「最も恐ろしい言い回しは“I'm from the government and I'm here to help”(私は政府の者です。あなたの力になります)である」
「現在のこの危機にあって、政府は問題の解決策とはならない。政府が問題そのものなのである」
というのはドナルド・レーガンの名言である。
さらに
「経済に対する政府の見解は、いくつかの短い表現に集約される。
動いているものには、課税せよ。動き続ければ規制せよ。そして、動きが止まったら、助成金を出せ、である」
「政府が制限されない限り、人間は自由でない」
というのもドナルドレーガンの名言である。
彼が始めた共和党の戦略とは、自ら政府を率いると同時に、それに対抗することであった。
こうした名言に有権者は納得し、レーガンは大統領に選ばれたのである。
しかし、その戦略はあとになってほぼ詐欺のようなものであることがわかったのだが......いつでもどこでも歴史は繰り返さないが、韻を踏むようである......。
レーガンのある意味「仲間内(お友達?)」資本主義のもとで、連邦政府の職員の数は、実際には、32万4000人増え、財政赤字は9070億ドルから3倍に増え、2兆6000億ドルとなった。
やはり、どうやら日本だけではないらしい。
アメリカの大統領たち「も」、
大統領に選ばれるまでは、何事においても前の政権や政府を非難しながら成功し、その後、非難した政府より無能な政府を運営してしまうという矛盾したことを踏襲している。
アメリカでも、政府の解体もひとつの戦略であり、儲かる「外注」契約を巨大な企業に勝ち取らせ、労働者と消費者と環境の保護に必要な規制に縛られずに会社を経営させるためのものであった。
確かに、プロパガンダによって、国民は政府のもたらす有益なもの(社会保障、医療、無償教育、警察、インフラ)が見えなくなり、欠陥の方に注意が向いてしまう。
しかし、その欠陥の一部は、まさにそれを非難している政治家が自ら招いたものなのである。
ところで、
アメリカ建国の父と呼ばれる政治家たち「も」抜け目のない「派閥闘争」に力を尽くしてきた政治家たちであったようである。
しかし、彼らは、フランス革命のときのような完璧な人間像の心酔を欠く代わりに、
人間を利己的で欲望にとらわれた生き物と見なし、歴史上にほとんどの時代において、独裁的権力による制約なしには、利己的な欲望は抑えられないと考えていた。
だからこそ、そのような建国の父と呼ばれる政治家たちの考えから、アメリカは強力な共和党と民主党の組織を作り、チェック・アンド・バランスという包括的な仕組みを用いて人間の本能を抑えたからこそ、過去に独裁支配を免れることが出来たのである。
建国当時は、各州の間に大きな隔たりがあり、争いが多かったことから、より緊密な結束への賛同を得ることは、容易ではなかった。
神聖な文書であるアメリカ合衆国憲法は、激しい議論と、ギリギリの妥協の連続から生まれ、
大きな州の支配から小さな州の権利と財産を持つ少数者の権利を守ることと、多数の下層階級の人々、女性、奴隷の権利を守ることを目的としていた。
上院は州の人口規模にかかわらず、各州に2議席が割り当てられている。
たとえば、憲法を批准するときは、人口規模の小さい州の支持を得るには譲歩が不可欠となる。
このような制度では、すべての州の人口規模が比較的小さく、各州の人口格差も小さかったときには政治的権力の配分にそれほど偏りは出なかった。
しかし、人口格差が大きくなると、そうはいかないのである。
例えば、カリフォルニア州の各上院議員は、ほぼ2000万人の有権者を代表しているが、
ワイオミング州の各上院議員が代表するのは30万人以下である。
つまり、ワイオミング州の上院議員に投じられた1票は、カリフォルニア州の上院議員に投じられた1票よりも、上院で60倍大きな影響力を持つといえる。
選挙人制度も同様に、人口規模が小さい州に有利になるように偏りを生んでいる。
その代表的な例では、ヒラリー・クリントンは、一般投票の得票数で大きく勝利していたにもかかわらず、選挙人の獲得数で負けてしまった。
その理由としては、民主党支持の有権者が人口の多い州に大きく集中していたことと、選挙人票の特殊な配分の仕方が挙げられる。
例えば、ワイオミング州の有権者の1票は、カリフォルニア州の1票よりも、選挙人の票集計において3.6倍大きな影響力を持つのである。
時間の経過とともに変わる人口動態の傾向のために、こうした格差はさらに不公平なものになるであろう。
また、下院には「1人1票」という民主的原則があるとされていた。
しかし当初から、政治的な策略は、そうした高尚な考え方を名ばかりのものにしたようである。
有色人種をはじめ、女性、財産を持たない人たちは都合よく排除されたのである。
また、最初から、選挙制度はよく、しかも比較的簡単に操作されてきた。
例えば、「ゲリマンダー」というスラング100年以上前に作られたもので、当時のマサチューセッツ州知事であったエルブリッジ・ゲリーの名字とサラマンダーを組み合わせたことばである。
火の中に住むという伝説のトカゲであるサラマンダーの形と、選挙で自党が有利になるようにゲリマンダーが作り上げた選挙区の形が似ていた。
それ以降、コンピューターの高度なテクノロジーのおかげで、選挙区ごとに有権者を分類し、いびつな形に作り上げた選挙区に有権者を集約させることが出来るようになったようであるが、それは、ゲリー知事の素朴な期待をはるかに超えてしまっていたのである。
アメリカであれ、日本であれ世界のどこであれ、政治の世界でものを言うのは巨額の金であることは、残念ながら、事実である。
また、これまでも、これからも、政治の世界でものを言うのは巨額の金である現実は、悲しいけれど、変わらないであろう。
裕福な者がそうでない者を犠牲にしてますます豊かになっているのは、
自分の富を利用して政治家を買収し、その政治家が彼らをさらに裕福にする法律をやみくもに通過させてしまうことが一因としてある。
特権のある者にさらに利益を図ることは、古代ギリシア、ローマ、メソポタミア、ペルシャ、インド、中国などなど、古代から、時代や場所を問わず世界の至るところで見られる。
しかし、どんな新人でも、腐敗に至る駆け引きをすべて覚えるまでには時間がかかるはずである。
政治家として在任期間が長いことが、政治家として円熟すること、ではなく、
腐敗につながる手腕や人脈を作り上げること
になっているように見えてしまう現実を、私は、残念に思っている。
ここまで、読んで下さり、ありがとうございます。
今日も寒いですねー、スマホを打つ手が(打ち始めは特に)やはり、まだ、かじかむシーズンなのだなあ^_^;と思いました。
体調に気をつけて過ごしたいですね( ^_^)
今日も頑張り過ぎず、頑張りたいですね。
では、また、次回。