リマの法人類学者たちは、埋葬されていた14人全員の遺体を掘り起こし、鑑定した結果、〈処刑〉の可能性が指摘されたのは、14体のうち8体。うち1体は1発の銃弾しか受けておらず、それが致命傷になった、と言う。
テロは憎まなければならない。しかし、戦争とは異なり、人質救出に当たっては〈処刑〉が許されるはずがない。私は最後の旅を続けた。
■『ペルー大使公邸占拠事件~ゲリラは処刑されたのか~』最終回
○アマゾンの山々
山中に転々とする村々。
そこで、ひとりの女性を捜し当てた。
○ある家の粗末なドア
「ジョアンナさん?」
○ドアが開き、ひとりの女性が顔を出す
占拠事件が起きたとき、
公邸にいたと考えられた
ジョアンナさんの居場所がわかったのは
偶然のきっかけからだった。
彼女は二年前にMRTAを脱退、
いまは二人の子供と暮らしていた。
○ジョアンナ・プラセンシアさん
「知らない土地ばかりだったので、
グループから逃げることは出来ませんでした。
私に残された唯一の道は、
彼らと一緒にいることだったんです」
○夕暮れの庭先
MRTAにリクルートされたとき、
ジョアンナさんはわずか十歳だった。
そして八年間、ジャングルを転々としながら
大人になったという。
○ジョアンナさん
「彼らが教えてくれました。
私たちが生きている境遇はなんなのか・・・、
なぜ母があのような貧しい暮らしを
しなければならなかったのか・・・」
「貧しさはいまも変わっていない?」
「この街の外のことはわかりません。
しかし私の中では、
なにもないということはどういうことなのか、
身をもって貧しさを体験してきました・・・」
○川の渡し籠
自然に恵まれたチャンチャマーヨ郡だが、
電気や水道の普及率は三割ほどだという。
○夕餉の支度をするエリヒア・ロドリゲスさん
「ここは真っ暗です。
こうやって灯油でランプを灯すんです」
○台所のランプ
電気のない村ではかまどの火と、
小さなランプだけが頼りだ。
○エリヒアさん
「あと何年すれば暮らしは変わると思いますか?」
「うーん、私は死んでるでしょう、
恩恵にはあずかれないと思いますよ」
○ゆかいも煮
エリヒアさんが夕食の支度を始めました。
主食はユカと呼ばれる芋です。
最後の質問をぶつけてみた。
○エリヒアさん
「娘がテロリストと呼ばれていることについては?」
「娘はテロリストなんかではない。
身をもって不正を体験してきたんです。
正義は、この国では金持ちのためのもの。
カネのない者には、
どんなにひどい扱いを受けようが正義はないんです」
○竈の火
貧しさが敵意を産む、という構図は
ペルーでは現実のものとして
今も生きている。(了)
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