週刊ポスト 7月9日号(6月28日発売)
「69歳の加瀬邦彦と62歳の沢田研二」
「“僕達ほとんどいいんじゃあない”を合言葉に歌い続けるおやじロッカーは中高年の星

」
というサブタイトル。
さらに
「焦るな、頑張るな。時代がこっちを向いたら、ダッシュすればいい」という小見出し付きで、ライブのお話が載っています。

あの沢田研二(62)に、音楽プロデューサーでありザ・ワイルドワンズのリーダー加瀬邦彦(69)が呼びかけて結成した「ジュリーwithザ・ワイルドワンズ」が全国ツアーで快進撃を続けている。
5月28日から始まったツアーは、九州、関西、四国、山陽の各都市を巡演したが、どの会場でも開場前から長い列ができて、通りすがりの若者から「なんですか?コレ」と声をかけられるほど。
60年代末のグループサウンズ全盛期から80年代にかけてのポップス黄金期に、ジュリーの愛称で時代の寵児となった沢田は、ロックアーティストとしてパワフルに進化をとげてきた。その彼が、自身のバンドを引き連れて湘南系サウンドの老舗GSとユニットを組んだのだから、音楽界には激震が走った。
新ユニットの生みの親である加瀬は、今年2月発売の『渚でシャララ』を「オリコンの1位にする」と宣言。この挑戦は今も続いているというから、年末まで各地を回るツアーの盛り上がりと“熱血オヤジ”世代の底力が掛け算になれば、夢は叶うのではないか。
約2時間のコンサートは、エイトビートのギターの爆音と手拍子から始まった。そう、ザ・タイガースの68年のヒット曲『シー・シー・シー』だ。場内は最初から総立ち状態となり、「お互いもう歳なんですから」と、ジュリーがひょうきんにいさめても、かえって火に油を注ぐかのよう。懐古趣味などつゆほどもなく、新しいアルバムの収録曲や双方のヒット曲『想い出の渚』、『愛するアニタ』、ザ・タイガース解散後、ソロで歌った『追憶』、『TOKIO』、『危険なふたり』などをまじえ、25曲のオリジナルソングを歌いきった。
ふたつのバンドが合体したことで、ダブルドラムスの効果や5名のギタリストの競演が刺激的なサウンドを生み出し、耳の肥えた聴衆も満足げな様子である。
ツアーやアルバムがこれほど人気なのは、単に懐かしさやベテランの実力だけが理由ではない。 音楽を通して培ってきたジュリーとザ・ワイルドワンズの深い絆が、人生のコクというか、味わいを醸し出して、歳を重ねるのも悪くないなあと思わせるのだ。
特に、未来へと続く友情を歌い上げる『FRIENDSHIP』が響きわたると、あたたかな手拍子が起こり、ステージと客席が一体となる。この瞬間、「僕達ほとんどいいんじゃあない」というツアータイトルどおりの、ゆるくて熱い高揚感が場内を支配した。
続いては加瀬さんのインタビューです。