Re-Set by yoshioka ko

■『ゲリラは処刑されたのか?』 ⑦

 殺人罪での起訴を固めたリマ地検は、その証拠を集めるために、すでに埋葬されていたMRTAメンバー14人全員の遺骨を掘り起こした。その遺骨から、いったい何が明らかになったのだろうか?

■『ペルー大使公邸占拠事件~ゲリラは処刑されたのか~』⑦
○法人類学者 ファン・カルロス・ティージョ
  「突入した兵士の動きというものは、
  敵の体をどこであれ撃ちまくるものです。
  それは大体、体の中心部分になります。
  ですから、頭蓋骨といった特別な場所に
  損傷があるということは、
  最終的に息の根を止めようとしたことを意味します」

○学者の仲間たち
  鑑定はペルー法人類学者チームが行った。
  遺体に残された損傷の数や程度、
  白骨化や腐敗の進行状況など、調査は七ヶ月にも及んだ。

○主任 ファン・カルロス
  「ほぼ全てのケースで一致することですが、
  肉体的排除を示したこの損傷パターンは、
  通常の銃撃戦で残る傷とは別のところに見られました。
  その多くは、頭蓋骨の、ある部分に集中していたのです」

○頭蓋を撮した写真
  肉体的排除とは処刑という意味だ。
  処刑はあったのだろうか?
  ある部分とは、首から後頭部にかけてと、
  左右の側頭部分であった。

○鑑定した女性学者 カルメン・ロサ・カルドッサ
  「一定の損傷パターンのある頭蓋骨は何体あったのか?」
  「相当数ありました。
  そういうパターンを示すものは、
  少なくとも半数以上はありました」 

○鑑定報告書
  鑑定報告書によれば、
  肉体的排除、つまり処刑された遺体は、
  十四体のうち八体。
  しかもそのうち一体は
  一発の銃弾しか受けておらず、
  それが致命傷となった。

○カルメン・ロサ・カルドッサ女史
  仲間の学者をカルドッサ女史は例に出した。

  「彼を例にして説明しましょう」
  「なぜ後ろから発砲したかがわかるかといえば、
  弾痕の孔の周縁が抜け出た形と異なるからです。
  ですからこの損傷パターンは、
  完全に屈従の状態で後方から前方に向けて
  発砲されたことを示しているんです。
  つまり、処刑が行われたということです」

○レントゲン写真からティトの写真
  この処刑された人物こそ、
  小倉英敬氏が生きている姿を見たという
  通称ティトだったのだ。

○シンシアの写真
  だがもうひとり、
  小倉氏が見たという女性、通称シンシアに関しては、
  頭部に三カ所、銃弾による損傷が見られたものの、
  処刑によるものかどうかの判断は保留とされた。
  (以下最終回に続く)

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