失礼ながら、バレンタインで本命チョコ貰えない諸兄向けに用意された映画なのかしら、と思いました。
2008年の日本映画「ハンサム★スーツ」は、外見にコンプレックスを抱くこころ優しい男性の変身してモテてモテて仕方がないという、逆シンデレラストーリー。
設定がいかにも漫画ちっくで、こういう魔法めいた力や道具を借りて人生が変わった主人公は、たいがいそれに頼らない元の人生を恋しがるというのが常。なので、多くの方に展開が読めてしまうのでしょうが、役者のなんともアクの強い演技と、カラフルな画調でそれなりに楽しめてしまう映画です。繰り返し観たいと思うほどではないんですけどね。
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亡き母親から受け継いだ食堂を営む大木琢郎は、人柄もよく料理の腕もたしかで、客からは愛されている。しかし、彼の悩みはその容姿。これまで多くの失恋を経験してきた琢郎は、食堂のアルバイトで雇った気だてのいい寛子に告白するが玉砕。
しかし、ある日、紳士服店で怪しげな店員から勧められた「ハンサムスーツ」を着用することで、信じられないほどイケメンになってしまう。
主演はお笑い芸人ドランクドラゴンの塚地武雅と、その変身後を演じるのが、大河ドラマ「龍馬伝」の桂小五郎役でもおなじみの谷原章介。顔は二枚目だけど仕種がどこか三枚目という、谷原さんの演技がとにかくオーバーで笑いを誘います。
ハンサムになった主人公は、街を歩けば女性の黄色い歓声がついて回り、モデルにスカウトされてスターに。一躍華々しい生活を手にする。しかし、スーツを脱げば、いつもの冴えない料理人。
食堂に新しく入ってきた恰幅のいい女性に好感をもたれつつも、北川景子が演じる、可憐な寛子に去られた後悔が頭をかすめ、二重生活に疑問をもちはじめる主人公。やがて彼は、どちらかを捨てる選択を迫られてしまう…。
大島美幸演じる女性の正体はうすうす勘づくのですが、脚本の鈴木おさむの愛妻(?)だけあって、いい役どころです。
ほんとうの幸せを求める男女をつなぐのが、渡辺美里の「My Revolution」
そのほか、久保田利伸、佐野元春などのかつて聞いたようなヒットソングがBGMとして用いられていて、口ずさみたくなりますね。
(テリー伊藤が着てそうなキテレツな衣装の(笑))伊武雅刀や池内博之など個性的な助演が脇を固めていますが、おもしろかったのは山本裕典。「仮面ライダーカブト」のおぼっちゃま役の人ですよね。本作でもかなり生意気なイケメンなんですが、悲惨な目に遭っちゃいます。
特別出演している石田純一や、ジローラモさんのシーンは笑いころげました。
しかし、変身前の主人公に対する偏見がかなり酷く描かれていますね。
あといわゆる生まれながらにつくりがいい美男子と、流行の髪型やメイク、服装でつくられたイケメンとは違うと思うんですけどね。山本裕典が演じたような俺様王子様然とした人は、かえってモテないんじゃないかなと思いますが。
ところで、あのスーツ、着用後は年齢によって外見も老いていくんでしょうかね。
監督は本作が映画デヴューとなった、英勉。
観終わって、バレンタインで本命チョコ渡せない女子向けに用意された映画なのかしら、とも思えました。
(2010年2月13日)
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