2クール物で毎回しっかりと視聴したTVアニメって、「リリカルなのはStrikerS」ぐらいでしたかね。それも、もう八年も前だったか。そして、ひさびさに2クールで毎回しっかりと観れたアニメだったのが「クロスアンジュ 天使と竜の輪舞」。もちろん声優さん目当てで。
水樹奈々、田村ゆかり、堀江由衣などなど、とにかく当代人気声優そろい踏み。しかも製作は「ガンダムSEED」「舞-HiMe」を手がけたサンライズのスタッフ。これだけでのブランドネームはあったし、毎回続きが気になる超展開。ただし、いささかやり過ぎ感のある下ネタさえ許容できれば、楽しめます。関俊彦さん演じるあのラスボス貴公子の所業がかなりゲスい。最終回までほんとに苦い笑いがこみあげる。正直、万人にはおすすめしたくないアニメです。第一話からかなり衝撃的なので…。うちでレヴューしてるのって、こんなのばっかですけど。
人類が超能力を使える文明化世界の、まれに生まれる遺伝子変異の無能力者ノーマたちが差別され隔離される排他主義のとある国。その国の王女に生まれながら、無能だと暴かれて流刑地に。そこは、同じような娘たちが命を削って、人類の安寧を脅かす巨大生物と死闘をくりひろげる戦場で…と第一話から、いうなれば、小公女セーラみたいな展開ですね。お姫さまから奴隷もしくは傭兵に突き落とされる下克上。
で、「この薄汚ねぇシンデレラ!」な主人公のアンジュリーゼ様ことアンジュの性格がとにかく、とにかく、とにかく、ひたすら酷いのが、この作品の持ち味です。差別する側からされる側に落ちたのに往生際が悪くて、でも、最後にはちゃんとしっかりした子になっていくんですけどね。そして、周囲にいる人もかなり個性的といいますか、身近にいたら嫌だなって思うほど、アクが強そうな面子ばっかりです。たぶん性格がまともだったのって、メイドとあのタスク青年だけでしょ。
前半部は、孤立しがちだった新入りのアンジュが仲間を得て、成長していくのがポイント。故郷に未練があった彼女が自分が生きる場所はもうここだけと腹を括った場面が印象的。敵対勢力が代わって、世界を混沌と破滅に導く真のラスボスの存在が明らかになり、敵味方入り乱れての最終決戦となります。
主人公だけでなく、群像劇としてもなかなか面白い。
努力家肌だが才能の無さにコンプレックスを抱えるサリア、母親に執着していたためにひねくれ者だったヒルダ、女子にありがちなめんどくさい友情でこじれていたロザリーとクリス、根は明るいけれど意外な正体があったヴィヴィアン、歪んだ母性本能を抱えていたエルシャ、前線を退いたものの過去のトラウマを引きずっているジル司令(アレクトラ)…などなど、わりあいキョーレツな女性陣の多いファンタジーですが、ヒーロー役ともいえるタスクは最後にいい活躍を見せてくれます。「神無月の巫女」の大神ソウマくん並みにいい奴です、ただしラッキースケベの頻度が…。少年少女たちの親(もしくは旧世代)の敵討ちの物語でもあるんですね。作中、五回以上も死んでいたうえに、あんなにえげつない台詞吐く色男ラスボスも珍しい。私のなかでは「京四郎と永遠の空」のカズヤ兄さんをかーるく越えてしまいました。
エピソードひとつひとつとると王道的なネタで、中盤にじゃっかんダレた部分があったのですが、クライマックスに向けて展開が加速してなかなか目が離せない。最終回はわりとあっさりしてましたね。そして、このアニメの最大の笑いどころって、なんといっても次回予告。第一話であの衝撃のラストの後に、あんなぶっ飛ばした予告聞いたらいやでも次回が気になります。ひとつ惜しいのは、後半戦のキーパーソンと期待されていたサラ姫の出番がイマイチだったこと。
最終回で、差別の根本となった能力差もなくなって、アンジュは妹のいる世界と和解するのかな、と思っていたのですが、あのもともとの地球だけは意外な未来になってましたね。何もかも水に流してめでたしにしない、差別や糾弾によって維持された社会は不安定だってことを残したかったのでしょうか。
「汚いリリカルなのは」だとか「汚いドッグデイズ」だとか「オトコが報われる神無月の巫女」だとか、変な異名がついていましたが、まあ、半分は当たってますね。私が知っている限りでは、水樹奈々さん主演のアニメって「バジリスク」とか「BLOOD-C」とか、ヒロインが酷い目に遭いすぎるのが多いんですが。紅白出場歌手で芸術選奨受賞もしてるのに、なんつー台詞言わせてるのかって脚本に言いたくなります。声優さんってすごいね。そして、なのはさんの声で「自分から友だちって言う奴がほんとの友だちのわけないだろ!」って言わせたシナリオも(笑)。これのあとで、現在絶賛放映中の「リリカルなのはViVId」を観るたびごとに、思い出して笑ってしまいますわ。
差別される側のノーマたちがなぜ女性ばかりなのか、その謎に最終回で主人公がしっかりと答えを出しているのが好感。なんちゃって百合テイストや、美少女動物園ぽいだけに見えるアニメなのかな、と思っていただけに。
