルに入れ込んだ。
このマリアシュナイダーにはそれ程の思い入れがある訳ではなかった。しかし、一度は生で聴いてみたいとは思っていたので、来日を楽しみにはしていた。



初日の12月17日(Bluenoteのライブレポートはこちらで)、ゴルフ帰りに会場のブルーノートに駆けつけると会場はすでにごった返していた。ビッグバンドだと普段は年配の方々が多いが、この日は若者が多い、そして女性も。ミュージシャンの顔も多く見掛けた。

開演とともに流れるようなシュナイダーの曲が始まる。メンバーには、MJOで来日したスコットロビンソンの姿も。彼もこのオーケストラでもレギュラーとして長い。
いつものビッグバンドのような体が浮き浮きするような雰囲気ではない。ある種霧が体全体を包んでいくような感覚だ。曲が進み、お馴染みの曲が始まると、何ともいえぬどよめきが起こる。「濃い」ファンが多いのだなと、彼女の人気に対する認識を新たにした。

昔、色々ビッグバンドを聴いた時、ギルエバンスのアルバムは、何故か意識の外で聴いていた。ただしマイルスとの共演アルバムは別だった。サドメルに入れ込んでいたとき、ボブブルックマイヤーのアレンジの曲になると何か別の世界に入った感じがした。サドジョーンズのバラードも素晴らしかったが、それとは一味違った物であった。
メルルイスのオーケストラになって、ブルックマイヤーの曲がまた増え、サドメル時代とは少し違った印象を受けたが、のめり込むことはなかった。

それは、日々都会の喧騒の中での生活をおくっているある日、別荘の自然に包まれた清清しい休日を一日過ごした時の気分のようなものだった。休日が終われば、また都会の生活に戻って行った。

そして、シュナイダーのオーケストラが登場した。90年代の半ば、その頃自分は新しいジャズに対してはすっかりキャッチアップしていく意欲が失せていたが、この彼女のファーストアルバムは持っている。いつ買ったのは記憶が定かではないが。

数年前、ブログを始めるにあたって手持ちのLP、CDを聴き返す事が多くなり、このアルバムを聴き返し、心地よさを感じて最近のアルバムも購入した。その頃、辰巳哲也のビッグバンドを聴く機会があり、その中で彼女の作品を取り上げる事もあり急に身近な存在になった。

そしてブルックマイヤーのアレンジを改めて聴きなおすと、実に気分よく聴けた。結果的に、エバンスから始まり、ブルックマイヤーが引き継いだ脈々と続く流れの本質を、彼女が気づかせてくれたのかもしれない。

都会の生活もいいが、別荘生活をしばらく続けてみるのも悪くないと・・・・・。
最近のアルバムを見てみると、いつのまにか、彼女のオ-ケストラからは”JAZZ”がとれていた。



辰巳哲也のBigbandが東京TUCに28日に出演する。その日は彼女の曲をやるそうだ。
連休中はご機嫌なビッグバンドのライブが続くが、この日は一日「別荘生活」を楽しんでみよう。






1. Wyrgly 10:29
2. Evanescence 11:21
3. Gumba Blue 8:59
4. Some Circles 5:50
5. Green Piece 8:08
6. Gush 7:08
7. My Lament 4:47
8. Dance You Monster to My Soft Song 7:30
9. Last Season 8:24

Maria Schneider Composer, Conductor, Producer

Tony Kadleck Flugelhorn, Trumpet
Laurie Frink Flugelhorn, Trumpet
Greg Gisbert Flugelhorn, Trumpet
Tim Hagans Flugelhorn, Trumpet
Larry Farrell Trombone
John Fedchock Trombone
George Flynn Trombone (Bass), Tuba
Keith O'Quinn Trombone
Rich Perry Flute, Sax (Tenor)
Tim Ries Clarinet, Flute, Sax (Alto), Sax (Soprano)
Scott Robinson Clarinet, Clarinet (Bass), Sax (Baritone), Sax (Bass)
Mark Vinci Clarinet, Flute, Flute (Alto), Piccolo, Sax (Alto)
Rick Margitza Sax (Tenor)
Kenny Werner Piano
Ben Monder Guitar
Jay Anderson Bass
Dennis Mackrel Drums
Eddie Rivera Percussion
Emedin Rivera Percussion

Paul Wickliffe Engineer

Recorded in September 1992


Evanescence
クリエーター情報なし
Enja
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SOMEDAYを超満員にした高瀬龍一ビッグバンドの選んだ曲は・・・・

2013-03-21 | MY FAVORITE ALBUM
“This Time By Basie / Count Basie Orchestra”

去る2月1日、トランペッターの高瀬龍一が新たなビッグバンドの旗揚げを行った。昨年プライベートなパーティーで一度やったそうだが、今回は一般公演。場所は新宿のライブハウス「サムデイ」。色々なビッグバンドにプレーヤーとして参加している高瀬だが、自分のバンドでは何をやるのかと思ったら、「本気でベイシーやります」との予告があった。
意外でもあり、楽しみだった。



当日、仕事でバタバタして開演間際に着いたら、入り口の雰囲気がいつもと違う。地下に降りると席はすでに満員、すでに立見の人も見受けられる有様。いつもは空席が目立ち、せっかくの演奏なのに・・・と思うことが多いのだが、この日は開始前から会場は熱気に包まれていた。
何とか、キッチン前のカウンターのスツールに座ることができたが、後から来る人は入り口近くで立見が出る、まさに立錐の余地のない超満員。

詳細なレポートは当日Vocalで参加した沖野ゆみさんのブログで。

メンバーは、色々なビッグバンドで見かけるいつものベテラン揃い。ベイシーサウンドに欠かせないピアノは板垣光弘、リードアルトは萱生昌樹 、リードトランペットはルイスバジェが努めていた。高瀬自身は指揮に専念でプレーをしたのは僅か1曲。
ベイシーサウンドにしてはギターが居ないのが気になったが、これは何か意味があったのか?

