一部のアメリカ国民は、トランプの虜になっている。
そのドナルド・トランプの中のヒーローであろうし、
彼がアメリカの大統領というものを演出する際に、意識しているロナルド・レーガンについて、考えてみたいと思う。
約40年前、アメリカはレーガンの虜になっていた。
しかし、アメリカ例外主義の現実離れした楽観的戦略は、それが続いている間は心地の良いものだったが、決して長く続く者ではなく、アメリカ国民は例えるならその重い後遺症に苦しむことになったようである。
アメリカ国民の予想よりはるかに早く、アメリカ例外主義の現実離れした楽観的戦略がもたらした現実がアメリカ国民自身を蝕み始め、
アメリカ国民はそこまでに蓄積された負債すべてを返済すべき時が来ていることを悟ることとなった。
40年経っても、アメリカ国民はレーガンがもたらした影響から逃れられないでいる。
レーガンは、自分が作った神話をかなりの確信を持って信じることが出来たたため、
幻想を作り上げる達人であったが、それをアピールするのはもっと上手だった。
レーガンは映画スターとしてのキャリアに行き詰まると、テレビの西部劇シリーズの司会者を務め、番組提供会社の石けんを売り込むセールスマンとしてのスキルを極めた。
また、ゼネラル・エレクトリック(以下GE)社提供のテレビドラマシリーズでも長年に渡って司会者を務め、幸せな生活は思いつき考えつく限りの家電製品で成り立つことを、視聴者に巧く納得させた。
こうして、レーガンは、現代アメリカの大量消費主義の象徴となり、
最も説得力を持ってエネルギー消費(浪費?)を推進した人物となったのである。
そして、GE社と関わるもう一つの仕事は、一見するとこれまでの彼の仕事に比べて平凡で華やかには見えなかったが、結果として、はるかに重要な仕事となったのである。
なぜなら、その仕事は彼自身の政治的傾向を劇的に変え、間もなくアメリカ全体の政治を大きく変えることになるからである。
1954年から1962年の間、レーガンはその約4分の1にも相当する時間を割いて全米の小都市を回り、GE社の139施設で延べ数十万人の従業員に向けて感動的なスピーチを行った。
また、商工会やロータリークラブが主催する数え切れないほどの夕食会で、GE社の素晴らしさを精力的に広めた。
このとき、レーガンは、GE社の広報部門が作り上げた世界モデルを宣伝していた。
新たな生活観をこれほど長く懸命に売り込んでいると、自分をも売り込むようになってくるものである。
特にレーガンのような優秀なセールスマンならなおさらだ。
GE社との長い付き合いが、まだ、始まった頃、彼は、相当リベラルな民主党員だった。
だが、最終的にはGE社の信条の中でも極端な右派にまで転じたため、会社では彼を使えなくなってしまった。
レーガンは、変わった。
彼は、明らかに普通の映画俳優およびテレビタレントとして熱弁を振るい始めたのだろうが、最終的には、フランクリン・デラノ・ルーズベルト以来の堪能な政治演説家となった。
彼は1日に14回の演説を夜遅くまで行うことすらあった。
長年にわたるGE社での実地訓練を通じて「偉大なるコミュニケーター」に変貌したのだ。
アメリカ国民が聞きたいことを把握し、くだけたわかりやすい言い回しを練り上げ、自らの政治的能力を売り込んだ。
レーガンはGE社の宣伝マンから共和党の新星へと急速に姿を変えたのである。
そして、1964年、共和党全国大会で有名になった演説を行った。
まさに、「A Time For Choosing(選択の時)」と題された演説は、大きな政府への反対や、共産主義に対抗する必要性を訴えたものであった(また、共和党大統領候補のバリー・ゴールドウォーターを応援するものであった)。
1967年から1975年までカリフォルニア州知事、
1981年から1989年までアメリカ合衆国大統領を務めたことは、よく知られるところとなっている。
レーガンが引き継いだときのアメリカは、「真実」を口にするジミー・カーターの悲観主義がもたらした不安にとらわれていたが、
レーガンは「心配ないさ、幸せになろう」というメッセージとともに、国民の間に「レーガンの楽観主義」を広めたのだ、それは、アメリカ国民を激励し、国全体の士気を高める奇跡的な役割を果たした、それは、事実である。
