書店にいくと、出版社ごとに発売予定のコミックのリストが貼ってあったりしますよね。
岩波書店などは新刊案内の冊子がありますし、小説や漫画の折込チラシには他作品の広告があったりします。
もちろん、毎日読む新聞にも広告記事がある。新聞には日曜日に読書ガイドがあるので、新刊の話題本レヴューもチェックできます。以前、私は気になったレビューのある本は、読書サイトのお気に入りにどんどんブックマークしておきました。しかし、最近はそれすらやらなくなってしまいました。
10年前ほどまで、自分が二次創作しているあるアニメ作品のスピンオフ漫画が連載されていた雑誌をせっせと購入していましたが、それもいつのまにかやめてしまいました。
毎月読んで一喜一憂する暇があるなら、別のことに頭を使いたい、と考えてしまうからです。意に染まぬ展開になったときに気持ちが沈むのが、無駄な時間に思えてしまいます。
若い人が雑誌の発売日を心待ちにするのは、みんなと話題を共有したい、いちはやく新鮮な情報を提供してインフルエンサーになりたい、あるいは附録を入手したい、などなどのわくわく感があるからです。その楽しみは、お金や時間をいくらつぎ込んでも惜しくないものでした。毎月の何日がくるとあれが発売されるから、あと数箇月するとコミックスの続刊がでるからという見通しは、人生に弾みをつけてくれたものでした。
長じては、その雑誌が経済誌だったりにもなるのですが。
その経済誌にしても、一年のスパンでだいたい似たような企画ばかりをやっていたり、識者たる人の言葉につっこみたくなったり、私自身がいじわるな読者になってしまったせいで、長く追いかけたいほどではなくなってしまったのです。
そもそもSNSを活発にやらないせいで、趣味嗜好が合う人の発売情報などが皆目入らないし、書店も近くにないせいでぶらりとブラウジングもできないし、忙しくて図書館に行く暇もなくなってきたせいで試し読みもできないし、で新しい本に出合う期待感がありません。必要最低限の生活に必要な手帳やら、資格本やら、ビジネス本やらしか買わなくなり、それすらも使わずじまいで不良在庫にさせてしまうので、うんざりしてしまうわけです。
しかも、人生の残り年数などを考えてしまうと。
ふと、もうくだらない本に付き合って怒ったり悲しんだりするくらいなら、いつもの定番の、マイ古典だけを枕にしていい夢見続けた方がいいだろう、という保守的な思考になってしまいます。以前はたとえば、芥川賞やら直木賞やらの小説も気になっていたのですが、いまはほとんど興味もないですね。
数をこなせばいいと思っていたのは、好奇心が旺盛だったから。
レビューするのが楽しかったから。新しい物語にハマるのがおもしろかったから。でも、本を読んでも何も変わらないと考えてしまう自分は、もう脳が若くないのかもしれません。冒険するのが怖いので、なるべく手持ちの、少ない良書だけをじっくり愛したうえで生きていこうと思うわけです。
読書の秋だからといって、本が好きだと思うなよ(目次)
本が売れないという叫びがある。しかし、本は買いたくないという抵抗勢力もある。
読者と著者とは、いつも平行線です。悲しいですね。