当然学生時代からベイシーの曲で育ったメンバー達なのでベイシーサウンドの再現はお手の物、楽しいプログラムを満喫させて貰った。会場に駆けつけたファンも多くは同じ道を一度は歩んだ仲間達のようで、満員の観客と一体となってメンバー達も嬉しそうであった。

演奏した曲目は全部で23曲。お馴染みの曲もあったが、オールドベイシーのレパートリーより比較的新しいアルバム、アレンジが多かったように思う。中でも”This Time by Basie”からの曲が何曲かあった。

ベイシーオーケストラの全盛期はいくつかあるが、Atomicバンドと呼ばれた50年代後半の一連のルーレットのアルバムの時代がやはり一番だ。60年代に入ってからは、どこのビッグバンドのレギュラー活動の維持が厳しくなって来て、いわゆるポピュラー路線をとるようになった。とはいうものの、演奏の本質が変わるのではなく、アルバム作りで時代に合わせたヒット曲を取り上げることが多くなっていたということなのだが。硬派のジャズファンからはコマーシャリズムに毒されたといわれた頃だ。

この“This Time by Basie”も、そのような時代に生まれたアルバム。レーベルはシナトラの息のかかった”Reprise“。同じ頃、エリントンオーケストラもこのレーベルに所属し、両雄が同じような企画のアルバムを競い合っていた。このアルバムで取り上げられた曲も当時のヒット曲が多い。

アレンジは、クインシージョーンズ。彼自身も翌年マーキュリーレーベルの役員に収まる直前の変身の時期。アレンジャーとしての仕事が多かった頃だが、自身のアルバム作りでもポピュラーな曲、そしてポピュラーな音作りのアルバムに変身していた。
クインシーのべイシーオーケストラへのアレンジの提供は、これが初めてではなく、全盛期のアルバムにもアレンジを提供している。以前紹介した“One More Time”も其の一枚。そのアルバムは、クインシーのオリジナル曲も多く、名作・名演として記憶に残る物であった。

さて、このアルバムが録音されてから50年近くが経とうとしている。当時のヒット曲も今から見ればすでに古いスタンダード曲の仲間入りということだ。

1. This Could Be the Start of Something Big (03:15)
2. I Left My Heart in San Francisco (02:30)
3. One Mint Julep (04:00)
4. Swingin' Shepherd Blues, The (03:13)
5. I Can't Stop Loving You (04:33)
6. Moon River (03:07)
7. Fly Me to the Moon (03:12)
8. What Kind of Fool Am I? (02:49)
9. Walk, Don't Run (02:37)
10. Nice 'N' Easy (03:15)
11. Apartment, The (Theme) (03:16)

Al Aarons (tp)
Sonny Cohn (tp)
Thad Jones (tp)
F.P.Ricard (tp)
EdwargPreston (tp)
Albert T. Grey (tb)
Benny Powell (tb)
Bill Hughes (tb)
Grover Mitchelll (tb)
Marshall Royal (as)
Eric Dixon (ts.fl)
Frank Foster (ts,flcl)
Frank Wess (ts,cl,fl)
Charlie Fowlkes (bs,flt,bcl)
Count Basie (p)
Freddie Green (g)
Buddy Catlett (b)
Sonny Payne (ds)

Quincy Jones (arr.conduct)

Recordec on January 21~24,1963 in New York City
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こだわりのライブハウスには、やはり拘りのバンドが似合う・・・・

2013-03-16 | MY FAVORITE ALBUM
One Night Stand! / Hisakazu Noguchi The Big Band

昨年マンハッタンジャズオーケストラが出演したライブハウス「東京TUC」は知る人ぞ知るこだわりのジャズファンが多いライブハウスだ。
神田駅から東へ、昭和通を渡ると店のネオンも少なくなり、古い商業地域に入る。神田岩本町は、昔は古着の市で栄えた場所だったそうで、今でも繊維問屋が多い場所と聴く。
駅からの広い一方通行から路地に入ってこんな場所にジャズクラブなんかあるのか?という場所にある。東京ユニフォームのショールームのあるビルの地下に東京TUCがある。ライブがある日は、このショールームが出演者の控え室にもなっている。

さほど広くないスペースにビッグバンドが入ると観客とステージは自然と一体になる。これがライブハウスでビッグバンドを聴く楽しみでもある。ここを本拠地にしているビッグバンドはいくつかあるが、今、アメリカに修行に行っている宮嶋みぎわのビッグバンドもそのひとつだ。ライブと同時にUstreamでも中継を行っていたので宮嶋ファンはここでのライブを聴いたことがある人も多いと思う。
そして、もうひとつここを拠点にしているのが、野口久和のBig bandだ。年に何回か出演しているが、いつも超満員だ。宮嶋みぎわのバンドは若いファンも多いが、この野口久和のバンドは一回り大人のファンが多い。

リーダーの野口氏は、若い頃はロック、ニューミュージック系の歌手のバックでキ―ボード&アレンジャーとして活躍していたそうだが、最近はこのビッグバンド以外でも、もっぱらジャズを演奏することが多いとか。
自分は、ひとつの世界に凝り固まっているよりも、ジャンルに拘らずオールマイティーなミュージシャンに魅力を感じる。
聞く所によれば、彼の父は有名なジャズ評論家であった野口久光氏だそうだ。久光氏自身も、本職は映画のポスターのデザイナーであり、ジャズやミュージカルのファンであったのが嵩じて評論もおこなったという筋金入りの評論家であった。当時、右も左も分からないジャズ入門者であった自分にとっては、よき先生でもあった。

