おざわようこの後遺症と伴走する日々のつぶやき-多剤併用大量処方された向精神薬の山から再生しつつあるひとの視座から-

大学時代の難治性うつ病診断から這い上がり、減薬に取り組み、元気になろうとしつつあるひと(硝子の??30代)のつぶやきです

希望を失った人々の心を打つトランプの公約(移民政策・雇用政策編)-アメリカ大統領選挙2024を考える⑦-

2024-01-21 06:37:29 | 日記
フロイトは
「妄想は何の根拠もなく起きるものではない」
と言った。

妄想は、夢と同じように、その原因となる隠れた現実が、ゆがんだカタチで表現されたものである。

「優れた、そして誠実な」医師が、
患者が妄想を強く信じなければならない理由を知り、
妄想の中で表現されている現実と、それに対する心理的反応を知らなければ、患者の治療を始めることはできないことと同じく、

「優れた、そして誠実な」政治家は、
社会の見ている幻想を促す原因となっている問題を理解し、
願望的思考に代わる現実的な解決策を与えなければ、社会の見ている幻想を正すことは決して出来ない、と、私は、思う。

しかし、残念なことに、トランプ(や歴代の大統領の一部)が利用しようとしている/利用した「社会の病」は、いまだになおされることなく、現実に横たわっているように、私には見える。

アメリカンドリームから取り残されたように感じ、不安や不満、そして寂しささえも抱いているアメリカ人に、時間のかかる根本的な解決ではなく、手っ取り早い付け焼き刃の解決法を、トランプは約束したために人気があるとも言えるのではないだろうか。

例えば、移民政策。

トランプは、衰退するアメリカについての漠然とした国民の不安を、その原因とされている移民に対しての偏見へと巧みに置き換え、こんな発言をした。

「アメリカは、アメリカ人でない者の抱える問題の掃きだめになってしまった。(中略)
メキシコは優秀な自国民をアメリカに送り出しているわけではない。(中略)
多くの問題を抱えた人間を送り出し、彼らの抱える問題がアメリカにもたらされているのだ。(これ以降はひどすぎる表現のため省略)」

困難と脅威の多い時代には、人々はどうしても部族主義に立ち帰ろうとする。

人間のこの生まれながらの性向をトランプは利用した。

偏見が怒りを伴って閾値に達するのは、雇用をめぐる現実的な争いや、言語や価値観をめぐる文化上の争い、
そしてそうした争いを促す、まさに、トランプのような触媒が存在するときである。

雇用不安や低賃金の理由を、単純に移民を排除することで解決できると、安心させ、
移民という複雑な問題を「アメリカ人対移民」という関係に基づいた解決策で片付けると、気が休まる、といった考え方をトランプは失望した人々に提示してきたのではないだろうか。

しかし、このようなトランプの移民政策の一部は違憲であり、その移民政策の多くは、経済に悪影響を及ぼした。
特に、大統領に就任した最初の週に出した、国境の壁の建設と、イスラム7カ国からの移民の入国を禁止する大統領令は、結局メキシコとの貿易戦争の可能性、拡大するデモ、宗教差別に基づいたビザ規制に関わる憲法上の危機を招いたのだった。

現実を直視したとき、アメリカは、国をうまく機能させるために、常に移民を必要としてきており、それは現在も変わっていない。

現に、トランプ政権になるまで、アメリカのノーベル賞受賞者579人中、353人がアメリカ人であり、その約3分の1が移民である。
2016年度にいたっては、アメリカのノーベル賞受賞者6人は、全員が外国生まれであった。

トランプの移民政策は、自国が必要とする人々を追い払い、頭脳流失をも促している。

日本でも、同じようなことが、
まだまだ残る強固な画一化意識と理由なき少数者の排除(「自分たちとは異質な人たち」の排除)
により起きている可能性考える機会に私たちも来ているのかもしれない。

