Re-Set by yoshioka ko

■ほぞを噛む前に

 ここ数日のニュースをネット上で探していたら、ここのところ落ち着いた観のあった「鳥インフルエンザ」に関するこんなニュースがあった。

《以下引用》
 「米ノースカロライナ州ローリー(AP) 多数の遺体を搬送するダンプカー、鉄条網で隔離された住宅地――。米ABCテレビはこのほど、鳥インフルエンザが米国を襲う日を描いたテレビドラマ「Fatal Contact:Bird Flu in America」を放映した。米各地では番組終了後、州保健当局などに、鳥インフルエンザに関する問い合わせが相次いだ。
 ドラマは、アジアからアフリカ、欧州へと広がった鳥インフルエンザウイルスが人から人へ感染する突然変異を起こし、米国に上陸するという設定。今月9日夜、全米で放映された。ノースカロライナ州の消費者ホットラインには、直後の約2時間で「どうしたら家族を守れるか」「鳥肉を食べても大丈夫か」といった電話が23件寄せられた。インターネットでの問い合わせに対応したデブリン州保健長官は「この機会を利用して、鳥インフルエンザをめぐる正しい知識の普及に努めたい」と語った」(5月14日『CNN』)《引用ここまで》

 確か去年秋だったと思うが、ブッシュ大統領は、もしアメリカで鳥インフルエンザ(ヒト→ヒト感染)が発生したら、その地域を隔離するために州兵や軍隊を派遣する、と発表した。防疫に対する覚悟のほどを感じたものだが、良かったことにまだ事態はそこまで進んではいない。
 
 しかし、パニックを引き起こしかねないこの手のドラマやニュースは、いうまでもないが、啓蒙ばかりではない。批判も寄せられる。CNNによると、やはり、食肉業界からは「無責任なドラマだ」とする声が上がっている、という。いわゆる「風評被害」である。

 鳥インフルエンザの脅威は本当に落ち着いたのだろうか。そう思っていたら、とんでもない記事が目に止まった。 

《以下引用》
 「インドネシア保健省は15日、北スマトラ州タナ・カロ県で鳥インフルエンザの疑いにより6人が相次いで死亡したことを明らかにした。死亡したのは隣同士に暮らす同じ一族に属す6人。これを受け、世界保健機関(WHO)が調査に乗り出した。感染が確認されれば、同国での感染死者は31人になる」(5月17日『日本経済新聞』)《引用ここまで》

 猛威といっていいかどうか、いまもって「H5N1」ウィルスは相当の毒性を持って徘徊しているのだ。

 世界保健機構(WHO)が5月14日現在でまとめた年ごとの数字によれば、2003年の確定症例者は3人、うち死亡者は3人。04年では症例者が46人。死亡者は32人。05年は症例者が95人。死亡者41人。そして06年、今年はこの5月14日までで、症例者64人、死亡者39人。年々確実に増えていることがわかる。

 そればかりではない。WHOの数字を読み解くと、これまでの確定症例者が208人、うち死亡者は115人。つまり罹患すれば半分以上は助からない、というかなり恐ろしいウィルスだ、ということがわかる。

 そう考えれば、アメリカのABCが作ったドラマというものは、かなりリアリティーを持って迫って来る。「災いは忘れたころにやってくる」、ということわざにほぞを噛む前の警鐘かも知れない。

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