子供は何だかんだといっても親の影響を受けるものだ。野口久和氏が歳をとるとともにジャズに回帰するのも納得である。昔の評論家というのはジャズの歴史にも造詣が深かったのはもちろん、野口久光氏のように他のジャンルや仕事でも一流の仕事をし、一家言を持っている人が多かったように思う。そのような親の元に育った久和氏も、そういう点では蛙の子は蛙であり、根っからのマルチプレーヤー(タレント)なのかもしれない。

このアルバムの最初の曲、“Dish Up Dish Up”は、ライブでも最初に演奏されることが多い、このバンドのオープニングナンバーだ。アップテンポでギターの小気味良いリズムで始まるベイシーライクなオリジナルだ。
まずは、この曲&演奏でこのオーケストラの性格付けがされているような気がする。他にも古い曲、それも定番のスタンダードではなく一捻りした曲、サンバやタンゴかと思えばクラシックの小品に、そしてオリジナルまで幅広く選曲されているが、アレンジはすべて野口氏自身の手によるもの、それがバンドカラーになっている。
そして次の曲はリードアルト澤田一範をフィーチャーしたバラード。このリードアルトのショーケースもバンドカラーを決めるひとつだ。エリントンのホッジスやベイシーのロイヤルのように。

もうひとつこのバンドの特徴は、他のメンバーも一流どころのベテラン揃いに加えて、専属コーラスグループ「Breeze」を従えていること。昔のビッグバンドは専属歌手やコーラスグループを持っていたのが普通だったようだが、今時では珍しい。このスインギーなコーラスとビッグバンドの相性も抜群だ。
先日、丁度バレンタインデーにこのグループはTUCに出演していたが、大人のジャズが楽しめるビッグバンド&コーラスで次回のライブが楽しみだ。

ジャズの王道を行くライブハウスには、やはり王道を行くバンドが似合う。



1. Dish Up! Dish Up (H. Noguchi)
2. Don’cah Go Away Mad (J. Mundy-I.Jacqet・A. Stillman)
3. Cradle Song (H. Noguchi)
4. Anitra’s Dance(E. Grieg)
5. The Late Late Show M. Berlin・R. Alfred)
6. Hangover Blues (H. Noguchi)
7. South Side Samba (B. Carter)
8. Youkali Tango K. Weill)
9. Jeeper’s Creepers (H. Warren・J. Mercer)
10. Along Came Betty (B. Golson)
11. In The Shade of The Orange Tree (H. Noguchi)
12. The Champ (D. Gillespie)

All Arrangements :  Hisakazu Noguchi

野口 久和 (p.arr.)
佐々木 史郎 (tp,flh)
菊池 成浩 (tp,flh)
奥村 晶 (tp,flh)
伊勢 秀一郎 (tp,flh)
片岡 雄三 (tb)
橋本 佳明 (tb)
辻 冬樹 (tb)
秋永 岳彦 (btb)
近藤 和彦 (as,ss,fl)
澤田 一範 (as,cl)
右近 茂 (ts,cl)
高橋 康廣 (ts,fl)
竹野 昌邦 (bs,bcl)
田辺 充邦 (g)
佐瀬 正 (b)
稲垣 貴庸 (ds)

BREEZE
小菅 けいこ (Soprano)
松本 敦子 (alto)
中村 マナブ (tenor)
磯貝 たかあき (baritone)

Produced By Go Kagami
Recording Engineer : Hiroaki Sato
Recorded on Mar.11&12 2010
At Landmark Studio

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人気があるということは必ず「何か余人をもって代え難い魅力」があるものだ・・・

2013-03-11 | MY FAVORITE ALBUM
Manhattan Jazz Orchestra Plays Disney


しばらくブログの更新が滞った。
というのも、昨年夏には親の不幸もあり、その後も諸々雑事が重なりレコードやCDをゆっくり聴くこともできず、好きなゴルフにも打ち込めない日が続いた。
唯一、時間を見つけてはライブには行って憂さ晴らしはしていたが、なかなかパソコンに向かう時間もなく、また気力も失せていた。

年明けとともに、旧友との再会をきっかけに新しい仕事もスタートし、徐々に元の生活パターンを取り戻すようにはなってきているのだが・・・、生活のリズムというものは一度変わってしまうとなかなか元に戻すのが大変だ。

最近の世の中の状況は政治・経済だけでなく自然・環境も大きな転換期を迎えており、こちらも気になることは多々ある。ついついそちらに耳や目が向いてしまうことも多い最近だが、自分の今の状況にしっくりくる生活パターンとペースを早く掴みたいものだ。

さて、昨年行ったライブを思い出してみると、昨年はビッグバンドの当たり年だったかもしれない。
ベイシー、エリントンをはじめとして、ボブミンツァー、ミンガスビッグバンドも来たし、ロンカーター、VJO,そして年末にはマリアシュナイダーも初来日した。国内のビッグバンドの活動も活発だったし、ファンとしては嬉しい限りだ。

そのような中、デビットマシューズ率いるマンハッタンジャズオーケストラが夏に来日した。丁度今日で震災から2年が経ったが、一昨年も震災直後、来日を辞退するメンバーが続出する中マシューズは残ったメンバーを引き連れて来日公演を決行してくれた。日本のミュージシャンとの混成メンバーですばらしい演奏を聴かせてくれた。色々なイベントが軒並み中止になる中で、元気を与えてくれた来日だった。

前回ブログを中断した時、再開したのはこのマシューズがきっかけだったので、今回もこのマシューズから再開することにしよう。

このマシューズのバンドはクインテットにしてもオーケストラにしても日本での人気が絶大である。日本人の川島重行氏のプロデュースによって誕生し今があるので、彼が日本贔屓になるのも当然だが、それ相応にファンが多く根付いてビジネス的にも成功している。今時大きなホールを満員にできるジャズのグループは数えるほどだと思うが、マシューズの昨年のツアーも盛況だったようだ。

