A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

リーダーは脇役に徹し、主役はテナーの3人で・・・

2015-07-18 | MY FAVORITE ALBUM
James Williams Meets The Saxophone Masters

ジャズメッセンジャーズに加わってメジャーデビューしたミュージシャンは昔から多かった。アートブレーキーのリクルート能力のなせる業であろう。

コンコルドレーベルからアルバムを出していた70年代後半のメッセンジャーズ出身の出世頭はウィントンマルサリスだろう。オーディションにやってきたマルサリスを、ブレイキーに強く勧めたのは当時メンバーであったジェームスウィリアムスであったという。少し前に加わった先輩とはいえ当時のウィリアムスはまだ20代。彼自身がまだデビューしたばかりの時であった。そんなウィリアムスがマルサリスの可能性を感じ取り、親分のブレイキーに自信を持って推薦したとは。ピアニストとしてだけでなく、教育者やプロデューサーとしても活躍したウィリアムスの本物を見極める「眼力」も生まれつきの才能であったのかもしれない。

ジャズメッセンジャーズを辞めた後はニューヨークで、ガレスピーなどの大物ミュージシャンとも共演を重ね、自らのグループでも演奏する。そして、再びブレイキーとレイブラウンと一緒にマジカルトリオを作る。このアルバムは児山紀芳氏のプロデュースであった、大物先輩達に気に入られる「爺殺し」であり、日本人好みのピアニストとして育っていった。

それから10年、すでに40歳を超えピアニストとして確固たる地位を得ていたウィリアムスがプロデュースしたアルバムがこのアルバムになる。
ピアノと一緒に半分顔を出しているジャケットが印象的だが、このアルバムでは確かにピアニストとしてのウィリアムスの役割は半分かもしれない。リーダーアルバムといっても、アルバムタイトルにあるように3人のテナーとの共演アルバムである。

3人のテナーは、真ん中に重鎮ジョーヘンダーソンを据え、左にブレイキー時代一緒にプレーしたビルピアース、右には同じメンフィス出身のジョージコールマンといった布陣。
内容はというとウィリアムスのバックを務めるためのアンサンブル主体でなく、反対に3人のソロの競演を楽しむいわゆるバトル物だ。もちろんウィリアムスのピアノも登場するが、けっして主役というわけではない。ウィリアムス自身、このアルバムのリーダーは自分一人ではなく3人のテナーも一緒だといっているように。
3人並べて聴くと、それぞれの音色、スタイルの違いが良く分かるが、自分の好みというとこの中ではやはりジョーヘンダーソンだ。

このアルバムも日本のレーベルの作品、テナーバトルの企画自体が日本人好みの味付けがされている感じがするが、果たしてジェームスウィリアムスが日本人好みのプレーヤーだったのか、日本人好みのプロデュースを要請されるようになったのか?

1. Fourplay                James Williams  9:54
2. Lo Joe                  G.C. Coleman  6:56
3. Centerpiece           Harry "Sweets" Edison  11:08
4. Calgary                  Traditional  10:16
5. The Song Is You   Oscar Hammerstein II / Jerome Kern  9:44
6. Old Folks Dedette       Lee Hill / Willard Robison  13:39

Joe Henderson (ts)
George Coleman (ts)
Bill Pierce (ts)
James Williams (p)
James Genus (b)
Tony Reedus (ds)

Produced by James Williams & Kazunori Sugiyama
Engineer : Jim Anderson
Recorded at The Power Station, NYC, on September 23 1991

Meets the Saxophone Masters
クリエーター情報なし
Sony
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コーラスに一番似合うアンサンブルは何がいいか?・・・

2015-07-17 | MY FAVORITE ALBUM
4Freshmen / 5 Saxes

世の中、国会、ギリシャの債務、上海株、新国立競技場、さらには地震に火山噴火、台風と万事が騒々しい。それぞれ色々思う所が多いが、いずれも最近のメディアの取り上げ方や扱い方が気に食わない。「メディアが体制側の広報ツールと化し真実を伝えていない」という話はかなり前から問題になっているが、昨今の状況は酷すぎる。いよいよ世の中の変革が必要だということだろう。

東芝の会計処理問題はもはや泥沼、行くところまで行くしかないとは思うが、これも氷山の一角のような気がする。この問題(というより事件)のメディアの扱いもおかしい。「不適切会計」という表現が今でも続いているが、これは紛れもない「粉飾決算」。それも経営トップから監査法人までを巻き込んだ会社ぐるみであることは間違いないだろう。ホリエモンが怒っているのも当然だ。

腹立たしいことが多い世の中だが、プライベートな世界は平穏な日々を過ごしたいものだ。
ライブ通いは相変わらず続いているが、こちらは反対にあまりのお客の少なさに唖然とする。一昨日はマークトゥリアンのグループ。フロントラインの岡崎好朗、片岡雄三、近藤和彦といえば日本を代表するスタープレーヤー。もちろんリーダーのマークトゥリアン以下のリズム隊の面々も。ソロだけでなく、マークのアレンジによるグループサウンドも楽しめる演奏なのに、お客の数がメンバーと同じとは。ジャズファンは一体どこ行ってしまったのか心配になる。

さて、レコードを聴く時間も減ったままで、アルバム紹介も滞りがちだが・・・今日の一枚は。

先日紹介した、スーパーサックスとL.A. Voicesのコンビは、サックスアンサンブルとコーラスグループのコラボレーションであった。スーパーサックスの成り立ちがチャーリーパーカーのアドリブのアンサンブル化であった。それ故、いわゆるハーモニーの美しさを求めるよりも、パーカーのアドリブをスリルのあるサックスのソリを聴く事が楽しみであった。
されにコーラスが加わったことで、「パーカーを再現するぞ」という力みが抜けて、よりアンサンブルの妙を楽しめるように思う。

ジャズコーラスグループというと、ベイシーオーケストラのボーカリーズでスターしたランバートヘンドリックス&ロスもジャジーで良くスイングするグループだった。
本来のコーラスをモダンに一歩先進させたのはフォーフレッシュメン。オープンハーモニーの美しさはジャズだけでなく、Rockの世界にも影響を与えた名グループであった。

このフォーフレッシュメンは自ら楽器を演奏するグループであったが、アルバムでは色々な編成のバックとコーラスのコラボが楽しめる。中でも有名なのは、トロンボーン5本のアンサンブルと組んだAnd Five Trombones
それに続いて、サックス、ギター、トランペットが続いたが、その中でもトロンボーンのアンサンブルとコーラスというのは実に相性がいいように思う。後にトロンボーンだけが続編ができたのもその証左だと思う。
この同じ楽器を使ったアンサンブル、料理で言えば素材を一種類に限定し素材の違いと良さを存分に味わうのと同じわけだが、それには料理人の腕と味付けが鍵となる。アレンジャーが大事ということになる。

サックス好きとしては、このシリーズの中のAnd 5 Saxesも愛聴盤の一枚ではある。
バックのアレンジは、5Trombonesで腕を振るったピートルゴロが引き続き担当するがA面のみ、B面はDick Reynoldsが担当している。演奏するメンバーも適宜入れ替わっているようだ。
B面担当のディックレイノルズがシリーズ2作目の5Trumpetsのアレンジを担当したので、この3作目は敢えて2人の競作としたかもしれない。2人のアレンジの違いを楽しめる反面、自由度の高いサックスのアンサンブルとしての特徴がぼけているような気もするのだが?

