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百貨店では各地の物産展をよく催されていますよね。
すこし前ですが、日本の匠の技展という催し物がありまして見学してきました。
木彫りのオーナメントであったり、家具調度類であったり、アクセサリーであったり、毛筆であったり。手づくりの技が冴えわたる商品がずらりと並びます。あるブログ様の記事で秋田杉でつくった曲げわっぱというのをはじめて知ったのですが、今回それも実物を拝見できました。間近でみますと木目がなめらかで輪郭の有機的なラインが、ハンス・ジャン・アルプの彫刻をみるように、やさしくて美しいですね。伝統工芸なのに、粋でモダンな感性を感じさせます。ぜひともお弁当箱としてつかってみたいのですが、やはり高価ですので、自分の生活力では手が届きません。
掲載画像は、石絵とよばれるもの。
ふつう石絵ときけば、河原でひろったてのひらサイズの丸石に、アクリル絵の具で描いてニスを塗ったものが想起されますが。
こちらは、かなり本格的に工芸品として仕上げたもの。時間がなかったので、じっくり展示パネルをながめられなかったのですが、おそらく素材は彫刻につかうような庵治石などの高級石材かと思われます。
河原の石と違って不純な要素が混入していない美しい石地に赤や青、黒という際立った配色。額縁にかこまれて壁に飾ってもよし、オブジェとして置いてもよし。
麻生地のキャンバスと違い、立体的なものに描くことの難しさというものがあって、かつCGのようにいくらでも複製できない一回性の手づくりの技にはひじょうにこころ惹かれるものがあります。
ちなみに私は近現代アートの美術館にでかけるよりは、こうした商業施設の一角にあるギャラリーや展示会を訪れるほうが好きです。
(無料で見られるからというのもあるのですが、百貨店というスペース自体いろんな商品がならんでいて眺めるのが楽しいからです)
私が高校時代お世話になった彫刻家の先生も、地元の近代美術館にある市民ギャラリーではなく、駅地下の百貨店にある画廊で作品を発表されていました。百貨店のギャラリーのほうが、商品としてよく見せる術を心得ていますし、富裕層の顧客が多いので購買につながりやすいのではないかしらと思います。あと、最近の百貨店は生き残りをかけて顧客のニーズをつかんでいますので、若者向けの漫画家やイラストレイターの絵画展示もして集客力をつよめていますよね。
(ただジミー大西とか有名人のイラスト展示とかもありますけど、それも好きずきですね(苦笑))
百貨店での個展の掲載基準というのは作家ではないのでわからないのですが。お金さえ出せば実績のない美大生や日曜画家の落書きみたいな絵でも展示させてもらえる個人ギャラリー(作家としてのキャリアづくりに惰性的に個展を開いているに過ぎない)とは違って、やはりちゃんとした受賞歴があったり、作品が公共施設や海外で買い上げられているような方でないと許可はおりないように思われます。
こうしたエリート意識のたかいギャラリーシステムや好事家におもねった商業主義に反発してみせたのが、六〇年代アメリカ、イギリスでおこったポップアートやミニマリズム、もしくは画廊・美術館という閉鎖スペースを抜け出して地球規模でアートを展開してみせたアースワークでした。ところが、大地をキャンバスにして土地を掘り起こしたり、木を散らしたりするような空間演出であっても、そこには膨大な費用がかかり、作家は資本力のある者にパトロネージュせざるをえない。けっきょくのところ、彼らが問題意識として出した環境保護やエコロジー精神はすっぱ抜かれて、いまやチープな自然素材で楽しめる誰でもアートに集約されてしまっています。
べつに売れるものだから、その芸術は社会的に価値があるとは思いませんが。世相の動きをとらえないで、狭いアトリエにとじこもり、自分の表現うんぬんばかり説いているような芸術家の作品は、通用するはずもない。
この石絵をみてふしぎだったのは。
いわば百貨店という敷居のたかい商業空間におかれた石の芸術が、やみくもに自然愛好家たちにおもねって安きに堕したナチュラリスト・アートからの脱却をはかっているように感じられたからです。
安っぽいつくりで、おためごかしのコンセプトをふりかけにした現代アートを高いチケットで見させられるのと、買い物帰りにぶらっと立ち寄れる商業スペースで、名工の技さえる作品を手ぶらで鑑賞できるのと。はたして、どちらがいいのだろうかと。
この石絵の展示コーナーは奥のほうにあったのですが、作品そのものの魅力にくわえ、ひじょうに計算しつくされたカラーマーケティングを施して見目よく展示してあります。青、黒、赤がリズミカルにならぶ色の調子、ときおり金をアクセントに高級感をひきだしているあたり。オプションが黒というのもセンスがいいですね。
【参照HP】
曲げわっぱ 大館工芸社
![変わった形の石ブログトーナメント - その他趣味ブログ村](http://image.blogmura.com/tournament/1/1225/s_je7gk186.jpg)