しかし、アメリカ国民は、いまだに、レーガンの大統領としての失策と彼が抱き推し進めた幻想のツケを払い続けていると言える。
サプライサイド(供給力)重視の「まじない」経済学によって財政赤字は3倍に膨れ上がった。
レーガンは国民に対して、豊かな暮らしが出来るだけの余裕があると「断言」した。
つまり、コストや廃棄物、環境への影響を気にせずに、エネルギーを大量に消費する大型車や大きな家を大事にすべきだというのである。
レーガンの明るい笑顔や、快活な表情は、彼がまさに誤った方向に大量の富を配分している事実を覆い隠した。
魔法のようなトリクルダウンの考えと、銀行の規制緩和は、欺瞞に満ちた財政操作を招き、金融機関につながった。
産業界への規制緩和は、環境汚染、独占価値の形成、労働災害を招いた。
また、レーガンの単純な楽観主義のもとに行われた対外政策は、かえって大きな犠牲を生む結果となった。
まず、アフガニスタンでロシアに対抗するイスラム教徒「自由の戦士」を支援したことが裏目に出た。
彼らはイスラム教徒の「テロリスト」となり、アメリカが与えた武器を、アメリカに向け始めたのである。
また、パキスタンと協力したことによって、アフガニスタンにおける「グレートゲーム」(→19世紀から20世紀にかけて、イギリスとロシアが中央アジアの覇権をめぐって繰り広げた政治的抗争が本来の意味である)がさらに進んだが、これがパキスタンの核兵器開発計画を後押しした。
さらに、レーガンはラテン・アメリカの反政府右派に(ときに非合法的に)資金援助を行い当地の根強い反米感情の高まりを招いた。
そして、イランとの不正な裏取引によって、国家の公正性が深刻に問われている。
どの大統領にも功罪がある。
しかし、いつもの陽気で人を引きつけるレーガンといつもの不機嫌で人を引きつけるトランプは、正反対のように見えて、2人とも実は同じような性質のことをアピールしているように私には思えてならない。
ここまで、読んでくださり、ありがとうございます。
「歴史は繰り返さないが(繰り返すような気もするのですが......)、韻を踏む」、そうなので、今回はレーガンを振り返ってみました。
またまた、長文になってしまいました。
大学生のときに、精神的な病気になったときから、だんだん思うように勉強できなくなったり、
さらに勉強したくても心身がいうことをきいてくれなかったり、
逆に多量の処方薬(→今考えれば過剰処方)でぼーっとしてしまったり、
1番ツラい減薬に慣れるまでは、心身のさまざまな症状に対処することが精一杯で、手に着かなかったりしていたので、
細々とした勉強の積み重ねと、最近はかなり良いので嬉しくて、今さら、でなく、今から、勉強し、勉強し直しています( ^_^)
そんなこんなわけで、朝から2時間半くらいかけて、このような暑苦しい長文が出来上がっています^_^;......温かい気持ちで見守ってやって下さると嬉しいです。
拙く、暑苦しい長文を読んでくださりありがとうございます。
感謝しております。
今日も頑張りすぎず、頑張りたいですね。
では、また、次回。
レーガンについて知らないことばかりでした。
レーガンとトランプとの共通性、とても興味深い考察ですね!
ありがとうございました。
おはようございます。
読んでくださりありがとうございます( ^_^)
トランプとレーガン、私も共通点がありそうだなあ、と思ったときは、何か発見した気分になりました!
そして調子に乗って描きました^_^;
そういえば、gabaosanのご投稿とも「アメリカ」繋がりですね(*^^*)
今回の記事も大変興味深いものでした。
陽気なレーガンと不機嫌なトランプ、
言い得て妙ですね、くすっと笑ってしまいました。
でもまさにその通り。
トランプの仏頂面は何とかならないんだろうか、といつも思ってしまいます。
それにしても、感情的にならず冷静に分析しているところは素晴らしいです。
わたしはつい個人的な好き嫌いを前面に出しがちなので、気を付けないと。
コメントありがとうございます。
また、私の暑苦しい長文を読んでくださりありがとうございます^_^;
トランプとレーガンが何だか似ているなあ、と考えていたので......(テレビタレント繋がりというか)、という思い付きで長文になってしまいました。
温かいお褒めの言葉嬉しく思います。ありがとうございます(*^^*)