水樹奈々、田村ゆかり、堀江由衣などなど、とにかく当代人気声優そろい踏み。しかも製作は「ガンダムSEED」「舞-HiMe」を手がけたサンライズのスタッフ。これだけでのブランドネームはあったし、毎回続きが気になる超展開。ただし、いささかやり過ぎ感のある下ネタさえ許容できれば、楽しめます。関俊彦さん演じるあのラスボス貴公子の所業がかなりゲスい。最終回までほんとに苦い笑いがこみあげる。正直、万人にはおすすめしたくないアニメです。第一話からかなり衝撃的なので…。うちでレヴューしてるのって、こんなのばっかですけど。
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人類が超能力を使える文明化世界の、まれに生まれる遺伝子変異の無能力者ノーマたちが差別され隔離される排他主義のとある国。その国の王女に生まれながら、無能だと暴かれて流刑地に。そこは、同じような娘たちが命を削って、人類の安寧を脅かす巨大生物と死闘をくりひろげる戦場で…と第一話から、いうなれば、小公女セーラみたいな展開ですね。お姫さまから奴隷もしくは傭兵に突き落とされる下克上。
で、「この薄汚ねぇシンデレラ!」な主人公のアンジュリーゼ様ことアンジュの性格がとにかく、とにかく、とにかく、ひたすら酷いのが、この作品の持ち味です。差別する側からされる側に落ちたのに往生際が悪くて、でも、最後にはちゃんとしっかりした子になっていくんですけどね。そして、周囲にいる人もかなり個性的といいますか、身近にいたら嫌だなって思うほど、アクが強そうな面子ばっかりです。たぶん性格がまともだったのって、メイドとあのタスク青年だけでしょ。
前半部は、孤立しがちだった新入りのアンジュが仲間を得て、成長していくのがポイント。故郷に未練があった彼女が自分が生きる場所はもうここだけと腹を括った場面が印象的。敵対勢力が代わって、世界を混沌と破滅に導く真のラスボスの存在が明らかになり、敵味方入り乱れての最終決戦となります。
主人公だけでなく、群像劇としてもなかなか面白い。
努力家肌だが才能の無さにコンプレックスを抱えるサリア、母親に執着していたためにひねくれ者だったヒルダ、女子にありがちなめんどくさい友情でこじれていたロザリーとクリス、根は明るいけれど意外な正体があったヴィヴィアン、歪んだ母性本能を抱えていたエルシャ、前線を退いたものの過去のトラウマを引きずっているジル司令(アレクトラ)…などなど、わりあいキョーレツな女性陣の多いファンタジーですが、ヒーロー役ともいえるタスクは最後にいい活躍を見せてくれます。「神無月の巫女」の大神ソウマくん並みにいい奴です、ただしラッキースケベの頻度が…。少年少女たちの親(もしくは旧世代)の敵討ちの物語でもあるんですね。作中、五回以上も死んでいたうえに、あんなにえげつない台詞吐く色男ラスボスも珍しい。私のなかでは「京四郎と永遠の空」のカズヤ兄さんをかーるく越えてしまいました。
エピソードひとつひとつとると王道的なネタで、中盤にじゃっかんダレた部分があったのですが、クライマックスに向けて展開が加速してなかなか目が離せない。最終回はわりとあっさりしてましたね。そして、このアニメの最大の笑いどころって、なんといっても次回予告。第一話であの衝撃のラストの後に、あんなぶっ飛ばした予告聞いたらいやでも次回が気になります。ひとつ惜しいのは、後半戦のキーパーソンと期待されていたサラ姫の出番がイマイチだったこと。
最終回で、差別の根本となった能力差もなくなって、アンジュは妹のいる世界と和解するのかな、と思っていたのですが、あのもともとの地球だけは意外な未来になってましたね。何もかも水に流してめでたしにしない、差別や糾弾によって維持された社会は不安定だってことを残したかったのでしょうか。
「汚いリリカルなのは」だとか「汚いドッグデイズ」だとか「オトコが報われる神無月の巫女」だとか、変な異名がついていましたが、まあ、半分は当たってますね。私が知っている限りでは、水樹奈々さん主演のアニメって「バジリスク」とか「BLOOD-C」とか、ヒロインが酷い目に遭いすぎるのが多いんですが。紅白出場歌手で芸術選奨受賞もしてるのに、なんつー台詞言わせてるのかって脚本に言いたくなります。声優さんってすごいね。そして、なのはさんの声で「自分から友だちって言う奴がほんとの友だちのわけないだろ!」って言わせたシナリオも(笑)。これのあとで、現在絶賛放映中の「リリカルなのはViVId」を観るたびごとに、思い出して笑ってしまいますわ。
差別される側のノーマたちがなぜ女性ばかりなのか、その謎に最終回で主人公がしっかりと答えを出しているのが好感。なんちゃって百合テイストや、美少女動物園ぽいだけに見えるアニメなのかな、と思っていただけに。