変わった形の石ブログトーナメント
すこし前ですが、日本の匠の技展という催し物がありまして見学してきました。
木彫りのオーナメントであったり、家具調度類であったり、アクセサリーであったり、毛筆であったり。手づくりの技が冴えわたる商品がずらりと並びます。あるブログ様の記事で秋田杉でつくった曲げわっぱというのをはじめて知ったのですが、今回それも実物を拝見できました。間近でみますと木目がなめらかで輪郭の有機的なラインが、ハンス・ジャン・アルプの彫刻をみるように、やさしくて美しいですね。伝統工芸なのに、粋でモダンな感性を感じさせます。ぜひともお弁当箱としてつかってみたいのですが、やはり高価ですので、自分の生活力では手が届きません。
掲載画像は、石絵とよばれるもの。
ふつう石絵ときけば、河原でひろったてのひらサイズの丸石に、アクリル絵の具で描いてニスを塗ったものが想起されますが。
こちらは、かなり本格的に工芸品として仕上げたもの。時間がなかったので、じっくり展示パネルをながめられなかったのですが、おそらく素材は彫刻につかうような庵治石などの高級石材かと思われます。
河原の石と違って不純な要素が混入していない美しい石地に赤や青、黒という際立った配色。額縁にかこまれて壁に飾ってもよし、オブジェとして置いてもよし。
麻生地のキャンバスと違い、立体的なものに描くことの難しさというものがあって、かつCGのようにいくらでも複製できない一回性の手づくりの技にはひじょうにこころ惹かれるものがあります。
ちなみに私は近現代アートの美術館にでかけるよりは、こうした商業施設の一角にあるギャラリーや展示会を訪れるほうが好きです。
(無料で見られるからというのもあるのですが、百貨店というスペース自体いろんな商品がならんでいて眺めるのが楽しいからです)
私が高校時代お世話になった彫刻家の先生も、地元の近代美術館にある市民ギャラリーではなく、駅地下の百貨店にある画廊で作品を発表されていました。百貨店のギャラリーのほうが、商品としてよく見せる術を心得ていますし、富裕層の顧客が多いので購買につながりやすいのではないかしらと思います。あと、最近の百貨店は生き残りをかけて顧客のニーズをつかんでいますので、若者向けの漫画家やイラストレイターの絵画展示もして集客力をつよめていますよね。
(ただジミー大西とか有名人のイラスト展示とかもありますけど、それも好きずきですね(苦笑))
百貨店での個展の掲載基準というのは作家ではないのでわからないのですが。お金さえ出せば実績のない美大生や日曜画家の落書きみたいな絵でも展示させてもらえる個人ギャラリー(作家としてのキャリアづくりに惰性的に個展を開いているに過ぎない)とは違って、やはりちゃんとした受賞歴があったり、作品が公共施設や海外で買い上げられているような方でないと許可はおりないように思われます。
こうしたエリート意識のたかいギャラリーシステムや好事家におもねった商業主義に反発してみせたのが、六〇年代アメリカ、イギリスでおこったポップアートやミニマリズム、もしくは画廊・美術館という閉鎖スペースを抜け出して地球規模でアートを展開してみせたアースワークでした。ところが、大地をキャンバスにして土地を掘り起こしたり、木を散らしたりするような空間演出であっても、そこには膨大な費用がかかり、作家は資本力のある者にパトロネージュせざるをえない。けっきょくのところ、彼らが問題意識として出した環境保護やエコロジー精神はすっぱ抜かれて、いまやチープな自然素材で楽しめる誰でもアートに集約されてしまっています。
べつに売れるものだから、その芸術は社会的に価値があるとは思いませんが。世相の動きをとらえないで、狭いアトリエにとじこもり、自分の表現うんぬんばかり説いているような芸術家の作品は、通用するはずもない。
この石絵をみてふしぎだったのは。
いわば百貨店という敷居のたかい商業空間におかれた石の芸術が、やみくもに自然愛好家たちにおもねって安きに堕したナチュラリスト・アートからの脱却をはかっているように感じられたからです。
安っぽいつくりで、おためごかしのコンセプトをふりかけにした現代アートを高いチケットで見させられるのと、買い物帰りにぶらっと立ち寄れる商業スペースで、名工の技さえる作品を手ぶらで鑑賞できるのと。はたして、どちらがいいのだろうかと。
この石絵の展示コーナーは奥のほうにあったのですが、作品そのものの魅力にくわえ、ひじょうに計算しつくされたカラーマーケティングを施して見目よく展示してあります。青、黒、赤がリズミカルにならぶ色の調子、ときおり金をアクセントに高級感をひきだしているあたり。オプションが黒というのもセンスがいいですね。
【参照HP】
曲げわっぱ 大館工芸社
![変わった形の石ブログトーナメント - その他趣味ブログ村](http://image.blogmura.com/tournament/1/1225/s_je7gk186.jpg)
変わった形の石ブログトーナメント