昨年は、ディズニーを素材としたこの新しいアルバムのプロモーションを兼ねての来日であったが、大きなホールでのコンサートが続く中、唯一小さなクラブでのライブが東京TUCであったので、自分はこれに出かけてみた。
クラブでの演奏とあってメンバーもリラックスしていたようだし、何といっても小さな会場だとPAに頼らないアコースティックなサウンドが心地よかった。東京TUCの聴衆は根っからのジャズファンが多いので、プレーヤーもやりやすいだろう。

マシューズのビッグバンドは編成が通常のビッグバンドの編成と異なってサックスセクションの人数が少ないのが特徴だ。その分ホルンやチューバが加わっている。サックスセクションが木管に持ち替えたり、ホルンを加えるアレンジは時々ある。
しかし、エイトビートであろうとアップテンポであろうとこの編成を貫き通すというのはアレンジャー、マシューズとしてこの編成に強い拘りを感じる。
オーケストラのファーストアルバムともいえる”Big Band Live at the Five Spot”から続く「この編成」がマシューズサウンズの原点なのだろう。

腕利きぞろいのメンバーの中で自分が注目したのはスコットロビンソン。マルチリードプレーヤーとして有名だが、マシューズのアレンジの下支えでこの日はバスクラ一本で勝負していた。年末にはマリアシュナイダーと一緒に再度来日したが、その時はテナーでマルチ振りを発揮していた。

マシューズのオーケストラの人気の秘密はマシューズのアレンジの素晴らしさもあるが、アルバム作りにおける素材となる曲の選定にもあるだろう。有名曲を選びつつもアルバム毎にテーマを明確にしているので、アルバムが出る度にどんな風に料理をしているのか興味を惹かれる。有名な曲であればあるほどオリジナルのイメージが強くなってしまうので、そのイメージを離れてアレンジをするのは大変だと思うのだが、いつも斬新なアレンジだ。

所詮マス商品にならないジャズのアルバム作りで、売るためのマーケティングが考えているものは多くはない。しかし、このマシューズのアルバム作りは良く考えられていると思う。日本人がプロデュースするとこのような名曲アルバムの安易な企画は良くあるのだが、マシューズのアレンジの妙を含めて毎回力作が続く。結果的に長く続けることのできる企画になっている。
ディズニーの曲はジャズの世界でも取り上げられることが多いが、一連のディズニーの作品は子供たちに夢を与える作品だ。震災後、日本や福島の復興を祈って制作されたアルバムは多い。子供たちにも夢を与えるディズニーを素材に制作されたこのアルバムも印象に残る一枚になるであろう。

マシューズのピアノプレーの方は残念ながら左手一本になってしまったが、このオーケストラと一緒であればマシューズのプレーも永遠だと思う。マシューズの魅力の原点は、音楽的な面に加えて人柄とどんな苦難にもめげないという直向きさかもしれない。見習いたいものだ。今年も元気に来日するようなので、また足を運んでみよう。

1. He's A Pirate (Pirates of the Caribbean)
2. Chim Chim Cher-ee (Mary Poppins)
3. Alice In Wonderland (Alice In Wonderland)
4. Someday (The Bells of Notre Dame)
5. Beauty And The Beast (Beauty And The Beast)
6. It's Not Easy (Pete's Dragon)
7. Circle Of Life (The Lion King)
8. A Whole New World (Aladdin)

Manhattan Jazz Orchestra

David Matthews (arranger,conductor,piano)
Seneca Black (trumpet)
Michael Rodriguez (trumpet)
Scott Wendholt (trumpet)
Raul Agraz (trumpet)
Jim Pugh (trombone)
John Fedchock (trombone)
Larry Farrell (trombone)
Max Seigel (bass trombone)
John Clark (French horn)
Vincent Chancy (French horn)
Daniel Peck (tuba)
Marcus Rohas (tuba)
Chris Hunter (alto flute,alto sax,flute)
Bob Malach (flute,soprano sax,tenor sax)
Scott Robinson (baritone sax,bass clarinet,bass sax,drums,tenor sax)
Paul Nowinski (bass)
Terry Silverlight (drums)

Produced by Shigeyuki Kawashima
Recorded at Sear Sound Studio, New York, on March 27 and 28, 2012.
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バーサタイルという言葉は、ピーターアースキンのドラムにピッタリ・・・

2012-07-16 | MY FAVORITE ALBUM
Fire, Fury, and Fun / Stan Kenton Orchestra

スタンケントンのオーケストラの全盛期は40年代から50年代のはじめといわれている。そして、ウェストコーストで活躍したミュージシャンの多くが、そのケントンオーケストラの卒業生であった。という意味では、メルルイスやペッパーアダムスがそうであったように、ケントンオーケストラでのレギュラーメンバーの席は、一流になるための試金石であった。

先日、ボブミンツァーのビッグバンドが来日した。メルルイスのオーケストラにもアレンジを提供していた若手アレンジャーの一人であった。自己のオーケストラも率いていたが最近の演奏をあまり聴いていなかったせいか、どちらかというと演奏はフュージョン系の方が印象に残っている。
今回来日したメンバーの中に、ドラムのピーターアースキンの名前があった。ミンツァーとの付き合いは長いらしい。このアースキンもフュージョン系のグループ、そしてアルバムでは際立っていたが、ビッグバンドのドラムというとあまり印象には残っていなかったのだが・・・。
ブルノートでのライブを実際に聴き、一番印象に残ったのは、このアースキンのドラムであった。

自分の中ではビッグバンドのドラマーというとどうしても正統派のバディーリッチやルイベルソン、そして大編成の中でのコラボレーションの上手さという点でメルルイスなどを好んでしまう。
ところが、フュージョン、ロック系のドラマーであっても、ビッグバンドでのドラミングを個性豊かに実に上手く演奏するというというのを知ったのは、バディーリッチのメモリアルコンサートだった。ジャンルを問わず多くのドラマーが参集し、リッチのオーケストラの曲を次から次へとこなしていく姿を見て、そしてドラミングを聴いて認識を新たにした経験がある。そして、今回このアースキンのビッグバンドでのドラミングを生で聴いてその素晴らしさを再認識した次第だ。

