野鳥にもやさしい風力発電であってほしい・・・

私たちが使っている電気、野鳥たちが犠牲になっている!たかが鳥なのか・・・。

石狩の市民団体「もうこれ以上風車は建てないで!」

2024-05-16 08:56:55 | 日記

海に陸に風力発電が押し寄せている北海道石狩市の新たな計画に、当会から白紙撤回を求めました!

 国内の再エネ問題に取り組んでいる団体から要請があり、北海道石狩市厚田風力発電事業計画15基(91,500kw)の環境アセス方法書に対する意見書を提出しました(5月5日付)。

「(仮称)北海道厚田風力発電事業計画」の白紙撤回を求めます。

【撤回を求める理由】

1.誤った事業対象地域の選定

 事業対象地域は50年以上前に大規模牧草地として伐開され、現在は耕作放棄地となっているが、希少鳥類(オオジシギ、ホオアカ、チュウヒ、アカモズ等)の餌場・繁殖場の可能性があることから、貴重な自然環境と言える。トレードオフ解消(※)によって、これら鳥類への配慮をするのであれば、事業計画を撤回するほうが鳥類への配慮となることは明白である。すでに伐開され、耕作放棄された土地を利用することは建設コストの低減となり、好都合であることは容易に推察できる。安直な事業対象地域の選定と言わざるを得ない。(※一方が良ければ一方が悪くなる例として、開発行為によって自然環境に悪影響が起きることがトレードオフ状態であり、双方が両立できるようにすることをトレードオフ解消と呼ぶ)

2.信頼性に欠ける調査方法

 風力発電先進国と呼ばれる欧州の国においての事前調査は、①鳥類の渡りや繁殖状況は、年変化を考慮して最低2年間以上の調査が必要という考え方で実施されている。②季節的な最大個体数変化および行動パターン(採食・休息・就塒・繁殖)と環境利用パターンを把握するために、調査期間はある一時期に集中させない。 以上のように、風力発電が野鳥に与える影響に対して厳しい対応を行っている欧州を模範とするならば、この度の調査方法は不十分であり、信頼性に欠けることになる。

3.期待できないバードストライク対策

 飛翔する鳥類が風車のブレードに叩き落され、弾き飛ばされるバードストライクは必ず発生することから、本事業においても通年生息する留鳥や繁殖・越冬のために渡来する渡り鳥が被害に遭う可能性が大きく、事業対象地域である草原性自然環境の生物多様性の危機となる。よって、予防原則に基づき、風車の設置は避けるべきである。例え風車の設置数を削減したり、設置位置を変更するなどの対策を実施しても抜本的な対策にはならない。また、実効性ある対策として、鳥類の飛翔をレーダー等で感知し、風車の回転を自動で停止する装置をすべての風車に設置することについては、風力発電事業者は消極的であることから期待できない。バードストライクに対して実効性のないトレードオフ解消を進めるよりは、計画の撤回が最善策である。

4.鳥類の生息放棄が一層増す

 事業対象地域の周囲には多くの風力発電施設が稼働中であり、さらに洋上においても驚くべき数の風力発電計画がある。この上さらに鳥類に影響を与える風力発電が増え、北海道日本海側沿岸を渡りコースとする鳥類の飛翔障壁となることは避けるべきである。トレードオフ解消どころか、鳥類を追い出し、生息放棄が一層増すことになる。

5.事業ありきの不適切な環境アセスとなる恐れ

 日本の環境アセス法は事業計画を進めるための手続き法でしかないため、鳥類への影響回避のための意見書を出しても手続きの一つに過ぎず、事業者は出てきた意見の内容を検討すればよいという(検討さえしていない可能性あり)、極めて環境アセスが形骸化している現実がある。この度の事業においても、「トレードオフ解消を進めることにより、鳥類への影響は小さい」「実行可能な範囲で保全措置を講じることによって鳥類への影響は小さい」という(実効性のない適当な保全措置で)事業ありきの評価となることが予想される。事業計画を進めるために適切な評価をしない事業計画は撤回するべきである。

 以上、地域住民や保護団体に理解されない事業計画を早々に白紙撤回することを求めます。              

 北九州から遠く離れた北海道ということもあり、現地の状況を十分把握できているわけではありませんが、事業者作成の方法書を見た限りでは、自然環境に配慮をする姿勢を見せてはいますが、結局は地元住民との紛糾を避け、スムーズに環境アセス手続きを終えたいとの思惑があるように感じます。

 この計画に反対する地元市民の方は、風車が発生させる低周波音に悩まされ、見慣れた景観が壊され、北海道西部を渡る野鳥たちに被害が及ぶことなどに心を傷め、これ以上の風車は要らないと、建設反対を叫ぶしかありません。

 風力発電のゾーニング(建設適地の可否を区分け)を行った石狩市ですが、住民への配慮や野鳥への被害軽減を目的したゾーニングには見えません。市民の健康と財産を守り、生物多様性を保全する使命がある石狩市に対しての意見書でもあります。

 



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