結果は、作風の違いもあるがレイノルズの方が何となくモダンな感じがする。トロンボーンではルゴロのアレンジもバッチリ決まっていた感じがするが、こちらではエンジェルアイズやスピークロウといった自分の好みの曲があったせいかもしれない。

参加しているメンバーは当時の西海岸のスタジオミュージシャンの面々だが、ジャズプレーヤーとしても有名な、バドシャンク、ボブクーパー、デイブペルなどが短いながらチャーミングなソロを聴かせてくれる。これも自分にとっては楽しみのひとつ。

1. Liza                      2:39
2. You've Got Me Cryin' Again The Four Freshmen  2:50
3. This Can't Be Love               2:03
4. The Very Thought of You             2:34
5. East of the Sun The Four Freshmen        3:36
6. I May Be Wrong                 2:54
7. There's No One But You             2:30
8. Sometimes I'm Happy              2:15
9. For All We Know                2:33
10. Lullaby in Rhythm               2:26
11. This Love of Mine               2:26
12. I Get Along Without You Very Well       3:38

4 Freshmen
Ross Barbour (vol,ds,tp)
Don Barbour (vol,g)
Bob Franigan (vol,tb,b)
Ken Albers (vol, tp,Melophone)

5 Saxes
George Auld
Gus Bivona
Bob Cooper
Chuck Gentry
Skeets Herfurt
Ted Nash
Dave Pell
Willie Schwartz
Bud Shank

Arranged by Pete Rugolo & Dick Reynolds
Recorded in Los Angels 1956


フォー・フレッシュメン&5サクシーズ+2(紙ジャケット仕様)
クリエーター情報なし
EMIミュージック・ジャパン
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宮の上&吉岡のコンビにヴァイブを加えた演奏はよりスインギーに・・・・

2015-07-11 | MY FAVORITE ALBUM
Nathalie / Yoshiaki Miyanoue & Smokin'

先日、宮之上貴昭と吉岡秀晃のコンビとボサノバを得意とする歌手の石田ケイのライブがあったので出かけてみた。その日は、石田ケイの店でハウスベーシストを長年務めたスタンギルバートも再来日してゲスト出演するというおまけつきであった。

吉岡と宮之上のコンビは長い。彼らの演奏はまだデビューしたての頃から聴いているが、いつ聴いてもスインギーな演奏を楽しませてくれる。この日はメンバーの組み合わせから、彼らの演奏もボサノバが中心になるのかと思ったが、ステージは2人の演奏はいつもの通りスタンダードが中心、石田ケイが加わるとボサノバになるという2部構成であった。宮之上と石田は今回が初顔合わせだったようでこれも仕方がなかったかも。

この様なステージであったが一番光ったのはゲストであるベースのスタンギルバート。
70歳を過ぎ体調も崩していたようだが、年季の入ったプレーはすぐに宮之上と吉岡コンビに溶け込んでいった。曲が進むにしたがって力強さを増し、最後は3人の息はピッタリ合っていた。彼をフィーチャーしたオールブルースでは石田のボーカルも加わって、演奏とボーカルも一体となった熱い演奏が聴けた。いつも一緒に演奏していないメンバー同士のコラボレーションが存分に楽しめた。これが、ジャズの楽しみのひとつだ。

宮之上と吉岡がデビューしたのは70年代の後半。世の中はフュージョン色が濃いプレーヤーや演奏が主流を占めていったが、この2人の演奏はフュージョンなどには目もくれずいつの時代もメインストリームを歩んでいた。
宮之上というとウェスモンゴメリーライクの演奏が特徴だが、この2人の演奏を聴くと、ウェスモンゴメリーとウィントンケリーのハーフノートでの演奏をいつも思い浮かべる。このアルバムのタイトルSmokin’が彼らのグループ名にもなっていたので、彼ら自身も意識していたのだろう。

ウェスモンゴメリーはその後のアルバムではイージーリスニング的な演奏が多くなってしまったが、ハーフノートでの演奏を引き継いできたのはこの宮之上と吉岡のコンビと思っている。

そのような2人が80年代の始めにヴァイブを加えたクインテットの演奏のアルバムがある。ヴァイブというのは全体のサウンドに何か清涼剤のような効果があり、メロディーラインにもリズムにも隠し味を加えたような効果がある。
特に、メロディーラインでピアノとギターにヴァイブの加わったユニゾンの心地良さは格別だ。ジョージシアリングのクインテットの十八番だが、このアルバムでもアズロングアズアイリブやキャンディなどで存分に楽しめる。このような適度にアレンジを加えたグループサウンズは自分も好みだ。
2人のスインギーなペースにヴァイブも自然に取り込まれる。ビギンザビギンをラテン調に、オリジナルのサンバカンではサンバのリズムで。リズムを効かせた演奏もヴァイブの加わった効果は大きく、メインストリーマーとしてオールラウンドな演奏が楽しめるアルバムだ。
先日のライブも、この編成だったらボーカルももっと生き生きとしたかもしれない。

1. Cleopatora’s Dream
2. Sambakan
3. Nathalie
4. As Long as I live
5. Candy
6. Begin The Begin
7. To west
8. Amor

宮の上 貴昭 (g)
吉岡 秀晃 (p)
初山 博 (vib)
沼上 励 (b)
藤沢 博延 (ds)
岡山 和義 (ds)
納見 義徳 (g)
渡辺 隆司 (g)

Produced by 松橋 繁
Recording Engineer : 桶川 泉
Recorded at Studio Betty, Tokyo on April 19 & 20, 1983
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娘のミシェルも父親が歩み始めた源にやっとたどり着けたのか・・・

2015-07-04 | MY FAVORITE ALBUM
A Basie Vocal Celebration / Claude Tissendier, Michele Hendricks & Marc Thomas

ベイシーサウンドといえばビッグバンドサウンドを思い浮かべるが、何もビッグバンドばかりとは限らない。ベイシー自身も小編成のバンドを組んでいたことがあるが、これも立派なベイシーサウンドであった。どんな編成になっても、やはりベイシー独特のスイング感がその根底にあるのだろう。

このベイシーの「ノリ」に惚れ込んで、ベイシーオーケストラの演奏をボーカリーズしたのがデイブランバート。彼がリーダーとなって組まれたボーカルグループがランバート・ヘンドリックス&ロスであった。
そのメンバーの一員であり、歌詞を提供したのがジョンヘンドリックスだ。アニーロスからヨランダベバンにメンバーは代わったがこのグループは1964年まで10年近く続き、モダンジャズコーラスの一分野を築いた。

解散後すぐにデイブランバートは不幸にも交通事故で亡くなってしまい、残念ながらこのグループが再編されることは無かった。しかし、このランバート・ヘンドリックス&ロスが築いたコーラススタイルはマンハッタントランスファーなどに引き継がれていった。

メンバーの一員であったジョンヘンドリックスも娘のミシェルなどを加えて一時ジョンヘンドリックス&カンパニーというグループを率いた。このグループも、有名な演奏のボーカリーズやバップスキャットなどを採り入れ、デイブランバートと一緒にやった本家のスタイルを引き継ぐものであった。

娘のミシェルは、このグループを離れると一時ジャズから遠ざかる。何の職業でも親と同じ道を歩むと、最初は親から色々教えてもらう事が多いが、いつまで経っても親を超えられずに独り立ちできずに悩むものだ。ミシェルもそのような心境になったのか、あるいは一度外の空気を吸ってみたくなったのか・・・?

しかし、父親の血を継ぐミシェルはやはり「蛙の子は蛙」、再びバップオリエンテッドなボーカルを歌うようになり、アルバムも残すようになったのだが、その後はあまり消息は聴かなかった。

それから20年近く経った2009年、彼女はフランスでアルバムを作ることになる。
地元フランスのボーカリストMarc Thomas。そしてクラリネットのClaude Tissendier率いるオクテットとのコラボレーションだ。2人の経歴も他の演奏も良く知らないが、2人ともクロードボリングのバンドに長く在籍していたそうだ。という意味ではジャズからクラシックまで経験豊富なベテランのようだ。

そして、この2人がイメージしたバンドカラーがベイシーサウンドであった。それにミシェルヘンドリックスが加わると、その演奏はまさに父親のジョンヘンドリックスがデイブランバートと50年前に作ったランバート・ヘンドリックス&ロスの再現となった。

元祖ランバート・ヘンドリックス&ロスが誕生した時、そのコンセプトをすぐに取り入れたコーラスグループはフランスのダブルシックスオブパリスであった。半世紀を経てもフランスにはこのグループが残した伝統が生き残っていたようだ。アメリカではなかなか父親の歩んだ道の源に辿り着けなかったミシェルも、2人の協力でフランスでそれを実現したようだ。

曲はベイシーファンにはたまらない有名曲が並ぶ。Girl Talkだけが何故かフランス語だが、このようなスタイルの演奏にフランス語の響きというのもなかなか洒落た感じで悪くない。ベイシーサウンドは海を越えてヨーロッパでも健在のようだ。 

1. Everyday I Have the Blues      4:52
2. Swingin' the Blues          4:10
3. Shiny Stockings            6:10
4. Whirlybird              4:02
5. Count Basie             4:57
6. April in Paris             4:00
7. Little Pony              3:24
8, Dansez Sur Moi (Girl Talk)      3:43
9. Fiesta in Blue            3:20
10. It's Sand Man           4:03
11. After Supper            4:52
12. Cute                4:08
13. Jumpin'at the Woodside       4:26
14. One O'Clock Jump         3:12