経歴を見ると、このアースキンもスタンケントンオーケストラの出身であった。丁度参加していた時期は‘74年前後、ウェザーリポートなどで有名になる4年近く前であった。自分では記憶が無かったが、手持ちのアルバムを見てみると、確かにアースキンのクレジットがあるが、あまり気にもとめていなかった。

‘74というと自分が社会人になってすぐの頃。ジャズの世界ではフュージョンブームが起った頃だ。ビッグバンドの世界もバディーリッチやウディーハーマンのような老舗のオーケストラでもこの時代の流れの影響を受けて、スイングするというよりはリズミカルにパンチの効いた演奏が流行っていた頃だ。このケントンのアルバムもその時代の流れを感じさせる一枚だ。

アンサンブルの妙というよりは、ケントンのピアノだけでなく、若手メンバーのフルート、バリトンサックス、トロンボーン、コンガそしてアースキンのドラムをそれぞれ各曲でフューチャーしたアルバムだ。一曲目はバリトンサックスがスローにそしてブルージーに始まるが、途中でどんどんテンポが速まる。アースキンのドラムがキマッている。

B面の一曲目も、フルートがダーティーなトーンでアグレッシブなプレーで始まる。他にも全体にリズムに変化がある曲が続くが、アースキンは多様に変化するリズムに対してけっして荒っぽくなることなく実にスマートなプレーを聴かせてくれる。
この時アースキンはまだ20歳。ビッグバンドでの素晴らしいドラミングはこの頃からすでに披露されていたのを再認識した次第。

70年代になっても、実力派新人を輩出するケントンオーケストラは健在であった。



1. Roy's Blues           Dale Devoe 8:01
2. Montage             K. Hanna 5:55
3. Pete Is a Four-Letter Word    Hank Levy 4:22
4. Hogfat Blues           Tony Campise  4:46
5. Quiet Friday           Hank Levy    6:42
6. Ramon Lopez           C. O’Farrill   6:22

John Harner  Trumpet
Mike Barrowman Trumpet
Dave Zeagler  Trumpet
Tim Hagans  Trumpet
Kevin Jordan  Trumpet
Tony Campise  Reeds
Rich Condit  Reeds
Greg Smith  Reeds
Dan Salmasian  Reeds
Roy Reynolds  Reeds
Dick Shearer  Trombone
Greg Sorcsek  Trombone
Lloyd Spoon  Trombone
Mike Suter  Trombone
Dave Keim  Trombone
Ramon Lopez  Percussion
Stan Kenton  Piano
Mike Ross  Bass
Peter Erskine  Drums

Robert Curnow  Producer
Murray Allen  Engineer

Recorded at Universal Studio, Chicago, Illinois on September 26, 27, 1974


Fire Fury & Fun
Stan Kenton
Creative World
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人生不調なときこそ、自然体で・・・

2012-07-05 | MY FAVORITE ALBUM
Hamp’s Piano / Hampton Hawes




最近、仕事もゴルフもそしてジャズを聴くのも今ひとつ気合が入らない。無理にやっても空回り。こんな時にはじっとしているのがいいのかもしれない。

人生良い時もあれば、悪いときもある。傍から見れば一生順風満帆に見える人でも、人生を振り返れば苦労をしていた時に次の展望が見えたということが多いようだ。
今でも現役生活を続ける秋吉敏子も、その自伝を見ると苦労の連続、そして苦労の中から常に新しい物が生まれたようだ。あの有名なビッグバンドも、西海岸に移り生活環境ががらりと変わり、演奏する機会も減った中で良き伴侶であるルータバキンのアドバイスがあったからだと。

秋吉敏子がジャズの世界に入って師と崇めたのがバドパウエルだった。渡米してからは直接生の演奏を聴くこともあったとは思うが、日本にいる時はパウエルのプレーを聴くのもレコードを通じてしかなかったはずだ。何事においてもそうであるように、本やメディアで見たり聴いたりすることと、生で身を持って体験することでは格段の違いがある。

敏子の修行時代、生の演奏を聴いて影響を受けたミュージシャンは多くいたと思うが、当時、敏子だけでなく日本のミュージシャンに大きな影響を与えたのが53年から55年まで2年間、日本に軍隊で駐留していたハンプトンホーズであった。朝鮮戦争の前後軍隊に入り日本や韓国を訪れたミュージシャンは多いがホーズもその一人であった。あのペッパーアダムスも韓国に駐留していた時期があったという。

兵役を終えたホーズが母国に戻り、本格的に活動をしたのは西海岸。敏子がボストンを拠点に東海岸で活躍を始めた頃、ホーズのプレーはウェストコーストジャズのメッカ、コンテンポラリーレーベルで多くの名作を残した。バードから発したビバップの流れを汲み、リズミカルにスイングする正統派のピアノは、光り輝くものであった。

順風満帆であったホーズであったが、他の多くのプレーヤー同様、麻薬によって演奏活動を中断せざるをえず、復帰までは長いブランクを要した。自由の身になれたのはケネディ大統領の恩赦だったという話しもある。途中で一時復帰したものの、病も癒えて本格的に復帰したのは’67年になってから。全盛期からは10年近くの年月が経っていた。’

67年に復帰したホーズは、妻を同伴して長い期間ヨーロッパを旅した。麻薬に手を染めた多くのミュージシャンがヨーロッパに渡り、そこで復帰のきっかけを掴めるのには何かアメリカとは違う音楽を受け入れる伝統と風土があるからだろう。

