新しく設置される国連人権理事会理事国47カ国が決まった。日本も当選したが、このほか中国やサウジアラビアも選ばれた。中東の民主化がなかなか進まないのは、極めて封建的な世襲制の王室が権力を握っているからだが、かといってイラクのように、アメリカ風の民主化を押しつけてもうまくいかないことは現実を見れば一目瞭然だ。結局はその国の国民が目覚めるしかない。
中国が当選したことも、驚きといえば驚きではある。昨日も書いたが、中国は2年後の北京オリンピックを機に、国際社会にふさわしい地位を占めようと考えている。そのためには、その国際社会から批判を浴びてきた自国の人権問題や、情報開示など、民主化の要件とされることについては然るべき手だてを講じなければならない。
しかし今回人権理事国に選ばれたことで、「わが国は人権を尊重している国である」という建て前を手にしたことになる。問題は中身である。これから中国共産党はどのような人権状況を見せてくれるのだろうか。
理事国候補だったイランとイラクは落選した。そのイラク。相変わらずの自爆テロで北部のタルアファルという町では市民17人が死亡した。全土では41人の死亡が確認された、という。
開戦から今日まで、イラク市民の死者は少なくて3万5119人、最大で3万9296人(「IRAQ BODY ACOUNT」)。一方アメリカ兵の死者は2千429人(国防総省発表)。失われた大義の中で続けられる戦争と、それによって始まっている内戦、なんとも虚しい死者の数ではないか。
何日か前のテレビでも紹介していた出来事。演出家の蜷川幸雄さんが率いる55歳以上の演劇集団「さいたまゴールド・シアター」が誕生した。記事によると、選ばれた47人の平均年齢は66・6歳。元会社員もいれば主婦もいるという素人集団。いわば人生という年輪を刻んできた人たちで作る舞台を目指すのだ、という。
来春の本舞台を目標にスタートした、という記事を読みながら、ひらめくものがあった。本来ならば、演劇は演出家のかけ声の下にある。だがこの試みのように、それぞれの人生経験をフルに出し合って、そこから何か新しいものを作り出すことへの楽しみのようなことだ。蜷川演出は、これまでの蜷川さんの演劇とは違った世界を見せてくれるのではなかろうか。楽しみである。
もうひとつ。『歴史認識連続インタビュー』という連載企画がある。小泉さんの靖国参拝と、竹島問題をめぐって盧武鉉さんが発表した対日政策特別談話を前にして、今日の紙面に登場した漢陽大学の教授は「民族主義を超えた歴史を描き出すことが必要だ」という。そのためにはそれぞれの歴史において「反省の場」を作ることではないか、と説く。
小泉さんが詣る靖国神社について教授はいう。
「靖国神社の遊就館を見ると、もう一度同じような危機があれば、おまえたちは呼び出されるということを告げている。靖国は反省の場ではない」・・・。
今日の夕刊を読んで感じたことのいくつか、です。
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