A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

昔は新規レーベルの誕生の時、豪華絢爛なアルバムがあったことも・・・

2014-08-10 | PEPPER ADAMS
We Had A Ball / Quincy Jones & Various Musicians

最近はCDの売上が減少しているというニュースばかりを耳にする。確かにネットで簡単にダウンロードできる時代にはなったが、自分のような旧人類はやはり好きなアルバムはちゃんとジャケットのあるアルバムでないと何か物足りない。やはり聴くのと持つのは違うものだが、それが災いして物を捨てられない性分だ。今流行の「断捨離」は縁遠い。

一方で、昔のレコードには根強い人気があり、中古市場が活気を呈しているそうだ。たまに目にするオリジナルアルバムの値段の高さにはビックリするばかり。自分はオリジナル盤の信奉者ではないが、レコードの音質の良さには改めて感心することもあり、アナログディスクを買い求めることも。アナログディスクのジャケットを手に取って、デザインに見入ってライナーノーツを見るのも楽しみの一つだ。

CDといっても、ジャズの場合は昔のアルバムの再発が大部分だろう。
ジャズアルバムの新譜は最近どうなっているのだろうか?以前はメジャーレーベルでもジャズアルバムの新譜を積極的に出していた時代もあるが、最近は果たしてどうなっているのか?
最近の事情に疎いが、たまに自分が買い求めるアルバムはマイナーレーベルや自主制作のようなものばかり、メジャーレーベルがお金をかけて作ったアルバムが果たして今でもあるのか?・・・・気になる所だ。

昔、マーキュリーレコードというレーベルがあった。ジャズだけではなく、ジャンルはポピュラー、クラシックからロックまでをカバーするメジャーレーベルであった。ジャズファンには傍系のEmArcyの方が、馴染みがあるかもしれない。

クインシージョーンズのビッグバンドが、苦難のヨーロッパツアーを終えてレコーディングを残したのが、このマーキュリーレーベルである。クインシージョーンズは、このマーキュリーレコードの役員に就任し、アレンジャーとしての役割を卒業しプロデューサー業に転じることになる。彼のビッグバンドもそれに伴い、また時代の要請もあり、よりポピュラーな路線に変わっていき、硬派のジャズファンからは縁遠くなっていった。

ジャズ界全体が変化をしていたこの60年代の半ば、このクインシージョーンズのマネジメントの影響もあってか、このマーキュリーレーベルが新たなジャズレーベルを立ち上げた。
それが、limelightレーベルであった。
ちょうど自分がジャズを聴き始めた頃でもあり、このレーベルの立上げはよく覚えている。
レーベルがスタートした時は、ガレスピー、マリガン、ピーターソン、ブレイキーなどの大物が名を連ね、メジャーの貫禄を見せつけてくれた。



流石メジャーと思わせたのが、ミュージシャンのネームバリューだけでなく、レコードジャケットの体裁も凝った物が多かった。
鳴り物入りでスタートはしたが、ジャズのメジャーレーベルとしては長続きせず、クインシーも去った後は、このライムライトレーベルもジャズ以外のアルバムも出すようになっていった。

その、ライムライトの最初の記念すべき初アルバムはアートブレイキーの” 'S Make It“だが、カタログで次に続く2枚目がこのアルバム”We had a ball”だ。
ジャケットの真ん中に名前が列挙されているように、ライムライトの立上げに参集したメジャープレーヤー達の顔見世アルバムとなっている。いわゆるコンピレーションアルバムだが、中身はそれぞれのセッションのベストや未収録曲の寄せ集めではなく、当時始まったばかりのミュージカル”I had a ball”を素材として、皆で好みの曲を分担したアルバムで、このアルバムのためだけの録音も行われた。