ヨーロッパを旅行中のホーズは11月にドイツを訪れた。そこで有名なプロデューサー、ヨヒアムベーレントのプロデュースの元一枚のアルバムを残していった。
付き合ったのは地元のミュージシャン。ベースのエベルハルトウェバーとドラムのクラウスワイス。ベースとのデュオとドラムを加えたトリオの演奏。

演奏は長いブランクを感じさせないほど生き生きとしている。そしてこのアルバムはMPSレーベル録音。ピアノの音が素晴らしい。当時のMPSの録音はアメリカの録音とは明らかに違う音がしていて新鮮な響きであった。

どん底の生活からは脱したものの、きっと大きな展望も無ければ意欲も無かったと思える時期の演奏。それに加えて旅先での気楽なセッション。オリジナルに加えてスタンダード曲も。きっとこのリラックスした環境がこの演奏を生んだのだと思う。
このホーズの復帰アルバムは自分も好きなアルバムの一枚だが、演奏だけでなくこのMPSのピアノの音を含めて自然体の魅力に惹かれているのかもしれない。調子が出ない今聴くのにぴったりだ。
人生不調な時こそ、あまり構えずに自然体に戻るのがいいのかもしれない。

1. Villingen Blues Hampton Hawes 4:42
2. Rhythm Hampton Hawes 2:23
3. Black Forest Blues Hampton Hawes 4:20
4. Autumn Leaves Joseph Kosma / Johnny Mercer / Jacques Prévert 9:05 
5. What Is This Thing Called Love? Cole Porter 5:15
6. Sonora Hampton Hawes 5:00
7. I'm All Smiles Michael Leonard / Herbert Martin 5:12
8. My Foolish Heart Ned Washington / Victor Young 6:42

Hampton Hawes (p)
Eberhard Weber (b)
Claus Weiss (ds)

Recorded at Villingen, Germaney on Nov. 8, 1967

ハンプス・ピアノ
Hampton Hawes
ユニバーサル ミュージック クラシック
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戦後の本場アメリカへのジャズ修行の第一号はTOSHIKO・・・・・

2012-07-01 | MY FAVORITE ALBUM
Many Sides of Toshiko / Toshiko Akiyoshi

宮嶋みぎわが作曲の勉強のためにアメリカに渡るそうだが、最近の若いプレーヤーはアメリカで学び、そして武者修行を経験してくるのが当たり前になっているようだ。音楽の世界もすっかり国際化され、腕前も本場のミュージシャンに負けない者が多く育っているのは嬉しいものだ。

ジャズのアメリカ留学はナベサダが有名だが、戦後の第一号は何と言っても秋吉敏子だろう。満州から引き上げ、クラシックピアノから見よう見まねでジャズの世界に入り、バークレーに留学のためアメリカに渡ったのは1956年1月だった。53年にJATPで来日したオスカーピーターソンに見出されて、ノーマングランツの元でレコーディングの機会も得てからはトントン拍子の出世だった。

ボストンでジョージウェインと付き合いがあったおかげで、57年のニューポートにも出演し、その年にはニューヨークデビューも果たしていた。地元ボストンやニューヨークのライブハウスだけでなく、シカゴのロンドンハウスなどへも出演していたようだ。
ロンドンハウスといえば、ピーターソンのライブアルバムで有名なところだが、ここはライブハウスとは言っても本来はステーキハウス。ちょっと高級なクラブであったらしい。したがって、演奏する曲もオリジナルやバップの曲というより、スタンダードな曲も求められたそうだ。

敏子といえば、バドパウエルの「そっくりさん」からがスタート。アメリカへ渡って直ぐも男勝りのパウエルスタイルの演奏が売りであった。しかし、仕事の幅が広がると曲だけでなく、演奏スタイルもだんだん洗練されてきた。
57年の秋、丁度ペッパーアダムスがニューヨークに帰還して再び東海岸で活動を始めたのと同じ時期。その頃の演奏が収められているのがこのアルバムだ。

ドラムは、晩年はすっかりコンコルドレーベルで有名になったジェイハナ。ボストン出身で、この頃はレコーディングだけでなく、ライブでも敏子と一緒に演奏することも多かったようだ。ベースも若手のジーンチェリコ。

タイトルのように発展途上の秋吉敏子のピアノプレーがスオリジナル中心にスタンダード、そしてグルービーなバグスグルーブ(最後までおなじみのメロディは出てこないが)までたっぷり楽しめる。トシズファンタジーはオリジナルな組曲だが、当時から作曲だけでなくオーケストラ用のアレンジも始めていたようだ。という意味では、その後の彼女の活躍のベースとなるようなアルバムだ。

1. The Man I Love    George Gershwin / Ira Gershwin  5:29
2. Minor Moods (Midnight Lament)  Ahmad Kharab Salim  4:18
3. After You've Gone  Henry Creamer / Turner Layton  3:27
4. We'll Be Together  Toshiko Akiyoshi  4:31
5. Studio J      Toshiko Akiyoshi  3:17
6. Tosh's Fantasy   Toshiko Akiyoshi  9:05
   Down a Mountain
   Phrygian Waterfall
   Running Stream
7. Bags' Groove    Milt Jackson    6:51
8. Imagination    Toshiko Akiyoshi   3:35

Toshiko Akiyoshi (p)
Eugene Cherico (b)
Jake Hanna (ds)

Recorded on October 4, 1957 in NYC

メニー・サイズ・オブ・トシコ
Toshiko Akiyoshi
ポリドール
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エリントンによるビッグバンド名曲集・・・

2012-06-20 | MY FAVORITE ALBUM
Ellington ’55 / Duke Ellington Orchestra

作曲家デュークエリントンの作品は数多い。その中の多くはスタンダードとなり他の多くのミュージシャンによって演奏し続けられている。自らのオーケストラでもそれらの作品は十八番として常にレパートリーに加えられているが、オーケストラ向けの作品としては「組曲シリーズ」がある。先日マイクプライスオーケストラが、このエリントンの組曲の作品を取り上げたライブを行った。聞き応えのある演奏で改めてエリントンの作品の偉大さを実感した。しかし、これらの一連の組曲のアルバムはけっして一般受けするものではなく、レコード会社としても営業面で売上げを重視するのであれば積極的に取り組みにくいものであったろう。

