陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

No Cross, No Crown──氷上の女王、華やかな復活

2011-02-06 | フィギュアスケート・スポーツ
英語で No Cross, No Crown ということわざがあります。No Pain, No Gain と言い換えてもさしつかえないでしょう。苦難を乗り越えなければ栄光は掴めないという意味あいです。
バンクーバー五輪では銀メダル(氷上のなでしこ、涙の銀メダル氷上のライバル、バンクーバー決戦)、そして世界選手権では金を奪い返した(氷上の女神、世界一の真央)浅田真央選手が迎えた今シーズンは、まさにこの言葉に尽きる苦しいシーズンだったに違いありません。

浅田選手は、みごとに表彰台を引き寄せました。そして世界選手権への切符も。
そのフリーの演技、静謐な調べではじまるリスト作曲「愛の夢」を、最初に印象づけたのはなんとも優雅にして絶妙なトリプルアクセル。自身の十八番で弾みがついたのでしょうか、その後も落ち着いた演技で魅せます。
花の蕾みがひろがるようなスパイラル、それは張りつめた緊張感から解放され、そして大きな山場を超えた自信溢れる彼女の強さを表現したもののように思えます。
スタイルの良さを活かした、足がぴんと一直線に伸びたジャンプ、やはり美しいですよね。
リンクをめいいっぱいに使っての、なめらかに音楽すべてをあまさずすくいあげるような演技構成。終わった時には、観客は総立ち、割れんばかりの拍手に包まれていました。皆がみな、彼女の復活を称えていたのです。
フリーでは127. 47点をいただき、合わせて193.69点。この時点ですわ優勝か、六連覇かと目論まれましたが、それを阻んだのがやはりあの人。

GPシリーズで二連覇を果たした今季の安藤美姫選手はとにかく、すさまじいのひと言に尽きます。
その真骨頂といえるのが、フリーで見せる驚異の後半五連続ジャンプ。
背中が大きく見える大胆な黒い衣装で登場。もはや傷のあとは見えません。ベストコンディションで臨む彼女に恐いものはなし。
曲はグリーグ作曲の「ピアノ協奏曲イ短調」。その畳み掛けるようなピアノの曲調に乗せて。まずは会心の三回転からジャンプをくり出していきます。もちろん、今回も失敗もなくパーフェクト。ストレートラインステップも細かく緩急をつけて、表現に幅をもたせています。その手応えはまずもって本人がいちばんに確認したのでしょう。終わったとたん、SPにつづいて、ガッツポーズ。コーチも大歓喜で万々歳。
とても大きくてダイナミックな女王の名に恥じぬ名舞台。ジャッジの評価がそれに報いぬわけがありません。下されたスコアは、137.58点。総じて202.34点となり、世界選手権代表入りはむろんのこと、六年ぶりの全日本制覇となりました。おめでとうございます。




【参照】
美姫、逆転で3度目の日本一!…フィギュア - スポーツ:スポーツ報知

真央2位!フリー逆転許すも「ホッとした」…フィギュア - スポーツ:スポーツ報知

自信持てば大丈夫…真央に聞く - スポーツ:スポーツ報知

真央復活2位!世界切符獲った/フィギュア - スポーツ - SANSPO.COM

フィギュア:「大きな山を越えた」浅田、復活の第一歩 - 毎日jp

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