日本が誇る同人活動サークルの発表イベント、コミックマーケット。
東京五輪2020が催された今年の夏は、コロナ禍もあり中止に追い込まれたものの。2021年7月の今現在、年末から来年明けにまたいで開催が予定されているようです。
私はこうした大規模イベントには、ただの観客としてもご縁がなく、この先もないままでしょうけれども。稀にプロの作家さんがコミケで耳目を集めそうな頒布を行うらしいので、そのニュースはわりと楽しみにしています。過去には自分のお気に入り原作ジャンルでのサイドストーリー小説やら、資料集やらが発行されたりもして。あとで公式さんが御厚意で通販してくださったんですよね、今でも大切に保管しています。欲を言えば、商業出版で出してほしくはあったけれど。
さて、世の中にはコミケ参戦の歴戦の猛者で、同人誌制作のことならなんでも語れますの、経験豊富な方も多くて。ネット上ではそのあたりのお話がかなり散らばっています。未経験のことなので、面白く読ませていただいています。
同人誌を発表しイベントで頒布する二次創作活動をオフ活、ネット上でのみ発表をオン専というそうです。これもネット上で知りました。「温泉」て書かれていたから、なんのことだろうと思いましたら。
そこでオンライン専属字書きで十数年の私が、オフ活にはないその魅力を語ります。
オフ活そのものをディスる意図はありませんので、あしからず。
・締切りがない!
同人誌制作はもちろん、どこかのアニメ雑誌へのイラスト寄稿でも、締切がありますよね。とくに同人誌はスケジュール管理をしないと、印刷が間に合わない(困)なんてことになりがち。夏休みの宿題を最終日に仕上げるひと、気分の浮き沈みで進捗に波があるひと、完璧主義者にはこなせないです。
・お金がかからない!
ペイントソフトがどれぐらいかはわかり兼ねますが、字書きならば基本かからないです。私はWordで書いて、ブログに上げていますが。別にパソコンに標準装備のメモ帳ソフトとかでもいい。下手したら、スマホでぽちぽち打ち込んでいるひともいるでしょう。通信料さえ払えばOK! 紙代もインク代も不要! 要するに文字が書けたら、創作好きな小学生でもできますね。
・発行部数を気にしなくていい!
同人誌制作者さんで悩ましいのは、いくら刷るかということらしい。在庫はなるべく捌きたいもの。旬のジャンルにもよりけり。
・販売部数を気にしなくていい!
確定申告ができるぐらいに利益があがるサークルさんは全コミケ参加者のうち、一握りだそうですが。それでも費用をかけてはいる以上、多少なりとも回収したいものですよね。オンラインでの発表ならば閲覧数にあたるものですが、データ販売(そもそも二次創作をキンドルで販売したらマズいのだろうが)しているのでもない限りは実損があるわけではないので。
・校正や編集で悩まなくてもいい!
学生時代、もしくは趣味活動、あるいは職業として何らかの発行物を出したり、企画編集をしたことはあるならば、楽しい作業。でもね、校正ってあんがい辛いんです。なんどプリントアウトした版下をチェックしても誤字脱字が見つかる。色刷りが気に入らず顧客にリテイクされまくる。私は自作でやりたくはありません、金輪際。逆にプロの作家の出版物であまりに誤字脱字が多いと、憐憫と怒りとが混じった複雑な気分になります。
・在庫の管理をしなくてよし!
イベントで売れ残った同人誌は、ショップに委託販売するのが多いそう。お店に置いてもらえるならいいけれど、やはり手売りもしたいから次のイベントへも持ち越し。そのあいだは段ボールに入れたまま数箇月保管。部屋が空いていればいいけれど。本を断捨離したくなるタイプは絶対に無理ですね。そもそも本を買いすぎるのに、自分の本が部屋を占領するなんて耐えられない…。
・サークル間のお付き合いをしなくていい!