Michele Hendricks (vol)
Marc Thomas (vol)
Claude Tissendier (cl)
Gilles Berthenet (tp)
Francois Penot (ts)
Oliver Defays (bs)
Nicolas Peslier (g)
Jacques Schneck (p)
Lean-Pierre Rebillard (b)
Sylvain Glevarec (ds)

Produced by Claude Tissendier
Recoeded on 11,12 May 2009 at Studio de Meudon France


Basie Vocal Celebration
クリエーター情報なし
Fremeaux & Assoc. Fr
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2人の名アレンジャーがベイシーのDNAを時代を超えて・・・

2015-07-02 | MY FAVORITE ALBUM
Basie & Beyond / The Quincy Jones & Sammy Nestico Orchestra

ビッグバンドファンにとって、ベイシーサウンドはビッグバンドのDNAのような物。いつの時代でも、どこで聴いてもウキウキしてくるものだ。ベイシーのレパートリーばかりを演奏するバンドもあるが、どんなバンドでもベイシーサウンドを聴かせてくれる曲はレパートリーに1曲や2曲はあるものだ。

カウントベイシーが亡くなって30年以上経つ。本家ベイシーオーケストラもリーダーは代わっても、本家のサウンドを伝え続けている。ベイシーと関係のあったミュージシャンもベイシートリビュートのアルバムを作ったり、ライブでベイシーの伝統を引き継いだ演奏を聴かせてくれる。

エリントンのオーケストラは、リーダーのエリントンの曲アレンジが多い。特徴あるエリントンサウンドはエリントンのアレンジに因る所が大きい。一方で、ベイシーオーケストラは、その時代で色々なアレンジャーが曲を提供している。もちろんアレンジャーによって味付けは多少違っていても、不思議とサウンドには共通点がある。アレンジを超えるバンドカラーがある。これがベイシーサウンドであろう。

先日、Bebop and Beyondというグループを紹介したが、Beyondという言葉に引っかかった。そして、このBasie & Beyondというアルバムを思い浮かべた。良く聴くアルバムだ。分厚いジャケット解説がついているが、あまり中をじっくり読んだこともなかった。説明を見るまでもなくご機嫌な演奏が収められている。

ジャケット写真にあるようにクインシージョーンズのベイシートリビュートアルバムだ。クインシーとベイシーオーケストラとの出会いは1950年代60年代にはシナトラを介してその関係は深まった
このアルバムにはもう一人主役がいる。クインシー同様ベイシーオーケストラに多くのアレンジを提供したサミーニスティコだ。
このアルバムは誕生したのは2000年、すでにベイシーが亡くなってからは大分時間が経っていた。ちょうど世の中が21世紀に入って大きな時代の節目を迎えた時だ。現役プロデューサー&アレンジャーであった2人がベイシーを忍び、またベイシーを称えて、新時代を迎えたタイミングで、「ベイシーの次は何?」と自ら問うたアルバムともいえる。

選ばれた曲は2人がかってベイシーオーケストラに提供した曲が大部分。しかし、アレンジは新たに手が加えられた。

録音は、関係者やファンを集めてのスタジオライブだったようだ。メンバーはロスのスタジオミュージシャンが集まる。お馴染みのメンバーに加えて、ジェリーヘイがプロデュースに加わっているせいか、伝統的なビッグバンドには場違いなメンバーも多い。
さらに、ヒューバードロウズやハロルドジョーンズ、エミルリチャードといったゲストも加わった。関係者が一堂に会したスタジオは大パーティーの様相を呈したようだ。ライブ特有の聴衆のノイズは無いが演奏にもスタジオの和気藹々とした雰囲気が伝わってくる。

演奏は、ソプラノサックスがソロやリードをとったり、エレキベースやギターが加わったり、オリジナルのベイシーオーケストラでは聴けないサウンドもあるが、全体的はベイシーサウンドそのものだ。
時代が移り変わってもベイシーサウンドは永遠だとことになる。時代が移り変わって、ミュージシャンが替わっても、ベイシーを超えたその先にあるのもやはりベイシーサウンドなのか。



1. Ya Gotta Try...Harder!  5:39
2. Belly Roll         5:15
3. Grace            5:19
4. The Joy Of Cookin'     6:21
5. Quintessence     4:47
6. How Sweet It Is     7:21
7. Hard Sock Dance     4:21
8. The Witching Hour     5:16
9. For Lena And Lennie     4:19
10. No Time Like The Present 5:30
11. Lisette         4:09
12. Out Of The Night     5:51

Dan Higgins, Ernie Watts, Gary Foster, Gerald Albright, Jack Nimitz, Pete Christlieb (sax)
Bill Reichenbach, Bill Watrous, Charlie Loper, George Bohannon, Reggie Young (tb)
Gary Grant, Jerry Hey, Oscar Brashear, Rick Baptist, Warren Luening, Wayne Bergeron (tp)
Brad Warnaar, Greg Williams, Jerry Folsom (french horn)
Tommy Johnson (tuba)
Kirk Whalum (ts,ss)  (#3, 4, 10)
Hubert Laws (fl) (# 1, 6, 12)
Emil Richards (per,vibe)
Randy Kerber (p)
Greg Phillinganes (ep)
Paul Jackson, Jr. (eg)
Jimmy Johnson (eb) (#4, 5)
Neil Stubenhaus (eb)  (#2, 3, 11, 12)
Chuck Berghofer (b)  (#1, 6 to 10)
Vinnie Colaiuta (ds)
Harold Jones (ds)  (#6,10)
Paulinho Da Costa (per)  (#3, 12)

Conductor, Arranged By Quincy Jones, Sammy Nestico
Produced by Jerry Hey, Quincy Jones, Sammy Nestico, Judith Bright
Engineer : Tommy Vicari

Basie and Beyond
クリエーター情報なし
Wea/Warner Bros.
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ミシェルカミロのデビュー作と思っていたが、色々な顔を持つアルバムだった・・・

2015-06-28 | MY FAVORITE ALBUM
French Toast / French Toast

アルバムとの出会いは人それぞれ、人によってそのアルバムに対しての印象や思い入れは異なるものだ。

しばらく前に、サドメル&VJOのレパートリーだけを演奏するメイクミースマイルオーケストラのライブに行った。今年のライブのお題は「20周年」。このオーケストラの設立20周年記念ということであった。そして、その日のプログラムはこのグループの範とするメルルイスオーケストラの”20 Years at the Village Vanguard”のアルバムに収められている全曲であった。なかなか洒落っ気のあるプログラム構成であった。



演奏の途中のMCの中で、その日のプログラムの元となったメルルイスオーケストラのアルバムのジャケットが紹介された。そして、次に登場したジャケットが、この“French Toast”のジャケットであった。一瞬、何でその場で紹介されたのか意味が分からなかったが、話を聞くとこのアルバムに収められている”Butter”という曲が、ジェリーダジオンの作曲で、このメルルイスオーケストラのアルバムにも収められているということであった。

このメルルイスのアルバムは1985年の録音、そしてフレンチトーストの録音は前年の1984年の録音。フレンチトーストの方が先に世に出ていたということになる。そして、このフレンチトーストにはジェリーダジオン本人も加わっていた。

サドメルのコアメンバーであったジェリーダジオンだが、サドメルのレパートリーでダジオンの作編曲は決して多くはない。サドメルファンとすれば、珍しいダジオンの曲のお披露目の場としてこのアルバム「フレンチトースト」が印象に残ったのであろう。

さて、自分にとって、このフレンチトーストというアルバムは?というと、ピアノで参加しているミシェルカミロのデビューアルバムとしての印象の方が強い。自分自身もサドメルファンでありながら、このアルバムにジェリーダジオンが参加していたのも忘れていたくらいだ。

当時のカミロ写真を見ると実に若い、まだ30歳になったばかり。ドミニカ出身のカミロがニューヨークに来たのが1979年。ジュリアードで学びプロとしての活動を始めた頃だ。この演奏を聴き返しても、ラテンの血とクラシックに裏打ちされたテクニックは今のカミロを予見させるような個性を感じさせる。

後に、カミロのトリオのメンバーとなった、ベースのアンソニージャクソン、ドラムのデビッドウェックルもこの頃から一緒に演奏していた仲間であったことが分かる。

そしてカミロの名曲Why Not?が収められているが、マンハッタントランスファーであり、このアルバムであり、カミロ自身の同名アルバムの前にすでに曲としても有名になっていた。演奏だけでなく、共演メンバー、そして曲ともにカミロのデビューアルバムとして相応しい内容だ。

