陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

魔法少女リリカルなのはStrikerS 第十八話「翼、ふたたび」(後)

2007-08-18 | 感想・二次創作──魔法少女リリカルなのは



タイトルの翼とは、眠れる戦艦アースラのこと。
地上本部を破壊された時空管理局。指揮のとれない本部をよそに、機動六課は拠点を空にうつし、反撃の機を窺うことに。
さしづめ国会がテロに遭って機能不全に陥った日本政府にかわって、自衛隊がひとり歩きしているといった状態でしょうか。いつでも、ものをいうのは武力。しかし人の数と歴史にあぐらをかく権力よりも、人知を超えた魔力よりも、ひとりの生身の人間の想いが、生きた言葉がどれほど強いか。この回ではそれが証明されています。

巨大な希望の箱舟をふたたび起こす決意をする、八神はやて部隊長。
はやてちゃんといえば、今回またも株を上げましたね。
ほんとうならば、深手を負ったシャマルやザフィーラ、リインを見舞いたかったでしょうに、そうしない。部隊長として事後処理をとりしきる責務があるから。

はやてはひとり、レジアス中将の秘書官とコンタクトをとり、奇襲の裏側に隠された中将の意図に気づいて詰め寄ります。
さすが部隊長、頭脳派です。秘書官の中傷にも動じない。闇の書事件で十年間も不当な汚名(はやて自らが延命のために騎士たちに一般人を襲わせていたと誤解されている)を着せられている彼女。作中では良き友人カリムやアクオスの存在や、隊員たちから慕われていることもあってあまり表沙汰にはなっていないですが、それとなく、はやてが先頭だって上層部からつよい風当たりをうけていることが判明します。

しかし、彼女は過去を拒まない。罪を認めないのではなく、受け入れるために。それを否定したら、騎士たちの想いを裏切ることになるから。自由に動かせる足とひきかえに、はやては騎士たちともに罪を詫びる生き方をえらぶ。だからといって咎人として卑下して生きてるわけでもない。これは、一期で敵方として現れたフェイトちゃんについても同様です。
フェイトも、はやても不可抗力とはいえ、身近なひとへの想いだけに突き動かされて悪に手を染めてしまった。けれど、彼女たちは、それを後悔していない。明日をすばらしく生きることで、汚れた昨日が覆ると信じているからです。

「自分と闇の書の罪、否定はしません。そやけど、隠された真実があるなら、それを陽の当たる場所にもってくる。それが今の私の仕事です」

はやての尋問に表情を険しくした秘書官は、なにかを隠すかのように窓辺に立ち、黄昏どきの光を背中で遮ります。
しかし深く廊下に射し込んでいる落とし陽は、はやてちゃんの顔を影で覆わず、ひときわひかり輝かせるのです。
なのはやフェイトと同じ青空を自由に舞うことができず、基本的に指揮官として後衛に甘んじなければならないはやては、いつも薄暗い執務室で事態を見据え、しきっていました。しかし今の彼女ほど、ひとりの人間として眩しくて、つよくて頼もしい存在はないように思えます。

二期と同様、終盤までは本格的にバトル参戦しなさそうですが(リミッターかけられてますし)、このひとの足が動きだすときには、すごく世界は重い事態を抱えているんだなと。なのフェは別格として、いちばん好きなキャラなので、活躍がはやくみたいです。こんな良心的な関西弁キャラ、はじめてだわ(惚ッ)威圧的にきこえるイントネーションの言葉を喋っているのに、外見地味だし賢しらだったところがないのが好感。植田佳奈嬢でこういった役柄は私にとっては、新鮮でした。なのはのような拳で会話するような派手さや明るさには欠けますが、冷静で物事を大局的にみれる彼女の良さが、よく表れた回でした。なのはさんが泣き崩れたのとは対照的でしたね(そういう脆いところもある、なのはさんも大好きですが(笑))

ところで十六話でリインとヴィータのユニゾンがありましたけど、最終決戦でははやてちゃんとリインがふたたび融合しちゃうのかな?前作のリインフォースって、かなりワイルドな感じだったので、今期のちびキャラのリインさんはちょっと拍子抜け。いや、可愛くてよいのですけど(笑)

しかし、つくづくヴィヴィオは、あのふたりが接近する契機づくりになっててよいキャラです。中の人がアレでなければ(まだいうか)
「聖王の器」ヴィヴィオちゃん、はたしてどうなっちゃうのでしょうね。
ドクターのおぞましい野望に、おびえるヴィヴィオ。最後の悲鳴が痛々しいです。

ユーノ君、いい叫び声です
(その名で呼ぶな)



さらわれた銀ねえの安否も心配です。ぜったいおかしな脳内改造されてそうだ。妙ちくりんな妄想モノローグが消えるような洗脳だったら大歓迎なんですが、銀ねえは元がまともなんで無理ですね。

それにしても、この物語は「罪を憎んで、人を憎まず」路線が徹底しているのですが、今期のマッドサイエンティストとヒゲ達磨に限ってはありえないような。骨も残さないぐらいにお仕置きしちゃってもいいと思います(酷ッ)というか、ヴィヴィオの件でブチ切れたなのはさんなら本気でやりそう…(怖ッ)

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