陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

時にはハーモニカでも吹いて気晴らしを

2022-07-26 | 芸術・文化・科学・歴史

子どもの頃の私は美術をのぞく五科目は成績がよろしかったのですが。
音楽、家庭科、技術、そして体育はからきしの落ちこぼれ。音楽は5段階評価では4でしたが、これは実質、期末テストの暗記で稼いだようなもので。とにかく、楽器の演奏も、合唱も苦手きわまりないもの。

いちど、中学でクラスごとの合唱発表会で指揮者にされてしまったときは。
泣いて辞退させていただきました。人前で集団を率いて、なんて大それたことをやるのが気後れしたのです。高校、大学になったらむしろひとりでに先頭を走るようなタイプになったのですが。

それはともかく。
楽器の演奏が不得手で、いまだに音符が読めません。楽譜のドの位置を確かめて、そこから一個ずつ数えていかないと、どの音か分からないレベルです楽器が弾ける人や、歌手の皆さんはほんとうに尊敬します。けれど、そうなりたいとは思わないのだけども。そもそも私は聴覚が弱いほうなので、人の声が聞き取れないのです。

そんな私ではありますが。
実家の断捨離をしたときに見つかった、ハーモニカを大事にとってあります。

別に捨ててもいいのですが。
ハーモニカって、なかなかしっかりした金属ですし、いいつくりをしていますよね。眼鏡ケースよりも小さいですから、鞄に入れて持ち運べますし。洗いやすいですし。

デスクのペン立てにおいてありまして。
たまに、気が向いたときに、でたらめに吹いています。なにせ、何の音を出しているか、自分でもわからないからです。

要するに、ただ、ただ呼び笛をピィピィ鳴らしているようなものなのですが。
何故か、この息を吹いたり、吐いたり、という単純な作業がストレス発散になるので、やっているだけなのです。呼吸を整えてくれるような感じがあるから。

小学校の先生は何でも科目をやらされるらしいのですが、絶対に教師だけはめざさなくて正解でした。
よく、男の人でピアノやら、ギターやらが弾けたらモテると言われていますが。私は自分が皆目音楽がわからないので、楽器が演奏できるひとを格好いいと思ったことはまったくありません。これは運動ができる人もそうですね。エネルギッシュすぎる人が苦手というか。自分ができないから、その才能を理解できないふりをしてしまう自分のズルさを感じます。いけない考え方ですね。

ちなみに、実家にはピアニカもありましたが。
ちょっとなまぐさい感じがしましたので、さすがにこれは廃棄しました。

楽器をやるなら、やはり手で触るタイプの、太鼓か、トロイアングルがいいのかなと思った次第。
そういえば、小学校の頃の学芸会では、いつもカスタネットなどの単純なモノを鳴らす係だった覚えが。エレクトーンやピアノみたいな大型の据え付け楽器は、かならず物置き場にされてしまうので、よほどその道を究める覚悟がない限りはおススメしません、私は。処分に困ります、絶対に。

アンリ・マティスやカンディンスキーのようなモダンアーティストのなかには、色彩の調合を音のハーモニーに見立てて描いたという、共感覚の持ち主もいたようです。
色というものをぼたっとした厚塗りのものとしてとらえてしまがちな私には、色と色の交わりで音が聞こえてくるといったような、玄妙な体験をしたことはありませんでした。

そんな極度の音痴な私は、きょうも、仕事でストレスがたまったら、手あたり次第、ハーモニカを吹いて憂さ晴らしをしています。もちろん、近所に聞こえない時間帯を狙ってですが。音楽はやはり、自分で演奏するよりも、上手い誰かのものを聞くのがいちばんですね。

ちなみに、個人的に引いてみたいなと思う楽器は、和楽器の月琴(三味線みたいな弦楽器)です。
ゆらゆら、ぴぃいん、とするあの弛緩と緊張の微妙なバランスが。触覚優位なので、やはり、指先でつま弾いて音を出すのが好きですね。

ところで、日本には風鈴というすばらしい文化があります。
我が家にも廊下にありますが、あれを発明した方はとにかく素晴らしい。それから、仏教の木魚ですね。あの鐘の音はとにかく素晴らしい。清涼な空気がしみわたるのを感じます。

夏を涼しく過ごすためには、猛々しく素早いビートのサマーソングではなくて。
凛と広がるような金属の響き、あるいは、透明感のある歌声か、上品な楽器の奏楽がよいのではないかと思うわけですが。あいにく手持ちの音源に持ち合わせがなくて、自前のへたっぴな音楽でお茶を濁してしまう次第なのでした。

そういえば、昔、ネット上にあった川のせせらぎか、雨音の音源を聞いていたこともありましたが。
寝苦しい夜の、睡眠導入剤としてはよいのかもしれませんね。

暑さにうだる夏はどうしてもご機嫌ナナメになりがちで、ささいなことに苛つきます。
気分良く過ごすために、明るい翠に触れたり、水を浴びたり、和やかな音を聞いたり、あるいは香を焚いたりもして、感覚を研ぎ澄まし、上手にリフレッシュしたいですね。

(2022/07/23)







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