50年代の始め、エリントンは一時メジャーレーベルであるキャピタルに所属していた。ジャズの専門レーベルでもないので当然一般受けするアルバム作りが求められたのであろう。エリントン’55とタイトルされたこのアルバムは、エリントン自身のナンバーを含む、他のビッグバンドのタイトル曲ともいえるビッグバンドの名曲を選んだ作品となった。このようなビッグバンド名曲集というアルバムはよくある企画だが、エリントンも営業重視でそのような企画を付き合わされたともいえる。それぞれの曲はお馴染みではあるが、演奏時間も短く大作といえるものではないが・・・。でもエリントンがライバルベイシーのワンオクロックをやるというのも粋なものだ。
同じような企画は10年後にリプリーズに所属していた時にも、’66とか「WILL BIG BANDS EVER COME BACK?」という企画があったが。

とうはいうもののエリントン&ストレイホーンが名曲を料理しているので、オリジナルのイメージを大切にするのではなく、どの曲もエリントンサウンドの味付けがされている。そして、アレンジに映えるソロやアンサンブルは、素材が何であれエリントニアン達の本領発揮といったところだ。ホッジスはいないが、ラッセルプロコープやクラークテリーが素晴らしい。

CD化された時に追加された曲だとは思うが、最後のエリントンナンバーである、「スイングが無ければ・・・」は圧巻だ。ゴンザルベスのソロは、後のニューポートでの名演のウォーミングアップのようだし、レイナンスのボーカルもご機嫌だ。

タイトルは「‘55」と銘打っているが、実際の演奏は’53年の暮れから’54年にかけてのもの。モダンビッグバンドが生まれようとしているとき、老舗のエリントンオーケストラも’56のニューポートに向けて試行錯誤をしていたのかもしれない。

1. Rockin' in Rhythm Harry Carney / Duke Ellington / Irving Mills 4:30
2. Black and Tan Fantasy Duke Ellington / Bubber Miley 5:10
3. Stompin' at the Savoy Benny Goodman / Andy Razaf / Edgar Sampson / Chick Webb 5:04
4. In the Mood Joe Garland / Andy Razaf 5:59
5. One O'Clock Jump Count Basie / Eddie Durham 5:12
6. Honeysuckle Rose Andy Razaf / Fats Waller 4:17
7. Happy Go Lucky Local Duke Ellington / Mercer Ellington / Billy Strayhorn 5:33
8. Flying Home Benny Goodman / Lionel Hampton / Sydney Robin 6:08
9. Body and Soul Frank Eyton / Johnny Green / Edward Heyman / Robert Sour 4:47
10. It Don't Mean a Thing (If It Ain't Got That Swing) Duke Ellington / Irving Mills       10:17

Cat Anderson (tp)
Willie Cook (tp)
Ray Nance (tp,violin, vocals)
Clark Terry (tp)
Britt Woodman (tb)
Alfred Cobbs (tb)
John Sanders (tb)
Quentin Jackson (tb)
Paul Gonsalves (ts)
Jimmy Hamilton (ts,cl)
Rick Henderson (as)
Russell Procope (as,cl)
Harry Carney (bs,bcl)
Billy Strayhorn (Celeste)
Duke Ellington (p)
Wendell Marshall (b)
Jimmy Woode (b)
David Black (ds)

Dave Dexter, Jr. Producer

1~8
Recorded in Chicago , December 21,28,29 1953 & January 1,2,17 1954
9
     in Chicago May 18, 1955
10
     In NYC June 17, 1954
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実力派の本領はやはりライブで発揮されるもの・・・・

2012-06-09 | MY FAVORITE ALBUM
Live at Yoshi’s / Dee Dee Bridgewater



‘74のサドメルの来日時に同行し、日本でファーストアルバム“Afro Blue”を作ったディーディーブリッジウォーターだが、一流の仲間入りをするまでには長い時間がかかった。デビュー当時から実力と意欲は人一倍優れた物を持ち合わせていたと思うが、一般受けするタイプではなかったのかもしれない。
その彼女が今の地位を確固たる物にしたのは、エラフィッツジェラルドに捧げたアルバム”Dear Ella”がグラミー賞を受賞してからかもしれない。エラが亡くなってすぐに、彼女が尊敬し影響を受けたエラへの想いを込めた作品。彼女の良さが集約されたアルバムだ。

彼女の特徴はエラ譲りのスキャットの上手さ、そして歌だけでなく体全体で表現するパフォーマンスだ。ジャズボーカリストとしてよりもミュージカルの世界で一足先に認められたのもそれが要因かもしれない。
スキャットを得意とし、パフォーマンスも優れているとなると、その歌を楽しむにはやはりライブがいい。それも大きなステージではなく、聴衆と一体となって演奏が盛り上がるような雰囲気で。師匠のエラの代表作”Ella in Berlin”のライブも圧巻だった。



ブリッジウォーターは、このアルバムを出した後、エラが生きていれば80歳の誕生日にもあたる1998年4月25日にかけてライブを開いた。場所は、サンフランシスコの近傍オークランドにある“Yoshi’s”というクラブ。写真で見る限りは、真ん中にステージのある広めのJazz club & Restaurant。雰囲気も場所としては最高だ。このアルバムにはその25日のライブを中心に収められている。

