Re-Set by yoshioka ko

■怒る「権利」

 知事はどこを向いているのか。というよりも県民の安全を一身に背負っているはずの知事が、こんな発言をするとは驚きだ。広島県で起きた。

《以下引用》
 「山口県岩国市の米海兵隊岩国基地所属の海兵隊員4人が広島市内で10代後半の日本人女性に集団で乱暴したとされる事件を受けて、広島県の藤田雄山知事が「盛り場でうろうろしている未成年もどうかと思う」などと発言していたことが21日、分かった」(10月21日『産経新聞』)《引用ここまで》

 米兵に未成年の女性が乱暴をされた。場所がどこであれ、時間が何時であれ、この事実に知事は発言すべきだった。それを盛り場をうろうろしている未成年も悪い、というのだ。

 原爆を受けた広島の県知事とは思えない発言だ。知事の発言を広島に投下された原爆に例えると、「原爆を落とされるような日本もどうかと思う」といったのと同じことだ。原爆の由来を考えると、もし知事が原爆投下に対してこんな発言をしたとすれば、決して広島県民は許さないだろう。
 
 この手の発言がなぜまかり通るような世の中になってしまったのだろうか。今回広島で起きた未成年女性の乱暴事件に対する知事の発言を言い換えれば、「自己責任」に行き着く。盛り場に深夜うろうろする以上、なにが起きてもそれは「自己責任」というものだろう、事件は仕方なかった、という発想がまずあって、その上で、女性を乱暴するとはけしからん、という考えだ。

 知事発言に広島県民はどんどん怒っていい。県議会でも問題にすればいい。原爆の被害を受けた広島県民ならではの「怒る権利」ではないか。

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