これは結ばれた男女とし、チベット名でメジャーなタシとターシャ(共に吉祥を意味する)で良いでしょう。
タシは戦闘能力に長けた「ランボー」の様な男で、ターシャは生存能力に長けた「ブレサリアン」の女性とします。
ブレサリアン(不食者)のターシャは以前にも「Shu-Shanの物語」の「秀」章で描きましたが、それは1970年頃の話で、今回の物語は2040年頃まで進んで来ているので、70年の時を経て転生したコトになります。
前回、スマホによる囚人達の撮影について触れましたが、それは主にチベット人達なので撮る側もチベット語を話せる必要があり、この役目は特別な求心力を持つターシャが適任でした。
彼女は「戦いのライブ配信」も担当し、囚人達をリードして先頭で戦うのはリタとタシです。
戦略としてはまず司令部を占拠して、そこに保管されている武器弾薬を3000人余りの囚人側に握らせれば、300人程の兵士らは降伏せざるを得ません。
戦いのカギを握るのは最初の襲撃で、司令部に気付かれない様に迫る必要があるので、敵に銃を撃たせずに制圧しなければなりません。
そんな神業が行えるのは「カーリー」と「ランボー」くらいで、2人はどんどん兵士らを素手で倒して行き、その後に従う囚人達が武器を奪って縛り上げます。
「戦いのライブ配信」でひときわ目を引くのはやはりリタの活躍で、彼女は敵に悟られずに背後から腕を取って捻り上げ、その反動による回転で投げ伏せてから腕をへし折ります。
僅か3秒足らずの内に兵士は気絶させられ、そっちに気を取られた仲間の兵士もタシのタックルを浴びて、チョークスリーパーで眠らされます。
背の低いリタは素早く駆けて、敵の目に入る前に襲いかかり制圧して行きます。
見張り兵で彼女を止められる者は1人も居らず、「戦いの女神カーリー」から見ればみんな実戦経験の無い一人っ子世代の甘ちゃんでした。
そうして司令部の扉の前の見張り兵も倒したカーリーは、持った来た催涙ガスの発煙筒を投げ込んでから扉を閉めます。 扉のノブはタシがガッシリ握り、それを回せる兵士は居ませんでした。
3分後には司令部内で目を開けられる人間は居なくなり、ゴーグルを付けたリタとタシは楽々と司令部を制圧します。
武器庫のカギを出させて囚人達に渡し、司令官に降伏の放送をするよう迫り、とても勝ち目が無いと悟った彼はそれに従って、ウラン鉱山での反乱はひとまず囚人側の勝利となります。