本来ならば、こんなに長引くはずの問題ではなかったはずだ。耐震偽装や米軍再編問題、あるいはイラク撤退や防衛施設庁の官製談合など、国民にとってもっと大事な課題があるにもかかわらず、何という対応のまずさなのだろう。民主党という党の自浄能力の欠如も極まれり、である。
それに、である。
《以下引用》
「委員会で、十七年ぶりに質問に立ったという綿貫元衆院議長の舌鋒(ぜっぽう)は鋭かった。
綿貫氏 「潔く自らの出処進退を決断すべきだ」
永田氏 「自分で傷つけた国会や政治の権威を取り戻す作業に全力を尽くす。私の人生をかけた判断だ」
綿貫氏は、国会の権威と品格が損なわれたと辞職を迫ったが、永田氏は哀願調でかわした。これには綿貫氏も「深く反省しているとは思えない」と苦い表情をみせた」(3月25日『産経新聞』)《引用ここまで》
永田議員自身、信を失わしめたことに対しては、その信を回復する努力をすることでけじめをつけたい、という。一見理屈としては通っているかに見える。が、しかしである。そういう努力は必要だとしても、それは議員という身分に寄りかかったままで行うべきものではない。
ここはやはり信を失わしめた責任を取っていったんは身を引き、けじめをつけた上で、その後に信を回復する努力をすべきである。それが「侍」「男の美学」などとはいわないが、身の処し方というものではなかろうか、と私だったら思う。
ということで(といっても直接関係はありませんが)お隣の国韓国の政治状況に関する続き物です。題して『検証・韓国反米感情の深層』の第十回。
今回は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の対米外交に焦点を当てます。
■不満もあらわなアメリカの対韓国観
韓国ギャラップがアメリカを好きか嫌いかを問うた世論調査(2003年1月)によると、アメリカを好きだ、と答えた韓国人は37%、嫌い、という答えは50%で、韓国人の好悪感は大きく逆転してしまったという。
第16代韓国大統領に就任した盧武鉉氏はこの数字を気にしてか就任演説で、アメリカとはこれまで通り協調してやっていく、と述べ、次のように宣言した。
「わが国がアメリカと同盟を結んで50周年になる。この同盟関係はわれわれの安保と経済発展に大きく寄与してきた。わが国民はこれに深く感謝している。これからも同盟関係を大事に発展させていく。互恵平等の関係へとさらに成熟させていく・・・・」
だが、韓国に吹き荒れていた〈反米感情〉に対して、アメリカが抱いていた懸念は盧武鉉大統領演説で払拭されるようなものではなかった。
「議員政策フォーラムでの主な議題は北朝鮮の核問題でしたが、連日、女子中学生が轢き殺された事件をきっかけにしたろうそくデモがあり、アメリカ軍は謝罪せよ、という叫びが上がっていました。大統領候補だった盧武鉉もそのときはアメリカとの同盟関係を見直す、と声を大に訴えていました」
大統領選のさなかにアメリカで開かれた「韓米議員政策フォーラム」に参加した金大中派の民主党議員咸承熙議員が振り返る。
同盟関係を見直すというソウル発のニュースは、アメリカの新聞にも掲載された。しかし訪米団は、このような反米感情は一時的なものであり国民全体のものではない、と何度も何度も説明をしたという。
「なぜならば50年間、アメリカとの同盟関係は血で堅く結ばれたものであり、国家安保ばかりか経済発展にとっても東北アジアの平和にとっても重要だと、これが韓国政府の立場だと、私たちはそう主張したんです。しかしアメリカ側の疑念は晴れなかったですね」 アメリカ側議員が持った疑念はどういうものだったのか、議員が続ける。
「ひとことでいえば失望と裏切られたという感情でしょうか。アメリカ民主党の下院院内総務はこんな話をしました。もし沖縄の在日米軍が犯罪を起こしたとき地域住民が集団でデモをするというのは理解できる。しかし問題は、政府がどのような態度、姿勢を取るかなのだ」
沖縄で起きた少女暴行事件のとき、日本政府は同盟関係を見直すとは決していわなかった。だが韓国で起きた少女轢殺事件に対して韓国政府はアメリカとの同盟関係を見直す、とはっきり言明した。そのことを指していた。
「もちろん直接的な表現はしませんが、新政権に対する期待感というよりも憂慮の念が滲み出でた言葉だったと思いましたね」
ドナルド・ラムズフェルト国防長官は、もし韓国側がアメリカ軍はもういらない、というなら駐屯しない、そのほうがアメリカ国民も喜ぶだろう、と反米感情に対する明らかな不満を表明したという。
「いまのブッシュ政権は北朝鮮に全く信用を置いていません。むしろ悪の枢軸国呼ばわりするように犯罪集団だと見なしています。ですから盧武鉉政権が進める対北朝鮮政策の根幹を対話にだけ求めるのは、逆に韓国民を惑わすだけであり、北朝鮮に付けいる隙を与えるだけだ、と見ているのです」(続く)
最新の画像もっと見る
最近の「韓国政治」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事