このアルバムはそもそもフレンチホルンのピーターゴードンがリーダー格を務めるグループのアルバムであった。ギルエバンオーケストラのメンバーであったゴードンがメンバー仲間のルーソロフなどに加え、当時のニューヨークの若手(後の大物)達を集めて、グループとしては5年近く活動をしていた。当時は無名であったが実力あるメンバー達が地道に行っていた演奏をアルバムに残したのには感心する。

内容は、フュージョンであり、ラテン調であり、そしてコンベンショナルなジャズの要素も取り入れ、まさにクロスオーバーの極みといった内容だ。見方、聴き方によって色々な顔を持つアルバムだ。
そして、このアルバムを制作したのは日本のレーベル「エレクトリックバード」。日本が元気であった頃の置き土産がこんな所にもあったのを久々に聴き返して再認識した次第。
グループ自体は、この一枚で解散。メンバーはそれぞれの道を歩むことになるが、何か時代の節目を感じるアルバムだ。

1. Why Not?                    Michel Camilo  5:46
2. Joe Cool                     Rod Mounsey 6:42
3. Ion You                     Peter Gordon 9:11
4. B.A. Express                 Carlos Franzetti 6:24
5. Butter (Tribute to Quentin Jackson)        Jerry Dodgion 6:52
6. Calentado Man                   Michel Camilo 9;04

Peter Gordon (fhr)
Lew Soloff (tp)
Jerry Dodgion (as)
Michel Camilo (p)
Anthony Jackson (b)
David Weckl (ds)
Stev Gadd (ds) #3,4

Arranged by Michel Camilo #1,6 Peter Gordon #2,3,Jerry Dodgion #5,Carlos Franzetti #4
Produced by Shigeyuki Kawashima
Engineer : Bill Sheniman
Recorded at Skyline Studio, N.Y. on April 7,8 &9,1984


フレンチ・トースト
クリエーター情報なし
キングレコード
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今回はアレンジだけの付き合いだったが、翌年には仲良くコンビを組んで・・・

2015-06-20 | MY FAVORITE ALBUM
Brass Shout / Art Farmer Tentet

アートファーマーとベニーゴルソンのコンビというとジャズテットで有名だ。
トロンボーンは途中で替わったが、この2人のコンビは最後まで変る事はなかった。58年9月録音のアルバム”Modern Art”での2人のコンビは演奏もアレンジも絶妙だった。2人の本当の出会いがいつかは知らないが、このアルバムが2人のコンビのスタートいってもいいだろう。

当時のアートファーマーは、ジェリーマリガンのグループに加わり、レコーディングではソニークラークの名盤”Cool Struttin’”にも参加し、大編成の録音にも引く手あまたであった。誰とやってもファーマーの特徴である柔らかいサウンドが良くマッチする物が多い。

一方のゴルソンはこの頃カーティスフラーとよく一緒に演奏していた。2人のコンビで有名なアルバム”Blue’s Ette”が59年5月の録音、それに続いて8月、11月の”Imagination”と立て続けにアルバムを作っていた。「ブルースエット」こそクインテット編成だが、後の2枚はそれぞれリーモーガン、サドジョーンズとトランペットを加え3管編成であった。特に、8月のアルバムは、カーティスフラージャズテットとグループ名共どもとジャズテットの原型は実はカーティスフラー主導で作られていた。

59年にゴルソンがフラーとべったり付き合う前の59年4月、ファーマーとゴルソンが残したもう一枚のアルバムがこれになる。
ここではゴルソンはアレンジに徹して、プレーには参加していない。というのも、アルバムタイトルからも想像続くが、このアルバムは主役のアートファーマーに加え、バックはブラスアンサンブルで、たとえ吹きたくともサックスの出番は無かった。

ブラスアンサンブル自体が珍しいが、ここではチューバーやホルンなどジャズではあまり使われない管楽器を加えている。ブラスといっても金管の煌びやかな感じを活かすというより、中低音を活かした重厚な丸みを帯びたサウンドに仕上がっている。
これが、アートファーマーのトランペットに実に良く合う。トランペットのハイノートの輝きをアンサンブルで盛り立てるとことは良くあるが、今回は逆のコンセプトで、ファーマーの中音域のトランペットをうまく浮き彫りにしている。

さらに、このアルバムの良さは曲の選曲にもある。ジャズのスタンダード曲には、いわゆる昔の歌物を素材としたスタンダード曲があるが、モダンジャズの演奏から生まれたスタンダードとなった名曲も多くある。多くはビバップ時代から、この50年代の後半に作られた曲が多い。

これらのスタンダード曲は、今でもアルバム作りの時にファンサービス(客寄せ)のために演奏されることは多い。このアルバムでは、モーニンやニカズドリームといった出来立てのホヤホヤのジャズの名曲をブラスアンサンブルに仕立て直している。ゴルソンの名曲ファイブスポットアフターダークも収められているが、この曲に至っては「ブルースエット」の録音前に、このアルバムで披露されていたことになる。



アンサンブルに加わっているメンバーも一流処が揃っているが、フラーやワドキンスなどのソロも聴ける、なかなか豪勢なアルバムとなっている。やはりメジャーレーベルのなせる業かもしれない。

1960年になってジャズテットの初アルバムが作られたが、ここではトランペットにアートファーマーが選ばれる。そして、フラーがつけたジャズテットのグループ名称も引き継いだことになる。
ゴルソンは、フラーと共にグループに招くトランぺッター色々試したものの、結局モダンアートで一緒に演奏したファーマーとの相性が一番よかったのだろう。というより、ファーマーを生涯の伴侶として選んだのかもしれない。

と、考えるとこのアルバムは、ファーマーに対してゴルソンのプロポーズの意味も含まれていたのかもしれない。同郷のモーガン、同じように作編曲も得意なサドジョーンズと色々付き合ってみたが、最後はファーマーに収まってめでたしめでたし。

1. Nica’s Dream
2. Autumn Leaves
3. Moanin’
4. April In Paris
5. Five Spot Afrer Dark
6. Stella By Starlight
7. Minor Vamp

Art Farmer, Lee Morgan, Ernie Royal (tp)
Wayne Andre, Jimmy Cleveland, Curtis Fuller (tb)
Julius Watkins (French horn)
Don Butterfield (tuba)
James Haughton (baritone horn)
Bobby Timmons (p) only #3
Percy Heath (b)
Philly Joe Jones (ds) #3,4,5,7
Elvin Jones (ds) #1,2,6

Arranged by Benny Golson
Produced by Tom Wilson
Recording Engineer : Lew Merritt

Recorded at Nola Penthouse Sound Studio, NYC, May 14, 1959

ブラス・シャウト
クリエーター情報なし
EMIミュージックジャパン
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伝統を守るのはやはりスタンダード曲で・・・・

2015-06-15 | MY FAVORITE ALBUM
Keeping Tradition. / Dee Dee Bridgewater

ペッパーアダムスはソリストとして独立してからはオリジナル曲に拘った。特に、自らがリーダーとなったアルバムでは。しかし、日頃のgigではもちろんスタンダード曲をやることもあっただろう。特に日頃一緒に演奏していないメンバーとのジャムセッションとなるとまずはスタンダード曲となるが普通だ。

一方で、聴き手の方でも、スタンダード曲がいいか、オリジナルがいいかは永遠のテーマのような気がする。演奏するミュージシャンによっても違うし、聴くシチュエーションによっても違うので。知らない曲ばかりの中で、知った曲が出てくるとホッとするのもスタンダード曲の効用だろう。

昨年2度も来日して貫禄を見せつけてくれたディーディーブリッジウォーターの本格的なデビューはサドメルのオーケストラであった。当時サドメルのメンバーであったトランペットのセシルブリッジウォーター婦人であったので、専属歌手というより「おまけ」といった感じであった。サドメルの2度目の来日の時にもオーケストラに帯同して、アルバム「アフロブルー」を残していった。これが彼女の初アルバムとなった。

その後は、ミュージカルに出演し、フュージョン系のアルバムを何枚か出したが、ジャズシンガーというよりも、ソウル系の歌手といった感じであった。アメリカでは鳴かず飛ばずであったか、やりたいことができなかったのか?80年代に入ると心機一転フランスに活動の場を移した。アメリカで行き詰るとヨーロッパに渡るジャズミュージシャンは昔から多かったが、彼女もその一人であった。

フランスでの生活も10年近くになった1992年に作られたのがこのアルバム。ジャズ歌手だけでなく色々チャレンジした成果を生かし、ピアノトリオをバックに再びジャズに真正面から取り組んだものとなった。

