Re-Set by yoshioka ko

■目くらましの危険性?

 二人の総裁候補が東京から大阪、そして香川を駆けめぐる。実質的にはともかく国会開会中ということもあって、ウィークデイの選挙運動を自粛している分、候補者は「独自性」を出そうと懸命だが、何かおかしい。

《以下引用》
 「与謝野馨官房長官は18日午前の記者会見で、25日に安倍内閣が総辞職し、衆参両院で首相の指名選挙が行われるとの見通しを示した。新内閣は同日中に発足する方向だ」(9月18日『時事通信』)

 何がおかしいか?この選挙はあくまで自民党の総裁を選ぶものだ。もちろん議院内閣制だから、第一党の総裁になった人物が総理大臣になるのはその通り。だとすれば、福田さんは小泉政権時代の、そして麻生さんは阿部政権時代の、それぞれ官房長官であり、幹事長だった。

 いま日本の都市や田舎に渦巻く「不満」は、この政権が生み出したものだ。改革が必要で、そのためには自民党をぶっ壊すことが必要であったとしても、そのことによる「ひずみ」もまた明るみにでた。この「ひずみ」によって、国民の「不満」が噴出したのが先の参議院選挙だったわけだから、総裁候補の二人は、まずこのことに対する責任(小泉政策を是認し遂行してきた責任、小泉改革路線をさらに推し進めてきた阿部内閣の幹事長としての責任)の所在をはっきりと述べ、その上でどうしたいのか、という政策を打ち出すべきではないか。

 さらに、朝の番組やニュースも二人の舌戦のみの報道に汲々としている。あれだけ阿部政権に刃を剥いてきたのだし、それが国民の共感を呼んだことも事実だし、だとすれば、いま為すべき取材の眼目は、新しい総裁→総理を見越して、参議院での民主党過半数に、年金やテロ特措法、それに格差問題などに、どう挑んでいこうとしているのか、を聞き出すべきではないか。

 ただおもしろおかしく「報道」するだけであったら、ようやく日本の政治にもある意味では夜明けが来ているというのに、そこを自らがフタをしてしまう、というメディアの自殺行為で終わってしまうのではないか。昨今のテレビを見ていると、テレビは何も変わっていない、と思わざるを得ない。視聴率が取れればいいという路線が哀しい。総裁選をめぐるメディアの馬鹿騒ぎは、国民の世論を欺きかねない危険性すらある。

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