よくお世話になっている役所の担当者さんが、今年から移動になりました。
後任者は若手のとても誠実な方。どうも、前任者がコロナ禍のどさくさであまり指導できなかったのか、いまだ不慣れな感じがします。でも、一生懸命にやっているひとをみて、あまり急かすことも、負担をかけることもできず…、もやもやします。
仕事に引継ぎに関する苦労は、中途採用での転職経験の多い私にもあるある話です。
前任者が円満に定年退職ならばいい。けれど、なんらかの禍根があって、離職せざるを得ない場合は…。後任者はたいがいその犠牲になってしまいます。
指示が不明確。マニュアルがない、あるいは誤っている。勝手に休まれたり、どこへ行ったか分からない。必要なデータやファイルの置き場を教えてくれない。質問に答えない。絶対に消化できない業務量に加え、雑用まで押し付け。そして、新人が困っていても見ぬふり。他の社員を抱き込んで、誹謗中傷。
私は中途採用された職場を数箇月で離職したことがあります。
私にも至らなさはあったでしょうが、あまりの残業の多さ、前任者の指導の足りなさ、周囲のサポート不全が遠因としかいいようがありませんでした。あとで聞けば、私以前にすでに三か月で三人も逃げたと。こうした職場では、すで新人を消耗品のように擦り切れるまで扱って、もたなかったら捨てる、という考えが定着しています。もう、教えることに飽きているんですね。みんな、自分の業務で手一杯で新人のフォローをしてくれない。いくら、他社でキャリアがあろうが、その会社ではずぶの素人。だからこそ、控えめに礼儀正しくしているのに、その組織だけでしか通じないような屁理屈で、マウントをとってくる。
じつは、こうした新人を育てられない先輩や上司も、もともときちんと指導されていないことが多いもの。
前任者が逃げて、マニュアルや過去の書類を見ながらなんとか見様見真似で身に着けたが精神的に疲弊。加えて、経営者はいつも逃げ腰で社内トラブルなどに目をつぶる。不平不満の塊が、「甘やかされている」ように見える新人への八つ当たりになってもしかたありません。
前任者がいなくなって、さあ自分のスタイルを築き上げようと思っても。
社内に前任者と仲が良かった抵抗勢力がいたりしたら、最悪。なにかと仕事ができた古株の○○さんならこうしてくれたのに、と比較されます。
新人は、ほんとうにあちこちから監視され、勝手に評価の対象にされ、頑張っているのに仕事ができないレッテル張りをされて除け者にされてしまいます。どうでもいい雑用を押し付けられたり、仕事の優先順位があるのに、自分の依頼を先に通せとゴリ押ししてきたり、教えられてもいないことをできないのとなじらられたり。自分のペースを乱されがちで、毎日腹立たしいことばかり。休日もこころが休まることがありません。
私の場合もこれに近いことをされてうんざりしているのですが。
救いなのは、直属の上司が温厚で、あなたの好きなようにやりなさいよ、と見守ってくれることです。
ちなみに、私は自分が新人さんへ仕事の引継ぎをする立場になったときは。
パソコンで清書した読みやすいマニュアルをつくって配り、挨拶は欠かさず、誰かに対する愚痴はベテラン同士のみで共有しあうようにしました。お節介に教え込まず、かといって不明点をあやふやにしない。これはとても難しいことなんですね。
若い人は育てにくいというのは、老いた者の我がままです。
昔のように、自分の背中を見てついてこい、怒鳴ってしかりつけてでは駄目なのです。若い人を仕事でいじめたら、いずれ誰も働かなくなって、年金財政が破綻したり、老いた者を苦しめることに気づいていませんよね。自分ばかり楽をすることばかり考えると、いつかしっぺ返しが来ますよね。
教える方も、教わる方も、とても困っております。やる気があるのに空回り、思いやりがあるのに指導上のパワハラになる。昨今の会社事情、ひと一人育てるのも苦労します。これは職場のみならず、お子さんのいる、あるいは家事を手伝ってもらう旦那さん教育にも言えることですね…。
台風が発生する日に、こんな苛立つことを書くのは、気圧のせいで神経が高ぶっているのかもしれません。
(2020/09/05)