東京五輪、どうやるのかしら？

歴史をひもとくと、同じ土地で同じ国で似たような過ちを繰り返していることがあります。失敗だと思っていたけれど、多くの犠牲を払ったのちの転換期だったりもする。

13世紀半ばの鎌倉時代、日本が二度の元寇を受けたこと。
幕府の命で御家人たちは必死に国土を守ったのだけれども。異国だったがために恩賞としての土地が与えらえなかったこと。さらに、貨幣経済の浸透で増えた武士たちの借金を帳消しにする徳政令の乱発のせいで、かえって御家人が貧しくなり、倒幕の機運が高まっていったこと。

この元寇の少し前、モンゴル帝国に不服従だった高麗の抵抗勢力から、対馬に支援を頼む文書が届いていたそう。しかし、当時の鎌倉幕府は大陸の世情に疎く、それを無視したらしい。もし、高麗と手を結んでモンゴルと対抗していたらどうなったのか。当時の日本に、国民主権があって、民意を聞き届けるしくみがあったなら、どう対応したのか。

五輪で、コロナ禍で揺れるこの国難と政府の傲慢ぶりとを、戦時中に喩える方も多い。
しかし、江戸幕府末期の黒船来航でも、敗戦後の混乱期でも、同じことだったように思われる。けっきょく、天皇がいる国という国体そのものは不変だが、外圧になすがままで、知らないうちに重大なことが決まっていくこの状況。代議制だから、利権尽くしの任期が終われば政策なんぞどうでもいいと思っている政治家だって多い。

東京五輪問題はあいかわらずの憂い事です。
二週間前になって、緊急事態宣言下に無観客開催という決定。やっぱり、ほらね、言わんこっちゃないでしょう。そんな感想しか出てこない。しかも、IOC会長のバッハはこれにご不満らしい。知らんがな、としか言いようがありません。日本国民を見下している五輪貴族、東洋人差別心がある白人さんを、原爆の舞台に連れて行っても同情なんてしないでしょうに。

五輪を開催して、われわれ一般人が得るものは一体何だったのでしょう。
国民総勢のエールがないのならば、地の利など無きに等しい。豪雨災害が頻発しているさなか、応援出来ようはずもない。修学旅行や文化祭など人生一度の晴れ舞台を失った子供たちも多い。

先日の都議選でのもと都知事やら、財務大臣やらの不謹慎発言といい。昨日かの経済産業相の兵糧攻め（休業要請に従わない飲食店への融資規制を金融機関に促した）のような言い方といい。コロナを増やしたのは、あなたがた国民なんですよ、という責任転嫁。でも、省庁のお偉方だって大規模な会食してましたよね？　首相だってステーキ会食ありましたよね？　大相撲の若手力士だって厳格な処遇をされたのに、こうした政治家さんたちはなんらの責任を持ちません。痛ましい自殺者を出した赤木ファイルについても知らぬ存ぜぬの回答ばかり。

しかも、それでいて、安易にサブカルチャー人気にすがろうとしている姿勢もなんだか不愉快です。五輪のマスコットにされたキャラクターに罪はないけれども。

五輪は「どうする？」ではなく、もう「どうやる？」の段階まで来ました。確かにいざ開催されたら、私たちは観るでしょうし、話題にするでしょうし、ゲームの結果に喜ぶでしょう。でもね、五輪を含めスポーツも文化も芸能人のゴシップも慰めじゃないんです。人気のメディア長者やら、芸能人やらを広告塔にして国民をかどわかそうとしたって、そうは問屋がおろさない。

日本はもうこんなに災害が多いわけですから、五輪の誘致なんしてほしくない。といいますか、よく言われていますけども、日本なら柔道だけとか、世界各国で分担開催すればいい話。ｅスポーツ流行りなんだから、開閉会式だってリモート参加でいいでしょう。

さんざんっぱら不満を書きたてましたが、今はともかく、つつがなく無事に終了してくれることを祈るよりほかありません。
コロナのワクチン接種なんて、私の世代は年内までには無理でしょうしね。

ところで、五輪開催にあわせて、七月、八月の連休が変わってくるんですよね。7月は19日海の日がなしになって、22日23日が祝日扱い。8月は11日山の日が消えて、9日が祝日に…だそうです。休みが増えようが、私たちの身近なお祭りごとが消えて、一体、この夏は何を、どう、楽しく過ごすのか…と言いたくもなります。日本人だから絶対オリンピックを応援しようね、という強制がなんとなく嫌なんですよね。