しかし、やはり日本ではアメリカほど問題にならない移民問題は、アメリカでは雇用に関する問題と密接に関わっている。

1870年から1970年のちょうど100年間、アメリカは賃金と雇用の上昇率で世界一となった。

初期の移民は、土地を求めてアメリカに入った。
そのあとの移民は、賃金の良い職を求めてアメリカに入った。

だが、1970年以来、アメリカの実質賃金は下がってきている。

オバマがブッシュから引き継いだのは、暴落した株式市場、不況に近い状況、麻痺した経済であったが、オバマは、
活気を呈する株式市場、復活した経済、低い完全失業率をトランプに残すことが出来た。

しかし、何百万人という鉱山労働者、工場労働者、小売業やサービス業、事務作業に関わる労働者は、依然として失業中か不完全雇用の状態にあった。

そんなときだからこそ、トランプの選挙戦で有権者を最も引きつけた謳い文句のひとつは、
彼が(彼だけが)、
海外の国々に外注した数多くの仕事をアメリカに取り戻して、再びアメリカがその仕事を担えるように出来る、
というものである。

(非常に大雑把な言い方をすると)
「雇用を奪ったグローバリゼーションをやっつけてやるぞ!」というトランプの公約は、希望を失った人々の心を打った。

トランプの勝利が中西部のラストベルトと呼ばれる重要な州で確実となったのは、彼が希望を失った人々を擁護する者として自分を位置づけ、両党によって埋められなかったからに他ならなかった。

しかしながら、非常に残念なことに、雇用に関する根本的な問題をすぐに簡単に解決出来る方法はない。

さらに、哀しいことに、
実は、
雇用の大部分は「グローバリゼーション(globalization)」
ではなく、
「オートメーション(automation)」
によって失われており、
そのため失われた雇用は悲しいことに絶対に戻って来ようがなかったのである。(→コンピューターから今さらどうやって仕事が奪えようか......。)


つまり、何百万人という雇用が失われているにもかかわらず、アメリカ経済が健全に見える唯一の理由が、テクノロジーによる生産性の向上だったのである。
コンピューターが低賃金の職に就く人々に取って代わり始め、今や職業そのものを脅かしているという事実(現実?)をトランプは見落とし(見落としたふり?)ていたのである。

このことは、対峙するものが、グローバリゼーションであれ、オートメーションであれ、とりあえず、付け焼き刃、ましてや流行やウケ狙いや思い付きの政策では、大きなサイクルの変化に対応できないことを明らかにする良い例であろう。

ここまで、読んでくださり、ありがとうございます。

カール・マルクスは

「歴史は繰り返す。

1度目は悲劇として、2度目は喜劇として」

ということばを残しました。

トランプが生み出した現象が、アメリカの悲劇であれ、喜劇であれ、これ以上、まだ終わらない戦争や分断などの世界の状況が悪くならず、よくなることを、私は心から願っています。

日本も大丈夫かなあ、と心配にもなります。

でも、「他山の石」に学ぼう!ではないですが、どちらにしろ日本は影響を受けるのだし「アメリカの例」に学ぼう!と考えて描いてみました。

描ける範囲で、他の問題も描いてみたいなあ、と思います。

今日は朝から雨模様です。
お日様が出ていないと余計に寒く感じてしまいます^_^;
体調に気をつけたいですね。

今日も頑張りすぎず、頑張りたいですね。

では、また、次回。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
付け焼刃 (storyteller)
2024-01-21 07:26:19
トランプは「付け焼刃の解決法」を提示した。

その通りです!そして、先を見通す力のない人々(日々の苦しい暮らしに追われ)にとっては、
それが光となって見えたのだと思います。
トランプ支持者のコメントを聞いていると、
それを実感します。

移民問題についてもご指摘の通り。それが人種差別を助長した事実もあります。
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Unknown (yoko-2-1)
2024-01-21 07:32:05
@storyteller さん
おはようございます。
読んでくださりありがとうございます。
トランプ氏の発言は、中にはヒドすぎて引用できない(引用したくない?)部分があるほどです^_^;
今回は、「省略します」と描いてしまいました^_^;
トランプ氏は本当にいろ意味で世界を変えてしまいますよね......。
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