自らプロデュースし、タイトルも“Keeping Tradition”。ジャズの伝統を守るということだろう、選んだ曲も過去に幾多の名唱が残されているスタンダード曲ばかり。その中で、2曲ホレスシルバーの曲があるが、彼女はデビューした時からシルバーの曲が好きだと明言していたので、ここでも選んだのであろう。
やはり、ジャズの伝統をどのように表現するにしても、素材はスタンダード曲がいいように思う。

バックは、地元のフランスのミュージシャン達だが、彼女が伝統回帰を図ったのに合わせて実にピッタリなプレーでサポートしている。ヨーロッパはアメリカよりは伝統を重んじるお国柄。ジャズでも前衛的な演奏に理解を示す反面、トラディショナルジャズも根強い人気があると聴く。ここでは、彼女に合わせて正統派だが、多少新しさを付け加えて伝統に根差した演奏だ。
その後、ブリッジウォーターはエラやビリーホリデートリビュートのアルバムを作るが、それに向けてのトライアル&ウォーミングアップを兼ねたアルバムといってもいいだろう。



1. Just One Of Those Things
2. Fascinating Rhythm
3. The Island
4. Angel Eyes
5. What Is This Thing Called Love?
6. Les Feuilles Mortes (Autumn Leaves)
7. I'm A Fool To Want You/I Fall In Love Too Easily
8. Lullaby Of Birdland
9. What A Little Moonlight Can Do
10. Love Vibrations
11. Polka Dots And Moonbeams (Around A Pug-Nosed Dream)
12. Sister Sadie

Dee Dee Bridgwater (vol)
Thierry Ellez (p)
Hein Van De Geyn (b)
Andre Ceccarelli (ds)

Produced by Dee Dee Bridgewater
Recording engineer : Pierre Jacquot
Recorded on December 8, 9 and 10, 1992 at Plus XXX Studio Pans France

Keeping Tradition (Reis)
クリエーター情報なし
Emarcy / Umgd
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アル&ズートのコンビとブルース歌手との組み合わせは少し意外だが・・・

2015-06-14 | MY FAVORITE ALBUM
The Scene / Jimmy Rushing, Zoot Sims & Al Cohn

ライブに行くとアルバムではなかなか聴けない演奏が聴ける。ライブならではのハップニング的な演奏もあれば、思わぬ組み合わせが実現ということも。ジャズならではの楽しみだが、それは今も昔も多分同じであろう。

過去の夢の共演もアルバムになっていないと聴く事が出来ないというのが世間相場であったが、最近では昔のライブの演奏が発掘されアルバムになったりYouTubeで紹介されたりして陽の目を見ることも多い。このアルバムもそのような一枚だ。

テナーバトルのコンビといえば、アル&ズートが有名。アルバムだけではなく、当時はライブ活動も積極的にしていたようだ。その模様を収めた”Jazz Alive / A Night At The Half Note”も有名なアルバムだ。ここではフィルウッズの参加というおまけもついているが、ライブならではの楽しさを味あわせてくれるアルバムだ。

ブルース歌手に、ジミーラッシングという歌手がいる。ベイシーオーケストラの専属歌手として名を成したが、その後もスイング系のミュージシャンとの共演が多い。彼のニックネームは5x5、背が低くて超肥満、縦横(胴囲)5フィートという意味だ。この巨漢から生み出される歌声はブルースその物だが、バリバリのブルース歌手というよりジャズマンとの関わりが強い。少し毛色が違うように思うベニーグッドマンやデイブブルーベックなどとも共演しているが、意外としっくりくる。64年外タレの来日ラッシュのときには、エディコンドンのグループと一緒に来日している

そんなジミーラッシングとアル&ズートのコンビも共演している。ラッシングのラストアルバムにも2人が加わっているので付き合いは深かった。このアルバムもたまたま一緒にというではなく、それまでも良く一緒にクラブ出演をしていたようだ。

そのライブの演奏のアルバムがある。1965年、ニューヨークのクラブでのライブという以外詳細はアルバムにも記されていないが、71年に亡くなったラッシングの晩年の歌声だ。先日紹介したアルバム"Every Day I Have The Blues"が1968年の録音なので、その少し前という事になる。

バックが誰に替わろうともラッシングの歌声が変ることはない。反対にバックのプレーの方がラッシングに歌に引っ張られる。もっともブルースはジャズの一要素。洗練された白人バンドであっても、ブルースを演奏するには彼のような歌手とのコラボを望んだのかもしれない。ここでも、2人のテナーがいつになくブルージーだ。このアルバムもアル&ズートの演奏にゲストで参加しているというよりは、ラッシングのステージでアル&ズートのコンビがバックを務めている間に自然にステージ全体がラッシングの雰囲気に包まれるといった感じだ。



1. Deed I Do
2. Gee Baby Ain't I Good to You?
3. I Can't Believe that You're in Love with Me
4. I Want a Little Girl
5. The Red Door
6. Goin' to Chicago
7. I Cried for You
8. Everyday I Have the Blues
9. It's Noteworthy
10. Good Morning Blues

Jimmy Rushing (vol)
Zoot Sims (ts)
Al Cohn (ts)
Dave Frishberg (p)
Major Holley (b)
John Beal (b)
Mousey Alexander (ds)

Recorded live at New York 1965


THE SCENE
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HIGH NOTE
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テナーバトルは良くある企画だが、プログラム構成の良し悪しで・・・・

2015-06-12 | MY FAVORITE ALBUM
Jazz Battle Series Tenor Sax / K.Saijo vs. H.Matsumoto

久々のブログ更新になる。というよりも、レコードを聴いたのも久しぶりだ。
3月で仕事を辞めたので自由になる時間が増えたと思ったのもつかの間、今月はボランティア作業に振り回されている。ボランティアとはいえ、責任ある立場で重要な決め事をしなければならないとなると仕事以上に気を遣うし疲れるものだ。じっくり聴く気もしなかった。

とはいうものの、気晴らしにライブには良く出掛けている。
昨日は、片岡雄三と林正樹のピアノのDuo。
珍しい組み合わせだが、その場で曲を決めながら即興演奏の極みのプレーを聴かせてくれた。実力者同士でなければできない芸当、なかなか聴けない演奏だった。

一昨日は、トロンボーンカルテットのVoltsに白石幸司のクラリネットが加わった演奏。これが予想以上に楽しかった。トロンボーンのアンサンブルは聴いていて心地良いが、リードやソロもトロンボーンとなると曲によってはここ一番の「華やかさ」と「キレが無い」を感じないでもない。フランクロソリーノのようなプレーヤーがいれば別だが。
ところがそこにクラリネット一本加わるとサウンドの魅力が一気に広がる。クラリネットとトロンボーンという組み合わせもなかなかいいものだ。
白石幸司はクラリネットで有名だが、ビッグバンドに加わる時はテナーも吹く。このテナーをなかなか聴けないが、先日トロンボーンの早川隆章と組んだクインテットで存分に聴く機会があった。スコットハミルトンとハリーアレンのコンビのイメージを、トロンボーンとテナーで再現というコンセプトのようだが、自分の好みのサウンドにこれも大満足だった。

スイング系といえば、先日鈴木直樹と青木研のクインテットの予定があったが、主役の一人鈴木直樹が病気療養中という事で、その日はピアノトリオに青木研のバンジョーという編成であった。これも珍しい組み合わせとなったが、一人減っても何とかなってしまうのがジャズの素晴らしい所、これも楽しいライブであった。

という訳で、ライブ続きであったので、久々に聴くアルバムもライブ物から。
テナーバトルというのはスタジオ、ステージを問わず昔から良くある企画だが、この演奏も松本英彦と西条孝之介という2人のテナーの組み合わせのライブ物。バトル物ではあるが、うまく企画・構成されているアルバムだと思う。

2人それぞれA面、B面に分かれての演奏。最初の対決は意表をつくボサノバ対決だ。どちらもリズミカルに切れ味のある演奏だ。次はバラード対決だが、甘い泣きのテナーではなく、クールで鋭いバラードプレー、といった感じで進む。
バックはどちらも前田憲男トリオが務めるが、西条孝之介は元々ウェストライナーズのメンバーでもありレギュラーカルテットでの演奏だ。

次は多少アップテンポでストレートな演奏だが、松本がスタンダードのスピークロウに対して、西条の方は前田憲男のオリジナルで応酬。

最後は、それぞれ2人の共演となるがこれは2曲とも前田憲男のオリジナル。名前のとおりハードバップの演奏。これにはトランペットとアルトも加わる。一方は多少モーダルな演奏で2人のバトルで締める。この頃の猪俣猛は良く聴いた一人だが、ここでも軽快なリズムで2人の演奏を盛り立ている。

