冬桃ブログ

祖母の命日

 10月30日は祖母の命日。
 私がまだ小学校低学年だった時、
祖母は丹後・天橋立の海に身を投げた。
 もともと両親のいなかった私は、
その日から、誰にも護ってもらえない身になった。
 長じて、祖母の墓を捜しに、天橋立のある
京都府宮津市に行った。
 が、ついに見つからなかった。
 仕方がないので、故郷の町へ行くたびに
天橋立の海に向かって手を合わせ、祖母を慰霊していた。

 去年だったろうか。
 画家・安藤ニキさんの個展でこの絵を見たとき、
「天橋立だ!」と思った。
 イグ・ノーベル賞の「股覗き」で最近、脚光を
浴びた、美しい砂州である。



 ところが、ニキさんにこの絵のタイトルを
伺って驚いた。
 天橋立ではない。「天空の墓地」だという。
 私が松並木だと思ったのは、墓標だったのだ。

 そうか、おばあちゃんの墓は、ここにあったんだ
と、いきなり安堵した。
 そしてこの絵は、私の所へ来てくれた。
 
 毎朝、手を合わせ、慰霊ではなく「願い事」
ばかりしている。
 命日のこの日も、
「おばあちゃん、目が痛い。なんとかして」

 もともとドライアイだったのだが、このところ
急速に悪化し、眼科に駆け込む羽目になった。
 読み書きが辛くて、必要な本を一冊、
読み終えるのに一ヶ月くらいかかる。
 書く方はもっと駄目。
 考えるだに辛い。
 でもこの日は、「聴く」予定が入っている。
 金沢区能見台にある「ウォーターカラー」という
スタジオで、友人の島津千登世さんのライブ。
 
 一緒に行った友達のシラトリさんは、前日、
突発性難聴になったというのに、私のために
いろいろと手料理を持ってきてくれた。
(黒豆おこわは絶品!)
 それをいただきながら歌と演奏を聴く時間は
まるでホテルのディナーショー。
 心を包み込んでくれるような島津さんの歌声に
しっとりと癒された。
 あの世の祖母も、きっと一緒に楽しんでくれたと思う。
 いい命日だったよね、おばあちゃん。



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