見聞したところによれば、イベント参加者どうしの交流がわりと大変らしいです。お互いの本を交換もしくは売買しあったり。大手サークルさんにご挨拶伺いに行ったり。売れ行きをお隣と比べて一喜一憂したり。
・読者の実像を知らなくていい!
熱心な買い手さんが差し入れしてくれたり、感想をわざわざ届けてくれたりするというサプライズ、非常に微笑ましいですが。相手が同じ同人活動者だとお返ししたり、感想を言いあったり。それが十を超えるとなかなか負担になります。絵描きさんはスケブを頼まれたりもするそうで、サービスも大変ですよね。
・身バレしなくていい!
サークル名もペンネーム名もかりそめの名前。なのにイベント会場で職場の同僚やら、知人やら、同級生やらが買いに来た…!なんてこともあるそう。というか、女性どうしだったらその体験談だけで一本ストーリーが描けそう…というか商業漫画でありそうな気がしますが。とにかく仮面の存在ぶりたいならオンライン一択。ただし売り子を置いて、自分はその場にいないという抜け道もあるそうです。
・後年、いくらでも加筆修正しほうだい!
これはデータだからできる利点。二次創作小説は後からいくらでも直したり、足したり、削ったりしやすい。未完のものを継ぎ合わせて一作にしたり、あるいは既発表の作を分割して別のタイトルにしたりもできます。実際に、私は最近、十年以上も前の掲載作をリライトして再掲載しました。
・思いついたら気ままに日曜作家気分!
サークルさんだとコミケ当落日に参加表明がないといろいろ心配されたりしそうですが、オン専のみはそもそも知名度がないので、創作を休止しようが、ジャンル移動しようが本人の好き勝手。ペースも自分のお好みで。趣味として気楽にやるならもってこい。
以上が利点ですが、その反面の悪所としては。
・オフ活同人制作者に下に見られやすい
お金をかけて二次創作をしていないから、本気度が足りないとか。自分で本を手掛けているから作家に近いとか。でもプロの作家って、版下をつくらんでもいいですし、編集さんとのネーム打ち合わせとか会議への企画書とかサンプルづくりとか面倒な段階を踏んでいて、同人制作とは違ったクオリティが求められますよね。
・ネタをコピーされやすい
昔、小説を画像形式にしてサイトへ投稿されている方を見かけましたが。絵にしても転載されかねないですし、勝手に加工されることもありえます。とくに絵師さんに言いたいですが、絵の中にサインかアカウント名かを書いておいてもらえると、真贋の判別に役立つのではないかと。小説もコピーされやすいけれど、あまりに大半を丸パクリしていたら検索ツールとかでバレるんじゃないでしょうか。
ありがちなのは、オン専の小説なりネタなりをオフ活の同人制作者が剽窃して発行するとか、でしょうが。いや、これ、どこかのオンライン上に転載でも同じかもしれませんが。その原物が加筆修正されたり別ものになったら、どうするんでしょうかね。いや、そんなケースを見たことも、自分が被害に遭ったこともないのですが。
ちなみに転載といえば、同人誌がわりとネット上で無断でダウンロードできるようにされてもいます。二次創作の同人誌といえども、その執筆者には著作権が発生しますので、内容がアレだろうと無断転載はマズいです。ただし、著作権法の改正で、その同人誌の違法性を周知、検証するために例示するのはアリなんだそうです。
なんだか話が脱線してきなくさいまとめになりましたが。
要するに、オンライン専属で活動しているのは、誰彼に気兼ねなく、SNS上での付き合いに慎重になれば、楽しく末永くできるということです。以上、ブログでぼっちの二次創作字書きのぼやきなのでした。
(2021/08/14)
【二次創作者、この厄介なディレッタント(まとめ)】
趣味で二次創作をしている人間が書いた、よしなしごとの目次頁です。
二次創作には旨みもあれば、毒もあるのですね…。