バックを努めるのは彼女のレギュラーピアノトリオ。当然Dear Ellaで歌った曲も何曲か含まれている。まず驚かされるのがピアノトリオだけのバックであるが、彼女の歌だけでなくこのトリオの演奏の表現力の多様さと多彩さ。もちろん彼女の歌との呼吸もピッタリだ。ジャムセッションのような自然発生的なハップニングも楽しいが、じっくり聴くにはこのようなレギュラーグループの洗練された演奏は格別だ。ライブ特有の曲間での聴衆とのコミュニケーションもまた演奏を盛り上げていく。ボーカルのライブ盤での愛聴盤の一枚になっている。

ブリッジウォーターは、Tributeアルバムを多く作っている。まずはファーストレコーディングでも取り上げられていたホレスシルバー。このアルバムの後には、ビリーホリデーに捧げるアルバムでもグラミーを獲得している。
何事においても名声を得るということは、お世話になった人、影響を受けた人、指導を受けた人などの支えがあってこそだ。ブリッジウォーターは一作一作確実に恩返しをしている。さて、今度は誰へのTributeアルバムになるか楽しみだ。

1. Undecided Sid Robin / Sydney Robin / Charlie Shavers  8:57
2. (I'd Like to Get You on A) Slow Boat to China Frank Loesser 6:08
3. Stairway to the Stars Matty Malneck / Mitchell Parish / Frank Signorelli 7:56
4. What a Little Moonlight Can Do Harry Woods 5:13
5. Get Up (I Feel Like Being A) Sex Machine James Brown 2:32
6. Midnight Sun Sonny Burke / Lionel Hampton / Johnny Mercer 7:08
7. Cherokee Ray Noble 6:14
8. Love for Sale Cole Porter 14:05
9. Cotton Tail Duke Ellington 9:42

Dee Dee Bridgewater (Vocals)
Thierry Eliez (Organ, Piano)
Thomas Bramerie (Bass, Double Bass)
Ali Muhammed Jackson ( Drums, Drums (Snare), Percussion)

Produced by Alfredo Cruz & Becca Pulliam 
Bob Skye : Engineer

Recorded live at Yoshi's, Orkland, Calfornia on 23,24,25 April, 1998


Live at Yoshi's (Reis)
Dee Dee Bridgewater
Emarcy / Umgd
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初対面の皆を和ませるには座持ちの良い介添え役が不可欠・・・

2012-06-08 | MY FAVORITE ALBUM



Sittin’ In / DizzyGillespie, Stan Getz, Paul Gonsalves, Coleman Hawkins

ニューポートジャズフェスティバルを翌週に控えた1957年6月26日、ちょうどロスではペッパーアダムスが初アルバムの制作の準備をしていた頃だ。ディジーガレスピーはニューヨークにいた。最強のビッグバンドメンバーでのニューポートジャズフェスティバル出演を前に気持ちも昂ぶっていたことだろう。この年で4回目を迎えたニューポートだが、ガレスピーは初参加でもあった。

ニューヨークのスタジオに3人のテナー名人が集まった。スタンゲッツ、コールマンホーキンズ、そしエリントンオーケストラの重鎮ポールゴンザルベスの3人だ。声をかけたのはノーマングランツ。
コンコルドオールスターズの日本ツアーの舞台で実現した3テナーの競演。同じような競演はノーマングランツ率いるJATPも得意にしていた。そもそもConcordオールスターズの発想はミニJATPのようなものだったので、両者で企画発想が似てくるのは当然だが、元祖JATPを率いるグランツのメンバーを集める力は強大であった。

何も音楽の世界だけでなく、何をやっても面識の無いもの同士がいきなり「一緒にどうぞ」といわれても、場が和むのにはしばらく時間がかかる。接待の席などでよく経験する場面だ。そこで必要なことはそれぞれを知っている人間がしばらく男芸者を演じて場を作ることだ。それには誰とでもすぐに打ち解けるキャラを持った人物が望ましい。

スタジオでいつもの大ジャムセッションが始まる訳だが、それぞれは有名人のこの3人が一同に介して演奏したことは今までいなかった。忙しい3人に何度も集合をかけリハーサルを重ねるのは難しいし、それはグランツのやり方でもなかった。
一発勝負のセッションを上手く成功させるために3人の取りまとめ役として起用されたのがディジーガレスピーだった。顔の広いガレスピーは3人とそれぞれ共演経験があったし、何と言ってもガレスピーが長年ジャムセッションで鍛えた経験と演奏スタイルは、セッションリーダーとして皆の演奏を取りまとめるには最適であった。

たいそうなアレンジを用意することもなく、ガレスピーリードで演奏が始まる。曲はガレスピーのディジーズアトマスフィア。ゴンザルベスのテナーが前の年のニューポートでのステージを思い起こさせるように熱っぽい。図太いホーキンスに、丁度クールでありながら脂が乗ってきたゲッツのプレーが何の違和感なく続く。
バラードプレーが2曲あるが、これは各自のショーケース、2回目は多少ミディアムテンポで変化をつける。3人の特徴あるトーンが好対照だ。
夜中から始まった録音は夜明けには早々に終了し、夜明けの街にいつものセッションを終えた後のように朝食を摂りに出かけていった。やはり取りまとめ役がしっかりしていると仕事は捗るし、結果、皆が持っている腕を生かしたいい仕事が残せるものだ。

1. Dizzy Atmosphere
2. Ballad Medley:
   I'm Through With Love
   Without A Word Of Warning
   Sweet Lorraine
   Love Walked In
   September Song
3. The Way You Look Tonight
4. Ballad Medley
   On The Alamo
   Stompin' At The Savoy
   This Time The Dream's On Me
   Time After Time
   Gone With The Wind

Dizzy Gillespie (tp)
Stan Getz, Paul Gonsalves, Coleman Hawkins (ts)
Wynton Kelly (p)
Wendell Marshall (b)
J.C. Heard (d)

Recorded at WOR Studios, NYC, June 26, 1957




Sittin in (Reis) (Dig)
Dizzy Gillespie
Verve
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