ツイッター上で気になるつぶやきがありました。後日、引用したかったが再検索できないので。
内容は、「SNS上では流行っているように思えるけれども、実は二次創作を嗜む人はファンのうちの1パーセントにも満たない」というものでした。
これは、ほんとうにそうですね。
SNS上で趣味の仲間同士で語らい、繋がっているから、見えづらくなっているけれども、原作ジャンルのファンのうちで、二次創作をする人口はかなり稀少でしょう。さらに、そのうちSNS上で発表をする人の数をやいわんや。しかし、この割合、気になるのは「いつの時期」のパーセンテージなのかということです。
私が所属する原作ジャンルは、メジャーなものとマイナーなもの併せて、数えるほどしかありません。しかも、そのほとんどがすでに原作は終了しています。公式がいまだに何周年記念と称してグッズ販売したり、コラボして広報したり、またスピンオフ作品が発表されたりもしていますが、やはり、全盛期の勢いがないのかもしれません。
二次創作物をリンクする専門サイトさまも最近は過疎気味ですし、ファン活動を運営していたサイト管理者さんも他の作品に転んだのか、更新が止まったまま。あるいは移転したり、廃止されたり。社会人になり、忙しいので、ヲタクを卒業してしまったのかもしれませんね。
私は自身が二次創作もするある原作ジャンルの動きをおいかけて、すでに10年以上になります。
やはり勢いがあったのは、原作終了後から5年ぐらいまでのゼロ年代までで、2010年代になって新世代の後続作品が出てくるとそちらに人口が流れてしまった感があります。その原作ジャンルは2年前にアマゾンプライムで無料視聴できたので、その機運で視聴者が増え二次創作もまた増えました。現在、その原作ジャンルのスピンオフ作が連載中で、公式のSNS上では話題になっているようですが、二次創作自体はかつてほど増えていないようです。と言いますか、新規に書き下ろさずに過去絵を挙げる方が多い。私自身も新作をあまり発表しなくなりました。
ファン人口が1万人だとして、1パーセントとすると、その二次創作者率は100人。
でも、そうなのか。たとえば、いま、爆発的ブームな「鬼滅の刃」。ファン人口はミリオンどころかビリオン単位なのかもしれません。でも、その二次創作者となったら、割合としてはかなり下がりますでしょう。それでも、マイナー原作ジャンルからしたら羨ましぐらいの書き手、描き手がいるとは思いますけれど。
私が思うに、この1パーセントぐらいというのは、かなり人気が落ち着いたころの数値ではないかと思うのです。まあ、その数値の正確さを問うのが今回の主題ではないのですが。
要するに、好きなものを好きな同士でわちゃわちゃ語っているのはいいけれど、それはごくごく狭い世界のことなんだよ。だからそんな蛸壺のなかでごちゃごちゃあったとしても気にしなくていいのよ、が上記のつぶやき主の真意なのでしょう。これは、ほんとうにそうですね。二次創作とかファン活動つながりに限らず、あらゆる趣味サークルや近所づきあいや組織の政治にも言えますけれども。まあ、言葉を変えて言えば「井の中の蛙、大海を知らず」。でも安全な囲いがあるからこそ楽しめるとも言えます。
だから、自分の所属する原作ジャンルで報われなかろうが、評価されなかろうが、そこで凹む必要なんかまったくないわけです。
二次創作は決してメジャーな趣味ではないという認識があれば、ほどほどに楽しめますね。
そもそも私は創作は孤独にやるものだと考えているし、現実界でも周囲がもりあがっている飲み会で一人で飲んでさっさと帰りたい、と思うような身勝手タイプです。自分のいる世界や置かれた環境が、世間の物差しではどの程度なのかを測っておくのは大事なことなのかもしれません。あらゆるバランス感覚として。
禅の言葉に「足るを知る」という教えがありますが、多くを求めるから苦しいのであって、ほどほど、まあまあなところで満足をしておくのも、自分の煩悩におしつぶされない生き方なのかもしれません。
ただ、自分はもっと読まれたい! 褒められたい! 認められたい! という欲望はときに向上心となって技術を磨くこともありますので、あながち、否定すべきでもありませんけどね。
(2020.11.30)
【二次創作者、この厄介なディレッタント(まとめ)】
趣味で二次創作をしている人間が書いた、よしなしごとの目次頁です。
二次創作には旨みもあれば、毒もあるのですね…。