数年前でしたが、とある女子大生銭湯絵師が描いた壁画が、プロのイラストレイタ―の構図をまねたものだと大騒ぎになりました。絵には意匠権があり、知的財産権のひとつとして権利保護が図られています。ただ、この認定ラインは難しいようですが。
同様に、二次創作だけに限らず、人気作の漫画が過去のあの作品のパクリだとかネットで噂されることはよくあります。作者がそうしたいというよりも、編集がそうした定番ネタを吹き込んで書かせている気がしないでもないです。まあ、でも、自分の好きなマイナージャンルに似たものが、近作で発表され、しかもそちらのほうが世間的に受けがよかったりすると、なんとなくモヤモヤしますよね。インディーズバンドを原石の時代から発掘して応援していたのに、にわかに人気爆発でなんだか納得いかない、微妙な気分みたいな。
字書きの場合、このネタ被りは皆さん、神経を使うのではないでしょうか。
たまたま書きかけのものより先に発表されたものが、設定が似ていたとか、台詞回しが近いとか。そもそも、二次創作とはいってもパターンはあるし、同じ原作ジャンルを見ていたら同じネタを考えるひとが自分以外にいても不思議ではありません。
ネタが似ていても、あえて発表して他人は他人、自分は自分と堂々としているのも手です。その先行作を見て真似をしたというのでなければ、構想時期を書いておくのもいいかもしれません。とはいえ、思いついたのが早かったからといって、そのネタが自分の専売特許になるとは限りませんが。
誤解を避けるならば、発表時期をずらすなどの自衛が必要かもしれない。
あるいは、いっそのこと、原作ジャンルを変えてしまうとか。ただし、あきらかにあの原作ジャンルから影響受けて書いたなと思うものを、他の原作ジャンルに移した場合の違和感はありますし、ましてやそれをオリジナルとして発表した際の独自性のなさ、既視感はぬぐえないものになります。
二次創作同士のアレが似ている、コレが盗まれた、などの問題は、永遠に出口の見えない論争というべきなのかもしれません。
ただ、上記のパクリ認定された絵師さがそうであったように、自分の頭で深くものを考えていない、他人の見方を借りないと自分で絵を構築できないひとは、他人がつくったものの良し悪しを、「自分を飾るための素材として利用できるか否か」で分別しているので、隠していてもいつか気づかれるものなのでしょう。
そもそも、自作に利用できるかどうかで他人の創作物を眺めているのは、その作品を真実味わっているとも言えず、そもそも二次創作自体に飽きたときに、読書をしたり、映像観賞をしたりが楽しくなくなってしまいます。これは、二次創作と言いますか、一般的な商業作品すべてにおいて言えることもでもありますよね。自分が百合モノのオリジナルを描きたいので、有名な百合作品を下敷きにしてみた…などと堂々とSNS上でつぶやかれたりすると複雑な気持ちになります。
ちなみに、私は小説を読んだり、映画を観たりしたときの評価を、自分の二次創作に利用できるか、どうかでは考えてはいません。
【二次創作者、この厄介なディレッタント(まとめ)】
趣味で二次創作をしている人間が書いた、よしなしごとの目次頁です。
二次創作には旨みもあれば、毒もあるのですね…。