居眠りバクの音楽回想

チェンバリスト井上裕子の音楽エッセイブログ。

saint は sweet

2008-04-10 01:26:33 | エッセイ
Sweelinck は、秘密結社の総長であったらしい。
詳細は、(私も人から聞いたので)不明。

オランダ最後のカトリックの塞であった、アムステルダム市がカルヴィン派に改宗した事で、Sweelinck は、オルガニスト就任一年目で劇的な環境の変化にさらされることとなった。

カルヴィン派はオルガン演奏等をカトリックの遺物とみなし、教会のオルガン撤去、演奏を禁じたが、アムステルダム市は、奏者をオルガニストではなく職員として保護し、音楽の灯火は消えずにすんだ。

オランダでのカルヴィン派の改宗法は、かなり穏かだったらしく、それも可能であった。

Sweelinck は表向きは正統派カルヴィン主義(?)として過ごしたが実社会では、自由市民ように振舞ったといわれる。

秘密結社は、新しい詩篇の押し付けや、オルガン演奏(基本的に)を禁止する
カルヴィン派に対して、自分の音楽に対する要求を満たすための必然だったのではないだろうか?

正直、秘密結社が実在したのか・・・・それは分からない。

彼の美しい作品を読み解く上で、生れる神秘的な謎は、もしかするとこの謎の秘密結社の中にあるのかもしれない。