バトルシリーズとして他の楽器でのバトルのアルバムもあるが、良き時代の楽しいアルバムだ。
ライブ通いをすると、当時の活気のあるライブを思い起こすが、どうも最近のライブ会場は寂しい限りだ。

たまたま今日オーダーしていた交換針も届いた。ライブ通いの延長上のアルバムで少しウォーミングアップしたので、ぼちぼち棚卸に復帰しようと思う。

1. Samba de Orfeu
2. My One And Only Love
3. Speak Low
4. We Dig Be-Bop
5. Recado Bossa Nova
6. You Don’t Know What Love Is
7. A Nimal Kingdom
8. Critic Age

Hidehiko Matsumoto (ts)
Kohnosuke Saijo (ts)
Teruyuki Fukushima (tp)
Hideyuki Kikuchi (as)
Norio Maeda (p)
Yasuo Arakawa (b)
Takeshi Inomata (ds)

Supervisor : Teruo Isono
Directed by Toshiaki Sugimoto
Engineer : Hiroshi Satoh
Recorded live at Birdland Roppomgi, Tokyo on Feb. 16, 1976
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アルバム作りの上手いグループも最後はやはりライブ中心で・・・

2015-05-25 | MY FAVORITE ALBUM


Dave Pell Octet Live at Alfonse’s

ジャズを聴くのはアルバムがいいか、ライブがいいか?これは永遠の課題かもしれない。
しっかりプロデュースされた、いい録音のアルバムを聴くと、これはなかなかライブでは味わえないと思う。
しかし、反対にジャズはある種のワンアンドオンリーの瞬間芸を楽しむもの。ジャムセッションのようなメンバーの組み合わせもあるし、日によって演奏の好不調もある。会場の雰囲気を含めて盛り上がった演奏を聴くと、これはスタジオ録音では味わえない。
結局どちらも良いという事になるのだが。

同じグループを聴いても、スタジオとライブでは全く違うイメージを感じることもある。
しばらく前に紹介したアルバムに、スーパーサックスの東京でのライブ録音があるパーカーのアドリブをアンサンブルに仕立てたスーパーサックスは、アレンジの妙をスタジオ録音できちんと録音されたアルバムでその良さにまずは感激した。アルバムではソロもあるがこれは、コンテカンドリやロソリーノが中心、一流メンバーが揃っているが、サックス陣のソロは味わえない。

しかし、ライブ録音を改めて聴くと、ここではサックス陣も皆ソロを披露している。せっかく錚々たるメンバーが舞台に揃っていて、時間的な制約もないのだから、それぞれのソロを披露して当たり前。やはりライブの時はそのような演出も必要だと思う。いや、スーパーサックスも最初はライブからスタートした。最初からこのような形でスタートしたのかもしれない。

ウェストコーストを代表するグループのひとつにデイブペルのオクテットがある。アレンジ中心の洗練されたサウンドはウェストコーストジャズ自体が下火になってからも人気は持続し、60年代になってもアルバムを多く残している。
その後ペルはスーパーサックスの活躍に刺激を受けたのか、78年にPrez Conferenceを作ったがこれは長続きしなかった

そして80年代に入り、ペルのオクテットを懐かしむ声が高まり、オクテットを再編することになるが、単に昔のアレンジを再演してもつまらない。そこでライブのアルバムを作ることにした。そして、そこには単に昔のアルバムの再発にならないような「何か」を求めて。

時代は変りメンバーはドラムのフランクキャップを除いて60年代のメンバーとはがらりと代わったが、いずれも西海岸のスタジオワークを務めている面々。アレンジは、当時のビルホルマンやマティーペイチのものをそのまま使った。そして、そこにはライブならではの「何か」が付け加わる事を期待してライブ録音となった。

結果は上々。ペルのオクテットの軽快なサウンドは変ることは無いが、ライブならではのリラックスした感じになり、曲によってはソロもタップリ。例えば、Suze Bluesはオリジナルでは4小節のソロ交換だが、ここではコーラス単位で各メンバーが順番に。結局ライブのステージが、昔の懐メロの再演ではない「何か」を生み出したようだ。

アルバム作りだと、曲の選曲でアルバムに特徴づけができるが、ライブだとやはり演奏のメリハリでプログラムを構成する必要がある。特にホテルのラウンジでの演奏の様にバックミュージックとして演奏している時はいいが、ライブで聴かせるためのステージではその演出が大事だと思う。やはりジャズのライブは、プラスαの「何か」を生み出すようだ。
これに味を占めたのか、ペルはアルバムこそ作らなかったが、ライブではこのオクテットを時々再演していたようだ。

1. Love Me or Leave Me
2. Java Junction
3. You’re My Everything
4. Angel Eyes
5. The White Cliffs of Dover
6. Have You Met Miss Jones
7. Them There Eyes
8. I Know Why And So Do You
9. I Founf A New Baby
10. Suze Bluze

Dave Pell (ts)
Bob Efford (bs)
Steve Huffsteter (tp.flh)
Ric Culber (tb)
Bob Florence (p)
Tom warrington (b)
Barry Zweig (g)
Frank Capp (ds)

Arraged by Marty Paich, Bill Holman,  Johnny Mandel
Recorded live at Alfonse’s

Live at Alfonse's
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RKO / Unique
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90歳になっても、この頃のドラミングと本質は変わらずに・・・

2015-05-21 | MY FAVORITE ALBUM
We Three / Roy Haynes, Phineas Newborn, Paul Chambers



先日ロイ・ヘインズのライブがあった。「90歳の誕生日を祝って」というタイトルであったが歳を感じさせないプレーを聴かせてくれた。へインズもバップ時代を伝える生き字引の一人だが、まずは元気な姿を見ることができて一安心。

元々小柄なへインズだが、ちょっと見た感じ、そして歩く姿は一回り小さくなった感じがするのは否めない。しかし、一度ドラムセットの前に座るとそのドラミングは健在であった。小柄なせいかへインズのドラムセッティングは椅子を高くして少し特別なセッティングだという。これがしっくりいかなかったのか、最初の曲が始まってからもドラムセットを細かく神経質そうに調整していたのが気になった。もちろんプレーもおざなりになる。

しかし、曲が進むにつれてドラミングの方も、本来のへインズのタイムリーな、きめ細かさにドライブがかかってきた。元来ド派手なプレーをするタイプではないので、ドラムソロと言ってもマレットを使ったメロディアスなプレーであった。年を重ねてもへインズのドラミングの本質は変わるものではなかった。

同年代のベニーゴルソンのステージではプレーだけでなく昔話を交えたトークも楽しめたが、反対に今回のへインズのステージはプレーに専念。曲目紹介やメンバー紹介もなく淡々とステージは進んだ。本来は陽気な性格のへインズのはずだが、これは少し残念であった。

へインズは長く演奏生活を続けているが、これはというリーダーアルバムはあまり思い浮かばない。(もっとも90年以降のアルバムはほとんど聴いていないが)。しかし、バックに廻った時、その時のメンバーや場の雰囲気に合わせたドラミングは格別のものがある。

因みに自分が一番好きなドラミングは、チックコリアのNow He Sings Now He Sobsのバック。コリアが新しい事をやろうとしている事に合わせて、曲によって実に変化に富んだドラミングを聴かせてくれる。スタンゲッツのグループに加わりながら、コルトレーンのグループにエルビンジョーンズの代役として良く加わっていたというのも、どのような相手とも合わせることができるへインズならではの技があるからだと思う。

このへインズの50年代のアルバムというとこのアルバムとなる。サラボーンのバックを務めている時はブラッシングに専念しているが、ここではフィニアスニューボーンのピアノが相手だ。超絶テクニックにどう合わせるかが聴き所だが、レギュラートリオのようにピッタリときまっている。

この録音が行われた1958年、ロイヘインズは長年務めたサラボーンのバックを離れた。そしてこのアルバムで共演しているニューボーンとは何度かファイブスポットでgigを続けていたようだ。それもあって、まさにタイトル通り誰がリーダーという事も無く3人の呼吸は合っている。クラブでの演奏にピッタリなグルービーな雰囲気もそのままスタジオで再現している。ニューボーンもデビュー直後の様にテクニックをひけらかすのではなく、3人のコラボに重きを置いているようにも感じる。まさにWe threeだ。

