陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

氷上のメリークリスマス、舞姫たちの熱闘

2010-12-26 | フィギュアスケート・スポーツ・五輪
今年最後の大舞台となる全日本フィギュアスケート選手権2010。
この大会は、三月に東京にて開催される世界選手権の選考会も兼ねています。女子も代表は三枠。しかし、その三人に誰が選ばれるのかとおなじくらい、耳目を集めているのやはりあの五輪銀メダリスト・浅田真央選手の再生劇ではないでしょうか。真央選手、昨年の全日本と同様に、ファンの期待に応える好調な滑り出しとなりました。これは願ってもないクリスマスプレゼントでしたね。

世界の舞台に立つ前に、日本国内での争いに勝ち抜くのが難しいとされるフィギュアスケート界だそうで。GPシリーズや過去のオリンピックではまだ知らずにいたフレッシュな顔触れが台頭してくるのが、毎年の全日本の見どころ。今年もまさに恐るべき新人たちがベテラン勢を脅かしそうな勢いです。

その代表格といえるのが、今年、ジュニアグランプリSBC杯の覇者となった庄司理紗選手。
なんとまだ弱冠十四歳の中学生ながら、選んだ曲目はタンゴ。すでに大人顔負けの風格がありました。真央三世というべきなのか、佳菜子二世というべきなのか。東京出身なので、愛知娘たちとは異なった雰囲気がありますね。
冒頭からいきなり三回転三回転の連続ジャンプを跳んで、その後、三つのジャンプは揺らぐことなし。跳ね回る村上選手とは一線を画し、大人っぽい落ち着いた演技。表現力も将来の女王にふさわしいレベルといえましょうか。他にも見慣れない十代の方がいくにんか登場してきましたが、彼女だけが抜きん出ていましたね。
スコアは58.22点でしたが、60点あってもおかしくはなかったんじゃないか、と思えるようなすばらしいものでした。最終的には四位。表彰台は狙える圏内にいます。
シニアデビューするはずの来年のGPシリーズでは、村上選手に続き旋風を巻き起こす注目株ですね。

初参戦にしてGPシリーズでは初優勝(フィギュアスケート スケートアメリカ2010)を飾り、ファイナルでも銅メダル(フィギュアスケートGPシリーズ2010 グランプリファイナル(二))。今年はとにかく大躍進の年だった村上佳菜子選手。
曲はもう彼女の元気はつらつさの代名詞ともいえる「ジャンピングジャック」
彼女の舞台はまさに氷上のジャック。飛び回り、跳ね回り、舞いあがって、観衆のハートを鷲掴みにするのです。最初の三回転・三回転を難なくこなして、二回目の三回転ジャンプもみごとにものにします。しかし、わずかな瑕瑾となったのが三回目のダブルアクセル。惜しいことに一回転に抜けてしまいました。
とはいえ、後半部のステップなどで愛嬌たっぷりの演技を振りまき、会場からの温かい拍手もあって、気持ちのいいステージとなりました。結果、61.50点。SPでは三位となります。彼女を上回ったのは、オリンピックを経験し、全日本制覇のキャリアを積んできたあのお姉さんがたです。

若手で個人的に注目していたのは、十七歳の今井遥選手。
鈴木明子選手の妹弟子で、フランス杯のSP(フィギュアスケートGPシリーズ フランス杯2010(一))ではめざましい演技を見せてくれたので覚えていました。
しかし、今回は精彩を欠いていましたね。三回転・三回転に挑むも回転オーバーで足がふらつき、二回目も安定感がなく,三回目も着氷にミスが見られるなど惜しい内容でした。今井選手は一昨年、すなわち村上選手の前の全日本ジュニア優勝者なので、ほんらいはもっと実力を発揮できるはずなのですが。45.96点と大きく沈み十一位に。予選の通過とはならなかったようです。

世界選手権への切符がかかるという大きなプレッシャーがそうさせるのか、GPシリーズでも破格の活躍を見せつけた選手に、波乱が訪れる今大会。ベテランの女王にも意地があります。世代交代の波はとうぶんお預けなのかもしれませんね。



【過去のフィギュアスケート記事一覧】

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【序】神無月の巫女二次創作... | TOP | 氷上のメリークリスマス、女... »
最新の画像もっと見る

Recent Entries | フィギュアスケート・スポーツ・五輪