最近の映画って過大宣伝してるわりには、いざ観ると大して胸に響いてこないようなものが多いんですよね。どうしてだろう。
2004年の映画「きみに読む物語」(原題 : The Notebook)も、すごく期待していたんですが、がっかりな作品でした。
老人介護施設に暮らす初老の女性は、アルツハイマー病で記憶が途切れがち。デュークという男性が語ってくれる物語に耳を傾けるのを楽しみにしている。
その話とは、1940年のある田舎町、ひと夏のバカンスのために訪れた良家の娘アリー・ハミルトンと、地元の青年ノアとの出逢いと別れの物語だった…。
劇中劇とはいえ、全体の半分以上をしめるアリーとノアの半生。詩作が趣味だが低賃金労働者のノアと、裕福でニューヨークの名門大学へ進学予定のアリーとは、不釣り合いな恋。想いあう気持ちは強くとも、両親の頑強な反対にあって離ればなれに。
やがて、第二次世界大戦に米国が参戦。ノアが志願兵として従軍していた頃、志願して看護婦として働いていたアリーは、南部の資産家のロン・ハワードと知り合い付き合いはじめてしまいます。
語り部となる老人と老女がはたして何者か、後半になるとおわかりになるでしょうが、若い二人の容姿とくに髪の毛の色あいがミスリーディングを誘っています。これは小説に書き起こすにあたって、美化したということなのでしょうか。
老いらくの恋を描いたものとしてみれば美しく睦まじいエンディングを迎えるのですが、なにぶん、若き日のアリーの行動が理解できませんね。どうして、こうもころころ心変わりできるんでしょうか。婚約者がいるのに、一夜の過ちを犯し、しかもその責任から逃れようとする発言までする。こんな女性を一途に想っているノアのほうがかわいそう。「タイタニック」みたいに意に染まぬ政略結婚でもなんでもなく、自分で選んだ相手なんですよ。
ついでに、従軍看護婦と傷痍軍人との恋愛だとか、身分違いの恋だとかいう設定ももうありきたりですよね。でも、それが好きな人にはたまらんシチュなんでしょうけれど。
娘の幸せを願ってノアとの仲を妨害した母親に、じつは断腸の思いがあったことが明かされるシーンは胸に残りますね。結婚というものは、もちろん二人の間の意志が尊重されるべきなのですが、家どうしの思惑やいろんな人間関係が絡んできますので、単純に好きだの惚れたの、だけでは片づかない。
このヒロインの衝動的な恋に走る性格は、都合のいい男性をはべらせている少女漫画の主人公みたいでかなり嫌です。失礼ながら、ちょっと、安っぽいラブストーリーかな。まだ悪女だとわかっていて男にとりいろうとする話のほうが、よほどおもしろいかもしれないですね。
演出もめだった面白味がなく映像としても退屈。小説として読むなら、二人の身元が容姿から割れにくいので、おもしろかったかもしれないですね。
監督はニック・カサヴェテス。
主演はカナダの俳優ライアン・ゴズリングとレイチェル・アン・マクアダムス。女優はともかく、男優のほうはあまり主役を張るような顔だちとは思えないんですけどね。
アルツハイマー病の老女を演じたジーナ・ローランズは、監督の実母。
原作はニコラス・スパークスのベストセラー小説。
(2010年3月13日)
きみに読む物語(2004) - goo 映画
2004年の映画「きみに読む物語」(原題 : The Notebook)も、すごく期待していたんですが、がっかりな作品でした。
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老人介護施設に暮らす初老の女性は、アルツハイマー病で記憶が途切れがち。デュークという男性が語ってくれる物語に耳を傾けるのを楽しみにしている。
その話とは、1940年のある田舎町、ひと夏のバカンスのために訪れた良家の娘アリー・ハミルトンと、地元の青年ノアとの出逢いと別れの物語だった…。
劇中劇とはいえ、全体の半分以上をしめるアリーとノアの半生。詩作が趣味だが低賃金労働者のノアと、裕福でニューヨークの名門大学へ進学予定のアリーとは、不釣り合いな恋。想いあう気持ちは強くとも、両親の頑強な反対にあって離ればなれに。
やがて、第二次世界大戦に米国が参戦。ノアが志願兵として従軍していた頃、志願して看護婦として働いていたアリーは、南部の資産家のロン・ハワードと知り合い付き合いはじめてしまいます。
語り部となる老人と老女がはたして何者か、後半になるとおわかりになるでしょうが、若い二人の容姿とくに髪の毛の色あいがミスリーディングを誘っています。これは小説に書き起こすにあたって、美化したということなのでしょうか。
老いらくの恋を描いたものとしてみれば美しく睦まじいエンディングを迎えるのですが、なにぶん、若き日のアリーの行動が理解できませんね。どうして、こうもころころ心変わりできるんでしょうか。婚約者がいるのに、一夜の過ちを犯し、しかもその責任から逃れようとする発言までする。こんな女性を一途に想っているノアのほうがかわいそう。「タイタニック」みたいに意に染まぬ政略結婚でもなんでもなく、自分で選んだ相手なんですよ。
ついでに、従軍看護婦と傷痍軍人との恋愛だとか、身分違いの恋だとかいう設定ももうありきたりですよね。でも、それが好きな人にはたまらんシチュなんでしょうけれど。
娘の幸せを願ってノアとの仲を妨害した母親に、じつは断腸の思いがあったことが明かされるシーンは胸に残りますね。結婚というものは、もちろん二人の間の意志が尊重されるべきなのですが、家どうしの思惑やいろんな人間関係が絡んできますので、単純に好きだの惚れたの、だけでは片づかない。
このヒロインの衝動的な恋に走る性格は、都合のいい男性をはべらせている少女漫画の主人公みたいでかなり嫌です。失礼ながら、ちょっと、安っぽいラブストーリーかな。まだ悪女だとわかっていて男にとりいろうとする話のほうが、よほどおもしろいかもしれないですね。
演出もめだった面白味がなく映像としても退屈。小説として読むなら、二人の身元が容姿から割れにくいので、おもしろかったかもしれないですね。
監督はニック・カサヴェテス。
主演はカナダの俳優ライアン・ゴズリングとレイチェル・アン・マクアダムス。女優はともかく、男優のほうはあまり主役を張るような顔だちとは思えないんですけどね。
アルツハイマー病の老女を演じたジーナ・ローランズは、監督の実母。
原作はニコラス・スパークスのベストセラー小説。
(2010年3月13日)
きみに読む物語(2004) - goo 映画