このジャケットの3人の写真を見ても、へインズとニューボーンがチェンバースと較べて頭一つ違うのが良く分かる。小さな巨人達のビッグな演奏が聴けるアルババムだ。



1. Reflection                Ray Bryant 4:21
2. Sugar Ray           Phineas Newborn Jr. 6:22
3. Solitaire             Guion / Carl Nitter 8:47
4. After Hours             Avery Parrish 11:14
5. Sneakin’s Around             Ray Bryant 4:21
6. Our Delight             Tadd Dameron 4:01

Phineas Newborn (p)
Paul Chambers (b)
Roy Haynes (ds)

Produced by Bob Weinstock
Recording Engineer : Rudy Van Gelder
Recorded at Van Gelder Studio Hackensack New Jersey on November 14, 1958


We Three: Rudy Van Gelder Remasters Series
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Prestige
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一流のスタジオミュージシャンの技が存分に・・・

2015-05-17 | MY FAVORITE ALBUM
Everything’s Gonna Great / Sal Lozano



この顔に見覚えのある方は多いかと思う。西海岸のビッグバンドで最近は毎年のように来日しているゴードングッドウィン率いるBig Fhat Bandのリードアルトのサルロザノ。
このバンドのサックスセクションではエリックマリエンサルのソロ方が目立つが、このロザノもなかなか素晴らしいプレーを聴かせてくれる。ラプソディーインブルーではクラリネットを存分に披露してくれたが、クラリネットの腕前も一流だ。

というのも、ゴードングッドウィンのバンド以外の普段の活動を日本では知ることはできないが、サルロザノはロスのスタジオミュージシャンの中ではファーストコールの第一人者だそうだ。映画音楽、有名ミュージシャンや歌手のレコーディング、コンサート、そして舞台に数多く出演している。そして、大学で音楽を教える教育者でもあるようだ。

このようなトップクラスのスタジオミュージシャンの本気のジャズプレーの凄さを、身を持って体験したのが、数年前来日したカールサンダースのトランペットだった。西海岸のビッグバンドのアルバムでサンダースの名前は良く見かけるが、実際にライブでステージのサンダースのトランぺットを目の当たりにした時は、ソロでもアンサンブルでもその迫力と素晴らしさに度肝を抜かれたものだ。

実は、このサルロザノが4月から5月にかけて単身来日していた。日本の各地を回って地元のビッグバンドとの共演を行ったようだが、東京では何回かのコンボでのライブがあった。普段のスタジオワークやゴードングッドウィンのバンドでの演奏ではなく、そこではソリストとしてストレートなジャズのプレーをたっぷりと聴けた。

自分が聴きに行ったのはトロンボーンの片岡雄三との共演。ピアノの野口茜との共演もあったが、残念ながらこちらは聴きには行けなかった。片岡雄三も自分は普段はビッグバンドで聴く事が殆どなので、彼のソロプレーも合わせて堪能できたのが大収穫であった。
このような実力者ともなるとたいしたリハーサルも無く、ぶっつけ本番のプレーだったようだが、呼吸はピッタリ。お互いのソロだけなく2人の掛け合いもレギュラーバンドのようにスムースであった。

このサルロザノが新しい自分のCDということで、会場で紹介していたのを早速購入したのがこのアルバム。中身も知らずに買い求めてみたが、中を開けて聴いてみるとびっくり。
ロザノのリーダーアルバムではあるが、中身は彼のプレー仲間のTom Kubisの作品集であった。クビスがファイブサックス用のアレンジができたので、ロザノにそれをレコーディングしたいと相談に来たのがきっかけだったそうだ。最初はメンバーへの参加要請だったかもしれないが、話をきいたロザノは、「それであれば5本のサックスは全部自分が吹くよ」と言って、できたのがこのアルバムである。

まさにマルチリードプレーヤーであるロザノの本領発揮となった。ソプラノからバリトンまで、ファイブサックス用のアンサンブルパートは、リズムセクション以外はすべてロザノ一人で多重録音をした。
それに、ソロ部分はロザノのサックスやフルートだけでなく、曲によってトランペットや他のサックス、トロンボーンなどが適宜参加する形となった。
曲想は、4ビートから8ビートまで。ラテン調があったり、シャッフルのリズムに乗せた軽快なものまで色とりどり。肝心なサックスアンサンブルはソプラノリードが多く、重厚な厚みのあるサックスというよりは明るく軽やかなサウンドだ。
こんなアルバムを作り上げてしまうというのは、まさにどんな演奏でもこなすスタジオワークの強者の技があるからこそだろう。サックスアンサンブル好きとしては、予想外の好アルバムを手に入れることができたが、ライブで聴かせてくれたソリストとしての迫力は残念ながらこのアルバムでは味わうことが出来ない。やはりライブならではの演奏だったのか・・・。

このライブの会場であった芝崎の「さくらんぼ」は、亡くなった名アルト奏者、堀恵二さんが率いていたメロウサキソフォンアンサンブルの本拠地だった。あのファイブサックスのサウンドをもう聴けないと思うと、一度このロザノが加わって再演して欲しいものだ。

1. I Love Sax
2. Graduation Waltz
3. Hey Sal,Get Your Soprano Out
4. Beat Down And Broken Blues
5. Maraba
6. I Wanna Hear Beer
7. Takin’ The A Sax
8. Romance
9. You Say Partido, I say Perdido
10. Bar B Oue
11. A New Sheen On Shine
12. Still
13. There’ll Never Be Another Sax

Sal Lozano (ss,as,ts,bs,fl)
Tom Ranier (p)
Trey Henry (b,eb)
Ray Brinker (ds)
Mike Higgins (g)
Joey De Leon (per)

Ron Stout (tp)
Dave Moody (ts)
Tom Kubis (ts,arr)
Brian Williams (bs)
Andy Martin (tb)
Alex Iles (tb)
Charlie Norllas (tb)

Recorded July 2013,July 2014 at MAPS and House of Syn
Recording Engineer : Mike Willson, Andrew Synowiec
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Pops路線に変わる直前のクインシーの作編曲はベイシーオーケストラに・・・

2015-05-14 | MY FAVORITE ALBUM
Lil Ol' Groovemaker…Basie! / Count Basie Orchestra

連休中のライブ通いはビッグバンド三昧であったが、その中の一つが小林正弘のオーケストラ。この日のプログラムはQuincy Jones Nightとタイトルされたクインジージョーンズ特集であった。

一昨年クインシージョーンズが来日した時、実はこのオーケストラがクインシージョーンズオーケストラを務めた。このクインシージョーンズの公演は、クインシーファミリー総出の延々4時間にも及ぶ長いコンサートであったが、このオーケストラが主役で演奏したのはほんの数曲であった。せっかく準備したのにこれでは消化不良であったのだろう、後で日を改め同じメンバーが集まりライブハウスで憂さ晴らしライブを行った。
クインシージョーンズのビッグバンド物は、昔は学生バンドの基本レパートリーであったのだが。最近ではクインシーのアレンジ物はライブでもあまり聴く機会が無かったので、クインシー好きとしては久々に堪能したライブであった。

この日もクインシーのビッグバンドでは定番のエアメイルスペシャルからスタート。第一部は初期のクインシーのオーケストラの曲から、そしてベイシーへ提供したアレンジからの曲が続く。続く第2部はボーカルが加わって、ウォーキングインスペース以降のアルバムからの曲。久々に新旧取り混ぜてのクインシー三昧のライブは楽しく聴けた。

クインシー・ジョーンズは1960年に念願の自分のビッグバンドを編成してヨーロッパに遠征を行った。しかし、予定されていたミュージカルが途中で中止に、演奏の場を求めてヨーロッパ中流浪の旅を続けたが、結局多額の借金を抱えてアメリカに戻ることに。その額は14万ドルにのぼったという。その後マーキュリーの役員になった時の年俸が4万ドルだったというから、当時のその額は半端ではなかった。

しかしクインシーは挫けなかった。どん底の状態からクインシーは音楽界のトップスターの座に登り詰め、アメリカンドリームを実現した一人になった。
しかし、ヨーロッパで苦労を共にした仲間の中には、それがきっかけで人生の歯車が狂った者もいたようだ。ギターのレススパンは酒浸りになり、ジュリアスワトキンスはジャズ界から遠ざかってしまった。