ガレスピーとチェットベイカーは歌も披露。ガレスピーはマックザナイフに似ているこの曲が気に入って選んだそうだ。

クインシージョーンズのビッグバンドは3曲担当しているが、アレンジ自体は御大が行わずベニーゴルソンとビリーバイヤースが担当する。この頃、バイヤースはクインシーの片腕として活躍していたが、アレンジを頼まれたのは前日。筆が早い方ではなかったバイヤースは、アルコーンに助けを求める。アルコーンとバイヤースは日頃から協力し合っていたが、実はアルコーンは多くの人々のゴーストライターをやっていたそうだ。反対に筆が早かったということだろう。
メンバーは、昔からのメンバーであるウッズやメルバリストンに加え、ガレスピーやミルトジャクソンなども加わっているオールスタービッグバンド。実は、このセッションの人集めをしたのはフィルウッズ。ドラムはアートブレイキー。譜面が不得手なブレイキーのビッグバンドでのドラミングも珍しいと思ったら、スタジオにはグラディーテイトが来ていた。アレンジの最初のリハーサルはこのテイトが務め、本番ではブレーキーに代わっている。プロデューサーとしてのクインシーの人の能力を引き出す技の発揮といった所だろう。

そして、バリトンサックスにはペッパーアダムスが参加しているがソロは特にない。
オリバーネルソンのアルバムに続いて、これが64年2回目のレコーディングセッションへの参加であった。ハンプトンのバンドでの活動が大部分の64年であったが、翌年からはサドジョーンズとのレギュラーバンド、そしてレコーディングへの参加と、アダムスもいつもの仕事のペースに戻ってくる。

他にも、ミルトジャクソン、チェットベイカー、アートブレイキーのグループと、これだけのメンバーを集めてのアルバムとしては物足りなさを感じさせるが、有名プレーヤーをさりげなく起用するには、メジャーレーベルの余裕であったのだろう。ジェケットの凝り方を含めて、今ではなかなか作れないアルバムだと思う。

1. I Had A Ball        5:00 Quincy Jones and his Band
2. Fickle Finger Of Fate   2:14 Dizzy Gillespie Quintet
3. Almost        4:18 Quincy Jones and his Band
4. Faith        5:52 Art Blakey and the Jazz Messengers
5. Addie's At It Again    4:57 Quincy Jones and his Band
6. Coney Island, U.S.A.   2:25 Oscar Peterson Trio
7. The Other Half Of Me   3:05 Milt Jackson
8. Think Beautiful      4:18 Chet Baker Quartet

All Songs & Words by J. Lawrence - S. Freeman)

Produced by Jack Tracy.

●Quincy Jones and his band:
Nat Adderley (tp), Dizzy Gillespie (tp), Freddie Hubbard (tp),
Jimmy Maxwell (tp), Jimmy Nottingham (tp), Joe Newman (tp),
Curtis Fuller (tb), J.J. Johnson (tb), Kai Winding (tb), Melba Liston (tb),
Jerry Dodgion (as), Phil Woods (as), James Moody (as, ts, fl),
Roland Kirk (ts), Benny Golson (ts), Lucky Thompson (ts), Pepper Adams (bs),
Milt Jackson (vib), Bobby Scott (p), Bob Cranshaw (b), Art Blakey (ds),

Quincy Jones (cond).
Arranged by Benny Golson and Billy Byers.
Recorded in New York City on December 20, 1964.

●Dizzy Gillespie Quintet:
Dizzy Gillespie (tp, vo), James Moody (ts, fl),
Kenny Barron (p), Chris White (b), Rudy Collins (ds), Kansas Fields (perc).
Recorded at Universal Recording Studios, Chicago, IL on November 6, 1964.

●Art Blakey and Jazz Messengers
Lee Morgan (tp), Curtis Dubios Fuller (tb), John Gilmore (ts),
John Hicks (p), Victor Sproles (b). Art Blakey (ds),

Recorded at Radio Recorders, Hollywood, CA on November 15, 16 and 25, 1964.

●Oscar Peterson Trio:
Oscar Peterson (p), Ray Brown (b), Ed Thigpen (ds).
Recorded in New York City on May 18, 1965.

●Milt Jackson Quintet:
Jimmy Heath (ts, fl), Milt Jackson (vib),
McCoy Tyner (p), Bob Cranshaw (b), Connie Kay (ds).
Recorded in New York City on December 9, 1964.

●Chet Baker Quartet:
Chet Baker (flh), Bob James (p), Mike Fleming (b), Charlie Rice (ds).
Recorded at A&R Studios, New York City on November 20, 1964.
コメント
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