小学生だった時分のことを思い出すように、村長さんは親指と人差し指で○を作った。麓から山のてっぺんまで、行者さんらの荷物を担いでは、小遣いを稼ぐのだ。村の子供にとっては、唯一の収入源だった。
それから50年近く、山はいまも信仰の山だが、栄枯盛衰を経験してきた。金もざくざく入ったが、時代の読み間違いがもとで、あっという間に蓄えた貯金も底をついた。村はその尻ぬぐいの最中だったが、毎日顔をしかめて暮らすわけではない。
「死ぬわけじゃないしね・・・」
そう、死ぬわけじゃない。しかし、これから町や村には、確実に試練が押し寄せる。もはや「何々頼み」の世の中ではなくなった。ひとりひとりが問われる。
久しぶりに雪が舞う村はいま、自立と自律が同時に問われている。
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