黒人としては珍しいメジャーレーベルであるマーキュリーの役員に登用され、まずはガレスピー、マリガン、ピーターソンなど有名ミュージシャンと次々と契約しアルバムを作ったが全く売れなかった。トップから売れるアルバム作りの至上命令を受け、ジャズ以外の世界に踏む出すことになる。
一方で、作編曲に関してはマーキュリーとの契約事項に入っていなかったために、他社のアルバムでも作編曲は自由にできたようだ。反対に自社のアルバムで作編曲をやってもそれはただ働きになったようだが。この時音楽ビジネスの基本を身につけ、後の成功の基礎が築かれたのだろう。
転んでもただでは起きないのは天性なのか。またこの時代、映画音楽にも興味を持ち新たな領域にも進出している。これらを同時にこなしていたというのが、クインシーの超人的なところだ。

クインシーがこの八面六臂の活躍をしている時に、カウントベイシーオーケストラにアレンジを提供している。クインシーがベイシーオーケストラに最初にアレンジを提供したのはルーレット時代。One More Timeというアルバムを残している。自分のビッグバンドを作る直前の作品だが、ベイシーサウンドとクインシーサウンドが見事に融合した素晴らしいアルバムだと思う。

マーキュリーで売れるアルバム作りを心掛けるようになってから、ベイシーに提供したアレンジはオリジナル曲ではなくいわゆるヒット曲をベイシーサウンドにアレンジしたもの。アルバムThis Time By Basieであった。今回の小林正弘のビッグバンドのライブでも、このアルバムの曲がメドレーで演奏されていた。

しかし、このアルバムと殆ど同じ時期に、クインシーのオリジナル曲&アレンジを提供したのがこのアルバムだ。ちょうどベイシーもルーレットを離れ、シナトラのリプリーズに移籍する間の何枚かをVerveで録音したが、その中の一枚だ。

お馴染みのフレディーグリーンのリズムにのってベイシーのハープシコードのソロからスタートする。アンサンブルとの掛け合いも快調だ。
次のPleasingly Plumpはクインシーのオーケストラでも演奏していた曲。このまったり感がベイシーオーケストラだと一層いい感じだ。



ベイシーのアルバムとしてはあまり有名ではないが、クインシーのPOPS路線に変わる直前の作品として聴くと、クインシーの曲が聴ける最後のアルバムとして貴重だ。フィルウッズがクインシージョーンズの作品集アルバムを作っているが、このアルバムの曲からも何曲か選ばれている

肝心のベイシーオーケストラは、サドジョーンズが抜けた後はアルアーロン、そしてハーマンオーケストラにいたドンレイダーが加わっている。サックスセクションは両フランクが陣取り健在。いわゆるアドミックベイシーバンドをまだ引き継いでいる。ベースはクインシーと共にヨーロッパを渡り歩いたバディカトレット。これも何かの縁かもしれない。

世の中も、ジャズ界も、ベイシーそしてクインシー自身も大きな転換期であったが、クインシージョーンズのビッグバンドアレンジャーとしてのそれまでの活動の集大成となるアルバムだ。

1. Little Ol' Groovemaker
2. Pleasingly Plump
3. Boody Rumble
4. Belly Roll
5. Count' Em
6. Nasty Magnus
7. Dum Dum
8. Lullaby for Jolie (Jolie Ann)
9. Kansas City Wrinkles

Al Aarons, Sonny Cohn, Don Rader, Fortunatus Fip Ricard, Snooky Young (tp)
Henry Coker, Urbie Green, Grover Mitchell, Benny Powell (tb)
Marshall Royal (as, cl) Eric Dixon, Frank Foster, Frank Wess (ts,as, fl)
Charlie Fowlkes (bs)
Count Basie (p)
Freddie Green (g)
Buddy Catlett (b)
Sonny Payne (ds)

Quincy Jones (arranger)

Recording Ebgineer : Phil Ramone

Recorded NYC, April 21,22,23 1963

リル・オル・グルーヴメイカー
クリエーター情報なし
ユニバーサル ミュージック クラシック
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ペッパーアダムスの後継者、ニックブリグノラのバリトンソリストとしてのスタートは・・・

2015-05-09 | MY FAVORITE ALBUM
L.A.Bound / Nick Brignola

連休中はビッグバンドのライブ三昧であったが、ビッグバンドでついつい気になるのがバリトンサックス。大体いつものメンバーであったが、今回気になったのが、CUGジャズオーケストラの岩持芳宏。CUGオーケストラ自体のライブを聴くのが初めてであったが、この岩持さんのバリトンをじっくり聴くのも初めてだったが、なかなか素晴らしいプレーをしていた。
他のオーケストラでは小曽根真ノーネームホースのメンバーだが、このバンド自体オールスターメンバーで話題豊富なビッグバンドなので、正直このバンドでのバリトンサックスのプレーは特に印象が残っていなかったのだが・・・。

60年代の前半、ビッグバンドは低迷していた時代だ。そのような逆境の中でもいつも頑張っていたのがウディーハーマン、その時代の好きなアルバム「1964」というタイトルのアルバムがあるが、その時のメンバーでバリトンサックスを吹いていたのがニックブリグノラだ。この時のサックスセクションの主役はサルニスティコで、ブリグノラのバリトンは特段目立つ存在ではなかった。

このブリグノラは、ペッパーアダムス亡き後、数少ないバリトンサックスのソリストとして活躍していた。

このブリグノラがペッパーアダムスと共演したアルバムが「バリトンマッドネス」。このアルバムが生まれた顛末は依然記事に書いたが、ペッパーアダムスにとってはソリストとしてサドメルから独立した直後でやる気満々の時。この熱気をブリグノラも譲り受けたのか、このアルバムのドナリーの2人の白熱のプレーが聴き所だ。
ブリグノラはこのアルバムがきっかけでソリストとしての活躍に弾みがついたと言ってもいいだろう。

このアダムスとの共演が1977年の暮れ、翌年には自分のリーダーアルバム”New York Bound”を録音し、その直後に直着にハーマン時代の仲間であったテナーのサルニスティコをメンバーに迎えたアルバム”Neo”も作った。
ブリグノラの1936年生まれなので、この時すでに40歳を過ぎていた。ペッパーアダムスの後継者の一人でもあるが、アダムスとは6歳違い決して若手ではなかったが、これから彼の活躍が始まる。

翌年、今度は西海岸に飛んで、このアルバム”L.A.Bounce”を制作する。メンバーは地元で活躍していた中堅メンバー。ブリグノラはレギュラーグループではテッドカーソンと組むことが多かったが、ここではトロンバーンのビルワトラスとコンビを組んだ。
前作のニューヨークバウンドは、バリトンサックス以外に、フルートやソプラノサックスなど自分自身のマルチリードプレーヤーぶりを披露してくれたが、今回は基本的にバリトン一本で勝負。
それも、最初のQuickSilverから4曲アップテンポの曲が続き、ブリグノラのバリトンの大ブローが続けて聴ける。アダムスとは少し違った感じだが、このような演奏には良く似合う切れの良い音色だ。

次は一曲箸休めなのか、スローな曲”Spring Is Here”でのバラードプレーが聴ける。
これはピアノのディッカーソンの選曲だそうだが、その頃バックと良く務めていたアニタオデイのお気に入りの曲とのこと。そして、最後は再びアップテンポでケニードーハムのブルーボッサで締める。ここでは、途中でソプラノサックスに持ち替えるが、曲調にもあっていい感じだ。

バリトンサックス奏者にとって、ビッグバンドでのバリトンサックスは縁の下の力持ち的な存在だが、ここでは一転グループの中心となって他のメンバーをグイグイ引っ張っている。このアルバムで、ブリグノラはバリトンサックスのソリストとしての活動に一段と弾みがついたように思う。

このレコードのプロデューサーはロス在住の日本人妙中氏。先日紹介した、ペッパーアダムスのCalifornia Cookingの彼のプロデュースであったが、西海岸で渋いアルバムを数多くプロデュースしている。これも、その中の一枚だ。

1. Quicksilver                    Horace Silver 6:25
2. Smada              Duke Ellington / Billy Strayhorn 6:30
3. Groovin' on Uranus                 Nick Brignola 8:37
4. In a Mellow Tone           Duke Ellington / Milt Gabler 9:58
5. Spring Is Here           Lorenz Hart / Richard Rodgers 5:43
6. Blue Bossa                      Kenny Dorham 7:57

Nick Brignola (bs,ss)
Bill Watrous (tb)
Dwight Dickerson (p)
John Heard (b)
Dick Berk (ds)

Produced by John Brechler & Toshiya Taenaka
Recording Engineer : Jim Mooney
Recoeded at Sage & Sound Recording on October 17, 1979

L.A. Bound
クリエーター情報なし
Sea Breeze Records
コメント (2)
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