A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

久々にエルビンジョーンズのセッションに加わり、コルトレーンモードで・・・

2016-02-19 | PEPPER ADAMS
Poly-Currents / Elvin Jones

1969年8月、サドメルのオーケストラは初のヨーロッパツアーに出掛ける。前年の初の海外ツアーは日本であったが,これは大トラブルであった。これに懲りたのだろう、このヨーロッパツアーはきちんと段取りがされていたようで、ロンドンに着いたオーケストラは、地元のロニースコットクラブに出演し、その後、スウェーデン、デンマーク、オランダ、スイス、ドイツと3週間に渡る長いツアーとなった。各地で、ラジオやテレビの出演があり、その録音が残されている。9月11日のスイスのバーゼルでのライブの模様はCDでリリースされているが、このアルバムを出しているTCBはモントルージャズフェスティバルをはじめとしてスイスのラジオ放送用に収録した録音を数多くリリースしている。日本でもNHKが放送用のコンテンツを数多く持っているはずだが、こちらはアルバムとしてリリースされたという話は聞いた事がない。権利関係の契約の違いだとは思うが、いつかNHKの膨大な日本でのライブの録画、録音が陽の目を見る日が来てほしいものだ。

ペッパーアダムスもこのヨーロッパツアーに参加したが、今回はギャラもちゃんと払われたのか、ヨーロッパ滞在中に新しいクラリネットを買ったそうだ。あまり楽器を替えないアダムスだったが、何か思う所があったのだろう。
9月14日にニューヨークに戻ると、すぐにアダムスはいつもの生活に戻った。サドメルオーケストラは休む間もなく翌15日には本拠地ビレッジバンガードに出演する。そしてデュークピアソンのビッグバンドのリハーサルも毎週のように続いた。そんな時に、久々のレコーディングに呼ばれた。声を掛けたのはエルビンジョーンズ。

エルビンジョーンズとペッパーアダムスの付き合いは長い。地元デトロイトのブルーバードでは兄のサドジョーンズと共によく一緒にプレーをしていた仲だ。エルビンが3つ年上だが、アダムスより一足先の55年にニューヨークに来ていた。アダムスは西海岸から戻った57年はちょうどJJジョンソンのグループに加わっていた時だ。
アダムスが本格的にニューヨークで活動を開始すると、エルビンジョーンズもアダムスと一緒にプレーすることが多かった。レコーディングにもよく一緒に登場している。そして、59年2月アダムスがドナルドバードと一緒にグループを作った時にはメンバーに加わり、ファイブスポットに連日出演した。先日紹介した、アダムスのリバーサイドのアルバム10 to 4はこの時のライブアルバムだ。

その後も、2人でgigに参加することも多かったが、エルビンがジョンコルトレーンのグループに参加すると、その機会も少なくなっていた。67年にアダムスがリーダーアルバム”Encouter”をプレスティジに残したが、これはアダムスの自主制作のようなアルバム。このセッションには久々にドラムにエルビンジョーンズを迎えた。コルトレーンのグループを経験したエルビンのドラムは一段とダイナミックに、そして多彩になっていた。サドメルの活動が中心になっていたアダムスが久々に吹っ切れたプレーを聴かせてくれたが、これもエルビンが加わった効果が大きかったように思う。

エルビンは、コルトレーンのグループを辞めた後は、様々なセッションに加わっている。この年の初めにはフィニアスニューボーンバニーケッセルと共演するために西海岸に行っていた。一方で、自分のグループも作っていたが、テナーを起用することが多かったのはやはりコルトレーンの影響をうけたからかも。ピアノレスのことも多かったが、これはロリンズの影響か?しかし、このアルバムでは、久々にペッパーアダムスも参加した大人数でのセッションとなった。

テナーとソプラノは、サドメルの創設メンバーであったジョーファレル。エルピンとは相性がいいのか、この頃のエルビンのグループのレギュラーメンバー。それに、ジョージコールマンが加わった3管編成。コンガのキャンディッドも加わり、エルビンのポリリズムがより多彩なリズムになる。一方で、ピアノやギターが加わっていないので、管もソロはフリーになりがちだが、テーマはアレンジを施し完全にフリーにならないように締める所は締めている。

このアルバムのもう一つの特徴は、メンバーのオリジナルをそれぞれ持ち寄っている点。それに、ジャケットの岩陰に隠れるように写っているエルビンの愛妻Keikoの曲も一曲。さらに、フルートのフレッドトンプキンスが一曲ゲスト参加している。
曲もバラエティーに富んでいるが、演奏もそれぞれ特徴がある。纏まりのない拡散しそうなアルバムをまとめているのはやはりエルビンのドラミングかも。アダムスも普段の演奏とは少し勝手が違うが、長年一緒にやってきたエルビンとは何をやっても通じる所があるのだろう。



1. Agenda Elvin Jones
2. Agappe Love Joe Farrell
3. Mr. Jones Keiko Jones
4. Yes Fred Tompkins
5. Whew Willber Little

Elvin Jones (ds)
Joe Fallell (ts,,English Horn,fl)
Fred Tompkins (fl)
Pepper Adams (bs)
George Coleman (ts)
Wilbur Little (b)
Candido Camero (conga)

Produced by Francis Wolff
Recording Engineer : Rudy Van Gelder
Recorded at Van Gelder Studio on September 26, 1969

ポリ・カレンツ
クリエーター情報なし
ユニバーサルミュージック
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