なんとなく突然聞きたくなった、「コンドルは飛んでいく」
死んだ王様がコンドルになって飛んでいく歌なのだと最近知った。
遺骸を食するために美しい羽を生やさないコンドル。
まさに砂漠や翠のとぼしい高地にはぴったりの生き物。
この歌を聴くと、どこかにこころが運ばれてしまうような感覚がわきあがる。
むかし京都で見たインカ帝国の秘宝展を思い起こしてみた。
ひとはたぶん「いま、ここ」から逃げ出そうとするときに、古代を夢想するか、ありえない未来を望むか。
より確実な現実としてのむかしを私は望むだろう。
昨日ばかりをふりかえる人間はきっと。
どこにも行きやしないで、時間ばかり掘っているめくらのもぐらみたい。
死を食べて生きのびるその鳥はどこか寂しげで。
いつもするどく恐い眼をしているけれど。
その鳥はどうやらコウノトリの親戚らしくて。
そして、ミンクのコートを羽織った王様みたいな風格がある。
高さに生きるものって、けっきょく屍をたべて生きてきたものなのかもしれない。
なにをもって「死」と思うかはひとそれぞれだろうけれど。
その鳥は大きな死を食べることができる。
ただ、残念なことにただひとつ。
自分の死だけは食べることができない。
だから、けっきょく誰かの死をもとめて飛んでいかなきゃいけない。
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