わたしが時折立ち寄る道の駅は、埼玉県にある「おかべ」だが、いつ立ち寄ってもそこは人で賑わっている。バイパス沿いにあって地の利もいいのだろう。そればかりか、農産物を中心とした品ぞろいがいいということもあるに違いない。
そもそも道の駅は、地域の文化や名所、特産品などを活用しながら①休憩機能②情報発信機能③地域の連係機能、という三つの機能を絡み合わせて、まちの個性を出そう、ということで始まった。現在では全国で830箇所を数える。ある意味地域興しの筆頭株といってもいい。
そしてこんなしたたかな沖縄・道の駅の発想もある。
《以下引用》
「米軍嘉手納基地を一望できる町屋良の道の駅かでな展望場に二十五日、カフェ&パーラー「SKY LOUNGE KADENA」が開店した。同施設を訪れる年間約五十万人の観光客や修学旅行生らをターゲットに、多くの集客が期待されている。開店に際して、地元嘉手納町から十人を雇用したという」(1月26日『沖縄タイムズ』)《引用個々まで》
ちょっと古い話になるが、ベトナム戦争の時には嘉手納基地からは連日戦略爆撃機B-52が飛び立ち、北ベトナム(当時)爆撃を繰り返していた。
当時わたしは、この沖縄に住んでいて、しょっちゅう嘉手納基地に出かけては、アメリカ軍のMPに見つからないように草むらに隠れながら、飛び立つB-52を撮影したものだった。
その嘉手納基地を一望できる場所がある。「安保の丘」と呼ばれている小高い丘のような場所だが、沖縄タイムスが伝える「道の駅かでな」は、その丘とは県道を挟んで反対側にできたのだろう、と推測する。
3,4階建ての建物であれば、その屋上からでも基地は一望できる。アメリカ軍の戦闘機や輸送機などの離発着を見るだけでも、嘉手納というまちがいかに基地と隣接してあり、その騒音に悩まされているのかが分かるはずだ。
そしてこの基地を見に来る観光客や修学旅行生が年間50万人というから、すごい。そこを見込んで行政(もしくは第三セクター)が道の駅を作って、利益を上げようというのだから、したたかといわずしてなんといおう。
嘉手納町のこの道の駅は、冒頭に掲げた道の駅の3機能のうち、情報発信機能を遺憾なく発揮する目的で作ったのではないかと思う。地域の文化、名所、特産品のいずれもが嘉手納基地を抜きにしては語れない嘉手納町の実情を考えれば、基地とは何かを考えさせられる場所で、なにがしかのお金を落とす休憩所を作った意味は大きい。これも道の駅、である。
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