初めて会った頃、あなたは少年だった。
私は少女だった。
すれ違ったよね、どこかで。
私が覚えているのは、階段の三段目で振り向いたあなた。
それから長い年月が流れ、私達はまた巡り会った。
「何年前だっけ?」
「さあ……ずっと昔かな」
その長い時が、長い距離をつくった。
あなたに会うには一年もかかる。
あなたは遠くからやってくる。
ご馳走を食べさせてくれ、とめどない話を
笑顔で聞いてくれる。
強すぎる腕と大きな手で、抱きしめてくれる。
そしてまた、遠くへ帰っていく。
あなたが死んでも、誰も私に伝えてくれない。
私が死んでも、誰もあなたに伝えてくれない。
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