Re-Set by yoshioka ko

■歴史は誰のもの?

 歴史は、その気になれば書き換えることも可能だ。そこには、真摯に出来事を見つめる視線が必要だ。そんなことを気づかされる記事が目についた。

《以下引用》
 韓国国防省の過去史真相究明委員会は12日、70~80年代に同省傘下機関の国軍保安司令部(当時)が、韓国に留学した在日韓国人らを捜査した北朝鮮スパイ容疑事件について、不法拘禁や拷問などの違法行為があったと発表した。委員会は国防省に対し、再発防止と国民への謝罪を求めた。委員会によれば、同司令部は65年の日韓国交正常化を契機に、北朝鮮が日本経由でスパイを韓国に送り込む可能性があると判断。韓国に来た在日韓国人や、日本に親類を持つ韓国人など、日本と関係を持った韓国人を対象に計73件のスパイ容疑事件を扱った」(11月12日『朝日新聞』)《引用ここまで》

 韓国の70年代は「軍事独裁時代」と呼ばれた。南北分断という現実の中で、民主化よりも経済成長という路線を走った韓国では、言論の自由や集会の自由、そしてなによりも人権を全く顧慮しない軍人らによる政治の前で、人々の声はKCIAや安企部などと呼ばれた情報部の建物の中に消えた。

 在日韓国人の若者たちもそのようなスパイ事件に巻き込まれた。中には死刑判決を受けたり、取調中にひどい拷問をされた、などさまざまな情報も駆けめぐったが、真偽のほどを確かめることはできなかった。

 そういう事実をいまの盧武鉉政権は見つめなおし、名誉回復を図った。当然といえば当然のことだが、このスパイ事件も含め、正しい歴史に向かい合うという「勇気」を讃えたい。歴史は一政権のものではなく、国民のものだからだ。

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