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K:Knot

K:Knot

結び目である。

Kindにしようかと思っていたら、「ギャングオブニューヨーク」を観ていてこの言葉が出てきて、
最近考えていることにはまるから、こちらに変えました。

ダニエル・デイ・リュイスは好きで「父の祈りを」「マイレフトフット」「ラストオブモヒカン」とかは観てたんですが、
バイクも復活し、ビデオ1の会員証が部屋を整理すると出てきたので、上述のディカプリォがでているものと「存在の耐えられない軽さ」を借りました。
ジュリエット・ビノシュが超、蝶、可愛かった。
「トリコロール・青の愛」から好きになったんだけど、若いビノシュが超可愛い。
チークなのかホントにほっぺが赤いのかはわかんないんだけど、ああいう感じは惚れてしまう。
島崎藤村の気持ちが少しは分かると言うものだ。

あー、久しぶりに思い切り脱線しました。

最近分かったことには、ぼくの演出方法は、若干変わっていて、相当細かいそうです。
ほんとかなあ、と思いつつ、振り返るのですが、ここんとこずっとそのことを考えていて、演出の種類ということでKindにしようかと思っていました。

でも、このKnotが出てきて、ちょうど僕の細かさを説明できるな、と思ったのです。

ようは、普通は俳優さんにこんな感じと伝えたら、俳優さんに自由にやってもらって、そしてそれにまた注文をしていく、
こういう演出家さんが多いんだが、松浦君は細かい、とのことです。

だから覚えきれない最初からは、と。

実際、鈴木裕美さんの演出ワークショップを演劇大学で受けたときに言っておられたことで、
3つも4つものダメ出しは俳優さんは出来ないからしちゃいけない、と言われてました。

ただね、僕の場合はちょっと違っていて、
『動きの台本』を作っている感じなのです。

実際どういうところが細かいかって言うと、いわゆるミザンス(舞台上での動き)だけでなく、立ったり座ったり、
額に手を当てる癖だとか、音を出してとか、
そしてこれが細かく思われる原因なんだろうけれど、「・・・・・・」があるとほとんど動きをつけていくんです。

あと、これは映画とかの影響かもですが、お客さんの頭に残る残像であるとか、動きの複線であるとか
いわゆる「デジャブ(既視感)」を人工的に作り出したり、視線誘導を考えたりします。

おまけに会場が狭いから、見切れとか、できるだけ俳優の配置を転換したりとか。
こういうことを最初から盛り込んじゃってるから、たぶん細かいんでしょうね。

でもですね。
僕も最近思い出してきて、昔よく言ってたこととかを。
「演劇はルールの中で行う子供の遊びだ」と。
「台詞っていうのは、それを言わなきゃいけないっていうルールで、そこにそれを立ってから言うとか、座って言うとか、折り紙を折りながら言うとかっていうルールが増えていくだけで、俳優の仕事はそっからそのルールの範囲内でどれだけすごいことできるかです」
っていうものですね。

これは、僕にとっては演出家としての作家性なわけです。
あんまり残像とか視線誘導とか考えない人もいるかもしれないんですけども、やっぱりそういう観てて飽きない(せめて動きだけでも)ものにしたい、っていうのはあるし、そのほかでも立って言う台詞と座って言う台詞では、全然変わってきますよね。

もちろん場合によるけれども、立ってのほうが緊張していたりする部分があるし、座って言うほうがリラックスしている。
何かをやらせながら台詞を言ってもらう場合は、なんだか(いわゆる)くさく聞こえたり、まじめすぎたりしているのをナチュラルにしたいときだったりします。
また、よくその台詞はうごきをやってから言って、というダメ出しをしていましたけど、
これは、その台詞を聞かせたいときがほとんどです。
やっぱり人間の眼は動くものに視線が行くようになっているので、そちらに気がいってしまいがちなので。

つまり、こういう動きをつけておくことで、結び目をつくっているのかな、と思うのです。
鬼ごっこをやるにしても、学校だと広すぎるけど、二階までってするとか、そういう範囲を決めたり、
人間の身体って言うのは、座っているのに立っている様に言うことは物理的に不可能なわけで、そういう方向付けを身体面でしているのかな、と思ったのです。

だから、今すぐ出来なくてもその「動きの台本」をつくっておくことで、僕の意図と全然違うものは出来上がらないし、
全く観てて面白みのないものにはならないのかな、と。

もうちょっとひどい?言い方というか、演出家よりの言葉で言えば、
贅沢にも俳優を使って絵コンテをかいてるのかな、と。

もちろん僕はフィルムメーカーではないので、絵コンテというと違うんですけども、
台本という作家が作った妄想を演出家として形にしていく作業をさせてもらっていると。

僕の場合、指示は細かいんですけど、俳優さんがいないと、とたんに何も浮かばなくなるんです。
むりやり浮かばせたものは現場では使えないアイデアが多い。
もちろん使えるものもあるんですけどね。

今回は恋愛もので、若干ラブシーンめいたものもあるから、恋愛映画を観てラブシーンを研究したりしました。(実体験がほとんどないんで・・・)

「ゴースト」とか「タイタニック」(←これはまだなんですけど)とか昔見てよかった恋愛映画とか、「冬のソナタ」とかの韓国映画・ドラマとかです。

ただ、こうした動きの台本の、その先に、どんなものを産み出すか、これもまた演出家と俳優との仕事で、僕は何をしないといかんのか、みたいな今考えても仕方のないことを考え出しそうになり、好きな俳優さんの映画でも観るか、ということで上記の雑談になったわけです。

俳優の中に、そして芝居の大きな太い幹自体に結び目をつけて、大枠を作っていっているというのが、今の稽古場です。

以上、雑談から始まった「チェロとケチャップ」(チケット発売中!!)稽古場リポートでした。
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